「終わり良ければ、すべて良し!」。ふと立ち寄った東京・銀座のテナントビルのエレベーターで、そんなキャッチフレーズが気になった。
どうやら、「有終のシメごはんフェス2014」というのが開かれているらしい。お酒を飲んだ後の「シメごはん」というと、すぐ思いつくのは、鍋料理の最後の雑炊。席を移して、ラーメンと餃子なんていうのもありだろう。でも、ここで提案されているのは、もっとおしゃれな個性のあるメニューのようだ。ちょうど軽い会食が終わって、もう少しお腹に入れたいなと思っている時だったので、早速チャレンジすることにした。
シメごはんの誘惑
向かったのは、銀座2丁目の銀座ベルビア館8階のドイツビール専門店「シュタインハウス銀座」。
とりあえずのビールは、お店のおすすめの白ビール。ヴァイスビア・ゴールドといって、大麦麦芽だけでなく、小麦麦芽も使って造られるまろやかな味わいのビールという。小麦を使っているせいか、バナナやパイナップルのようなフルーツの甘みと、後味に残る爽やかな酸味が感じられるビールだった。
「通常は白ソーセージなどを合わせるのですが、今回のシメごはんフェスでは、こちらをまず召し上がってください」と促され、ムール貝の白ビール蒸しを注文した。ヴァイスビア・ゴールドで蒸しあげているという。トウガラシのピリ辛とムール貝の海の塩味がほどよい加減だ。内臓が心地よく刺激されて、ぺろりと食べてしまった。
ここで、皿に残ったムール貝の出汁が効いたスープには、パンを浸しながら食べたいところだが、ここからがシメごはんの真骨頂。スープは、再び調理場へと帰って行った。
しばらく待っていると、スープのお皿は、パスタに大変身! シュペッツレという南ドイツなどで食べられる卵麺が出てきた。これが、もちもちした食感で、とてもおいしい。ムール貝の
ああ、これが「シメごはんの誘惑」とでもいうものなのだろうか。
そんな感想をお店のスタッフに言ったところ、「シェフの自信作なんです。でも、お店では、ビールと一緒にアイスバインやソーセージをたっぷり召し上がる方が多いのです。ムール貝は注文しても、お腹がいっぱいになってシメまでたどりつけないと言われるのですが…」と、ちょっぴり残念そうだった。
逸品ぞろいのラインナップ
この企画は、三井不動産商業マネジメントが東京の日本橋、赤坂・霞が関、銀座エリアで運営する商業施設内の店舗で展開されている。銀座では、飲食店18店舗が参加し、3月25日まで開催される。フランス風食堂では、フォアグラにコンソメスープをかけていただく「フォアグラ茶漬け」や、串揚げ店では、おでんの出汁を使ったさっぱり鯛茶漬け、沖縄料理店では、さっぱりエビ塩スープ仕立てのソーキそばなどが提案されている。
もちろん、「別腹スイーツ」も用意されている。イタリアンバールでいただく、ひんやりジェラートにエスプレッソをかけたアフォガートや、表面がぱりぱりのカラメルが香ばしい冷たいカスタード、カタラーナなど。「お酒の後は甘いもの」派にもうれしい。
ところで、夜遅い帰宅後、私がよく食べる「シメごはん」は、ピリ辛の豆乳スープに豆腐と冷蔵庫の残り野菜を入れて作るスンドゥブ風。夜9時以降の炭水化物の摂取はなるべく控えているつもりなのだけれど、麺類好きな私は、つい手が伸びてしまうこともあって…、ダイエットに失敗を重ねております。食いしん坊の私は、「シメごはん」の誘惑にはなかなか勝てそうもない。
「有終のシメごはんフェス2014」
http://mi-mo.jp/pc/special/shimegohanfes2014/
(読売新聞編集委員・永峰好美)