大・大・大・・・お久しぶりでございます。
更新が滞ってしまったこのブログ、心を入れ替えて再開することにします!!
どうぞよろしくお願いします。
相次ぐ余震で、被災地におかれては気が休まらない日々が続いていると思います。心より皆様の平安をお祈りしております。
さて、再開第一弾は、予約が取りにくいフレンチレストラン、東京・広尾にある「ア・ニュー」(私も実際、3度チャレンジして振られました!)で先日催されたワイン会をレポートすることにします。
シェフの下野昌平さんは、「ル・ブルギニオン」のオープン時から携わり、フランスでは、トロワグロやタイユヴァンで活躍、代官山の「ル・ジュー・ドゥ・ラシェット」で3年ほどシェフを務めていました。代官山のお店は自宅近くでもあったので、何度か訪ねたことがあります。
今回のワイン・セレクションは、アカデミー・デュ・ヴァンの奥山久美子副校長。ご自宅のセラーで寝かせた、今では入手困難なボルドーのグラン・ヴァンが楽しみです。
ワインリストは以下の通り。
2000 Jacquesson Grand Cru Avize
2007 Puligny-Monrachet 1er Cru Les Combettes (Etiennne Sauzet)
2001 Chateau Haut Brion (Pesaac)
2001 Chateau Margaux (Margaux)
2001 Chateau Mouton Rothschild (Pauillac)
1995 Chateau Lafite Rothschild (Pauillac)
1982 Chateau Latour (Pauillac)
最初のシャンパーニュは、アヴィーズ村のビオの自社畑シャルドネ100%で造るブラン・ド・ブラン。 「白ブドウから造られる白ワイン」の意味をもつブラン・ド・ブランですが、シャンパーニュでは、コート・デ・ブラン地区のアヴーィズ、メニル・シュル・オジェ、クラマンなどで栽培されるシャルドネが有名です。ドサージュ(シャンパーニュの甘みを調整する砂糖の量)は3.5㌘(1㍑当たり)なので、かなり引き締まった辛口です。
マグナム瓶だったので、特に凝縮感とバランスが抜群でした。
つい最近、1997年ヴィンテージの通常サイズを飲みましたが、最初の印象は青リンゴやミネラル感が強く、香りはおとなしめだったように思います(時間とともにどっしりした広がりが出てきましたけれど)。やはり、マグナム瓶恐るべし、です。
ちなみに、金属の蓋ミュズレを開発したのもこの老舗メゾン(1798年創業)。ナポレオン皇帝の寵愛を受け、結婚式でも振る舞われた話は有名です。また、エジプト遠征、ロシア遠征にと、皇帝が戦いに勝っても負けても販路を拡大し、ナポレオン3世の時代になっても成長は続きました。1867年のパリ万博では100万本を売り上げたそうです。
合わせて、アミューズ3品。古代米のリゾット、タスマニア産オーシャントラウトのタルタル、ベーコンキッシュ。お皿にアミューズがちょうどよく収まるように穴が開いていて、そこにガラスの小器を差し込みます。
続いて、桜海老のクルスティヤンとキャビアのサンド。駿河産の桜海老をピューレにしてからぱりぱりのえびせん状に仕立てます。サンドしたサワークリームがやさしい味。
二番目の白は、ピュリニ・モンラッシェ村一級畑の中で芳醇さを誇り、最もモンラッシェに近い味わいともいわれるレ・コンベット。エティエンヌ・ソゼの娘婿ジェラール・ブドは1992年から買いブドウからもワイン造りをしているので、ドメーヌ名は冠していないそうです。2007年のブルゴーニュ白は、寝かせずいま飲んでも、おいしいです。
料理は、今回私が一番気に入った、冷製白アスパラガスとアワビ・生ハムのコンソメジュレとともに。
ランド産の白アスパラガスは、砂地土壌での露地栽培。茎も太く、独特のえぐみが特徴で、これがとにかくおいしい!! 旬の味を堪能できる幸せを感じます。キャビアが添えられていましたが、こちらはカザフスタン産のベルーガ。最上のものです。お皿に飾られたハーブは、長野産のコウサイタイ。赤紫の茎の菜花です。
