私が主宰するワイン講座のレストラン実習は、プランタン銀座の「サロン・ド・テ アンジェリーナ」で行っています。
私がセレクトした各国のワインそれぞれに、塩川シェフが季節感のある料理を合わせてくれる企画。
ワインもさることながら、「料理が工夫があって美味しい!」と、生徒さんになかなか好評なんです。
12月は、クリスマス会を兼ねて、クリスマス定番のアレンジ料理も並びました!
ワインリストは次のとおりです。
NVブリュット・マジュール(アヤラ)
2008グリューナー・ヴェルトリナー オベール・シュタイン(フーバー)
2008エレウジ・ペコリーノ(マラミエーロ)
2004M2(テルモ・ロドリゲス)
2002シャトー・カントメルル
2006ピノノワール(ナヴァロ・ヴィンヤード)
「オートクチュール的」と表現される小規模生産者、アヤラのシャンパーニュは、英王室御用達とか。シャンパーニュ地方アイ村に1860年設立された老舗です。
これはスタンダードなタイプで、ピノノワール50%、シャルドネ30%、ピノムニエ20%。
きめ細かな泡がいきいきとしていて、果実味豊かでパワフルなシャンパーニュ。
「シャンパンを飲むとクリスマスの季節を実感できて、何だかうきうきしてきますね」と生徒さん。
料理は、ガレットに詰めたピエダングロワ ブーケ風。ブルゴーニュ産のマイルドでクリーミーなウォッシュタイプのチーズに、フルーツトマトやイチゴの甘酸っぱさがアクセント。
シャンパーニュに、ほんとよく合います。
オーストリア・ドナウ川流域にあるトライゼンタールで、4代続くフーバー家。ドイツや仏アルザス、それに南米などで修業を積んだ4代目、マルクス・フーバー氏が2000年から醸造を担当しています。
有機栽培、かつ植物と天体との関係に配慮した農法、ビオディナミも実践。さすが、ルドルフ・シュタイナーのお膝元ですね。
オーストリアを象徴する白ワイン品種グリューナー・ヴェルトリナーは、最近人気。
手ごろで美味しいものが買えるようになりました。
フレッシュで、白コショウを思わせるスパイシーさが特徴です。
昆布〆した金目鯛のカルパッチョは、粒マスタードソースで。
2本目の白ワインは、ちょっと珍しいイタリアの品種、ペコリーノを取り上げました。
外観は深みのある黄金色です。
近年再認識されている土着品種で、アブルッツォ州などアドリア海側で栽培されています。
ペッコラ(羊)が語源。牧草地を求めて季節ごとに山から谷へと移動する羊たちもこのブドウを食べたそうです。エレウジは、古代ギリシアの都市。豊作の女神デメテルが密儀を行う季節が羊たちの移動時期と重なるので、「エレウジ・ペコリーノ」の名前が誕生しました。
2007年が初ヴィンテージ。
私の印象は、柑橘系フルーツやアニスの香り、柔らかな酸味と夕張メロンの皮に近いところの果肉の味わい、しっかりミネラル感もあり、若々しいけれど厚みを感じるワイン。
生徒さんの評価も上々でした。
里芋の魚介詰め揚げ サフラン風味の野菜を添えて。
中からじゅわっと魚介のエキスが流れ出し、こちらの料理も大人気!
スペインのリオハと並ぶ高品質ワイン産地、リベラ・デル・ドゥエロで、テルモ・ロドリゲスが造る赤ワイン。
品種はテンプラニーリョ100%。
テルモ氏は、スペインで忘れ去られ放っておかれたブドウの古木を蘇らせていることで有名です。
渋みもしっかり、でも繊細なイメージです。
料理は、クリスマスらしく、七面鳥のオレンジソース煮を合わせました。
2本目の赤ワインは最初ローヌを考えていたのですが、クリスマスだからボルドー格付けワインを入れることに。
マルゴー村の南にある5級シャトー。シャトー名は「さえずるツグミ」という意味。
酸味はまろやか、タンニンもきめ細かくて、今飲んでも十分楽しめました。
牛フィレ肉のローストビーフにヨークシャープディングを添えて。
クリスマス気分がどんどん盛り上がりました。
3本目の赤ワインは、私がカリフォルニアから持ち帰ったメンドシーノ郡アンダーソンヴァレーのピノノワールを出しました。
ワインカントリーの最北端に位置するブドウ畑は、ナヴァロ川に沿って広がっています。太平洋から運ばれる涼風と霧によって冷涼な気候が維持されています。
米国では栽培が難しいといわれてきたピノノワールの産地として、めきめき実力をつけている地域でもあります。
ナヴァロ・ヴィンヤードは、1970年代に設立された同地域のパイオニア的存在。
フランボワーズやスミレの甘く華やかな香り、シナモン、ココナッツ・・・。ソフトな渋みが心地よく、立体感があってパワフル。
カリフォルニアのピノも、生徒さんからかなりの高得点をいただきました。
料理もおしゃれです。サラダ茄子のバルサミコマリネ ミモレットとハチミツのピッツァ添え。
チーズとハチミツで、頬っぺたが落ちそう。
デザートは、グレープフルーツのゼリー&ソルベ。
そして、生クリームと栗だけで作ったマロンシャンテリ。このお菓子、1950年代に東京會舘の初代製菓長が、モンブラン(白い山)にヒントを得て発案したものだそうです。
お皿に載った小さなサンタさんは、私のはトランペット吹きでしたが、各皿皆違いました。
メリークリスマス!!