北カリフォルニアのワインカントリー最北端に位置するメンドシーノ郡。ニューイングランド地方の移民によって建設されたこの街は、古きよき時代のアメリカの空気が残っています。
メンドシーノの話題は、11月6日付けのヨミウリオンライン「GINZA通信」でも、詳しく取り上げていますので、合わせて読んでみてくださいね。
中心街にほど近い、ヴィクトリア調の建物「マッカラム・ハウス・イン」には、北カリフォルニアのオーガニックな地消地産にこだわった話題のレストランがあります。
エグゼクティブ・シェフのアラン・カンター氏は、カリフォルニアのセレブリティにも大人気。
もちろんワインは、メンドシーノをはじめ、ナパやソノマ産。
レストランの内装は白が基調で、肩の凝らない雰囲気です。
デザートを入れて5品目が並ぶ「テイスティング・メニュー」は、それぞれにセレクトされたワインが付いて、135ドル。
最初のお皿は、セサミシードをまぶしてさっとあぶった、レアなイエローテール。
アメリカではおなじみの魚です。ハマチと思わされているようですが、高級魚のヒラマサです。日本でいただくよりも脂ののりが少なめな感じはしますけど。sushi riceに海草サラダ、ポン酢ソースとワサビ・アイオリ(ニンニクが利いたアイオリーソースにワサビでアクセント)を添えて。日本の食材を意識してますねえ。
アペリティフから飲み始めていたのは、
NVロデレール・エスエート ブリュット(アンダーソン・ヴァレー)
「フレンチランドリー」の項でもご紹介しましたが、フランスのルイ・ロデレール社がカリフォルニアで初めて造ったスパークリングワインです。
自社畑のブドウを使用。ピノノワール30%、シャルドネ70%。
3年ほどオーク樽で熟成されたリザーヴワインをブレンド。
明るいゴールドで、洋ナシのようなフレッシュさを残しながらも、ナッツやスパイスの香りに包まれてエレガント
2皿目は、コマンチェ・クリーク産昔ながらのトマトを使ったBLT。
ホームメイドのモツァレラチーズ、リンゴの木でスモークしたベーコン、バターレタスの大好きな黄金トリプル・コンビネーション。オリーブ油とバルサミコでアクセント。
ワインは、
2006メアリー・エルク シャルドネ(アンダーソン・ヴァレー)
少量生産で一般的に入手が難しいエルク・ファミリーのシャルドネです。
ピノノワールが有名で、東海岸にもファンが多いそう。
オーク樽を使っていないので、果実のフレッシュさとしゃきっとした酸味が伝わってきます。
3皿目は、リバティ・ファームの鴨のコンフィ。
ウォルナッツ入りの焼いたパン・プディングを添えたアメリカ的な料理。
メンドシーノ産ブラックベリーを赤ワイン(シラー)で煮たソースがベストマッチでした。
そうなるとワインは、
2007スパイスラック「パンチダウン」シラー (ソノマ・コースト)
深いルビー色で、カシスや黒コショウ、ローズマリーの香りが広がります。タンニンも柔らかで、エレガントなスタイルでした。
マンゴのソルベでお口直しをして、
4皿目はメインディッシュで、ニーマン・ランチのフィレ・ミニヨン・グリル。
ホースラディッシュを加えたフレッシュクリーム入りのマッシュポテト、チェリーとブラック2種類のペッパー入りのバター、赤ワイン(カベルネ)を加えたデミグラソースで。
ワインは、
2003シャトー・モンテリーナ エステート・カベルネソーヴィニヨン (ナパ・ヴァレー)
カリフォルニアワインがボルドーを差し置いて高い評価を独占、ワイン史に残る事件として刻まれている1976年の米仏ブラインド対決「パリ・テイスティング」。その対決でも主役を演じたのが、このシャトーです。この時は、1973年のシャルドネがトップに。
設立は1882年とふるいのですが、禁酒法時代に長らく放置され、蘇ったのは、弁護士のジェームズ・パレット氏が買い取った1970年代以降です。
エステート・カベルネは、同社の最高峰カベルネ。果実味もリッチでボリューム感たっぷり。あと10年は熟成させたい、印象でした。
さて、デザート。チョコレート尽くしです。
ビタースイートチョコのbudino(イタリアンプディング)には、カラメル味のピーカンナーツ、そしてホイップクリームも。チョコレートプラリネのアイスクリーム、それに、トリュフ。
ワインは、
2006ブルトカオ ポート(メンドシーノ)
ジンファンデルを使ったポートワイン。熟したプラム、そしてチョコレートのカカオ風味がいきいき。
このレストラン、朝食もとても美味しかったです。
エッグベネディクトの一皿。テラスからは太平洋を見渡せるし、窓から差し込む陽光もほどよくあったか。
庭の向こうには離れもあります。
食後の散歩をしながら、いつのまにか花の写真をたくさん撮っていました。
カリフォルニアを訪ねる機会があれば、ぜひメンドシーノまで足を伸ばしてみることをおすすめします。
のんびりゆったり、時の流れに身を任せるとはこういうことか・・・って、再発見がありますよ。