さて、本日注目は、2001年ヴィンテージの3種類のボルドー・グランヴァン。2001年は、「エレガンスの年」ともいわれ、とても上品な味わいが期待できます。
コルクの状態も良好です。
ブラインドでいただきましたが、私が一番おいしいと感じたのは、オーブリオンでした。
メルロ52%(通常37%)、カベルネソーヴィニヨン36%(通常45%)、カベルネフラン12%。メルロの配合が多い分、早く色調が進んでいるようです。チョコレートの甘やかさとエレガントな印象、肉付きもいいです。
2000年が偉大過ぎてかすんでいるけれど、2001年はメルロの年として評価できるのです。
マルゴーとムートンを比べると、今まで飲んだ印象では、ムートンの方が若干苦手。ムートンというと、色が濃くて、エスプレッソの香りのイメージがあります。若いヴィンテージは固くて深みがイマイチ、10年くらい寝かせると、今度は「もうこんなに老いてしまったの?」というくらいへたり気味。
でも、今回のムートンは、ちょっと見直しました。収斂性も強く、時間の変化でこなれていく味わいが楽しめます。ブレンド比率は、カベルネソーヴィニヨン86%(通常77%)、メルロ12%(通常11%)、カベルネフラン2%。
ただ、マルゴーと比べてしまうと、やはりマルゴーに軍配を上げたくなります。
オーブリオンよりもさらにチョコレートのイメージが強く、エレガントさに磨きがかかっていました。ブレンド比率は、カベルネソーヴィニヨン82%(通常75%)、メルロ7%(通常20%)、カベルネフラン4%。
ちなみに、パーカーポイントは、オーブリオン94点、マルゴー93点、ムートン89点。いつもはパーカーの評価とくい違うことが多い私ですが、今回の点数には異論がありません。
料理は、タケノコとフォアグラのソテー・中伊豆ベーコンの泡。こちらも旬の味わいですね。
そして、お魚も赤ワインのシヴェソース。ネギ好きの私はうれしかったけれども、ネギの香りが少々きつく感じました。
さて、最後に、1995年のラフィット、1982年のラトゥールをいただきました。
2つ比べると、やはり色の違いは明らか。写真ではわかりにくいかもしれませんが、左が熟成が進んでいます。右はまだルビー色で、十数年たった今もまだ若い。
1995年は骨格の年ともいわれます。ラフィットは、カシスの果実味、スギの土っぽさが特徴でしょうか。
奥山さんが購入したのは、まだ東京の帝国ホテルでクリスティーズのオークションを行っていたころで、1ケース買いした時の価格は、1本2万円ほど。いえ、私もワイン初心者のころ、1995年のボルドーのグランヴァンをプリムール買いしましたが、今から考えると、驚くほど安い価格だったこと、覚えています。
カベルネソーヴィニヨン75%、メルロ17%、カベルネフラン8%。
1982年はボルドーの偉大な年。ラトゥールはミネラルと塩味を強く感じて苦手でしたが、さすが1982年。文句なく、圧倒的なおいしさでした。カベルネソーヴィニヨン75%、メルロ20%、カベルネフラン4%、プティヴェルド1%。
1980年代のラトゥールは、生産量を増やして「薄っぺらい感じ」(奥山さん)が多いそうですが、1982年育ちのブドウの力でしょうか。
1982年は暑い年で、ボルドー好きの英国人からは酸が足りなくてダメといわれていたのを、パーカーが濃縮感と長熟の可能性を評価。それによって、パーカーは神の舌をもつワインジャーナリストとして、成功を収めます。1982年は、パーカー出世のきっかけになった年でもあるのですね。
ちなみに、パーカーは、1995年ラフィットに95点、1982年のラトゥールには100点をつけています。
料理は、肉が続きます。熟成和牛のロティ・トリュフソース。
デザートは、さくらのパンナコッタ・春の泡とともに。
アンリ・ジローのロゼと一緒にいただきました。
改めて、本日のワインのラインナップ。並べてみると、こんな感じです。