2009.07.03

銀ブラしながら旅行気分

ひと味違う「ふるさと」巡り

  • シーサーも歓迎してくれる「銀座わしたショップ」

 店内に一歩入ると、そこには南国の市場が広がっていた。

 パイナップル、パッションフルーツ、マンゴー、完熟ライチにシークワーサー。種類豊富なスパム缶をはじめ、黒糖ココアベースのパパイヤ入り沖縄限定黒カレーの包みにも、食指が動く。

 沖縄県物産公社が銀座1丁目で展開する赤い門構えの「銀座わしたショップ」。「わした」とは、沖縄の言葉で「わたしたち」の意味という。東京の空はどんより曇っているけれど、一足はやく梅雨明けした沖縄の青い海が目の前に広がっているようで、うきうきした気分になってくる。

 3丁目にある職場から近いということもあって、ときどきお邪魔して、私は南国の雰囲気を楽しんでいる。販売員さんも沖縄出身の方が多く、とっても陽気なのだ。

 必ず買うのは、二日酔い予防のお守りにしている「醗酵ウコン粒」。それに、「ちゅらら」シリーズのウォータータイプの洗顔料もお気に入り。石けんいらずのさらりとしたタイプで、沖縄の海洋深層水ミネラルに、月桃エッセンス、アロエベラエキスがブレンドされていると聞くと、もう美肌が約束されているような気がするではありませんか?

 このように、銀座・有楽町界隈には、全国の「ふるさと」が集まっている。地方自治体が、地元特産品の販売をはじめ、観光やUターン・Iターン情報の提供などを目的に出店しているアンテナショップ群である。

  • (上)宮古島ドラゴンフルーツやわらかキャラメル、(下)石垣島産紅芋グラッセ

 それに目をつけたJTB有楽町支店の橋本治男支店長(当時)が音頭を取り、各店の連絡組織をつくって「ふるさとアンテナショップガイド」の第一弾を送り出したのは、5年ほど前になる。そのつながりは現在の高井晴彦支店長に受け継がれ、いまは、沖縄をはじめ、北海道、秋田、長野、富山、和歌山、鳥取、大分、鹿児島など、18道府県のショップが掲載されている。

 銀座4丁目の交差点を中心にした約1キロ四方の地図が、これだけ豊かな地方色で彩られているとは……。「地方にとって世界の銀座の魅力は大きい。最先端の流行に触れつつ、ローカルな情報を直接発信していけるのですから」と、高井さんはいう。

 背景には、食の安全・安心や地産地消への関心の広がり、海外でも大人気のニッポンの味の再発見、また、東国原英夫・宮崎県知事のメディアを使ったご当地グルメPRへの注目度の高さなどもあるだろう。

夏スイーツで沖縄を満喫……

  • (左)東村パイナップルコンフィチュール、(右)沖縄ラム酒ケーキ

 そんなアンテナショップとプランタン銀座のコラボレーションも、6月の「Nipponの夏スイーツ」企画からスタートしている。第一弾として参加していただいたのは、沖縄県。沖縄の食材を用いた15種類のスイーツが勢揃いした。

 スイーツに注目してみると、私にとってこれまた新たなおいしい発見があった。

 「沖縄宮古島ドラゴンフルーツやわらかキャラメル」は、ドラゴンフルーツの甘酸っぱさに、種のプチプチッと弾ける食感がアクセント。「石垣島産紅芋グラッセ」は、まったり紅芋に自然なやさしい風味の黒糖がベストマッチ。パイナップル好きの私にとっては、「東村パイナップルコンフィチュール」もはずせない。休日の朝、バゲットに塗って、スパークリングワインといただいていたら、あっという間に……でした。

  • 「おいしい山形プラザ」では、地元野菜に注目

 そして、私の一押しは、「沖縄ラム酒ケーキ」。生地はふんわり、しっとり、真っ白なもち肌のような仕上がりが何とも驚きである。南大東島のサトウキビで造るグレイスラム社のラム酒を使用した芳醇な味わいは、大人だけのぜいたくといえそうだ。

 グレイスラム社の金城祐子社長は、小池百合子元環境相時代に発足した「環境ビジネスウィメン」でお仲間だった。産業廃棄物扱いにされていたサトウキビの絞り汁を主原料に、環境に配慮した食品開発に力を入れる島の女性社長である。ケーキは冷蔵庫でしばらく寝かせたら、味わいがマイルドになり、さらにおいしくなった。

 現在プランタン銀座で第2弾として展開中なのは、和歌山県とのコラボレーション。大正15年創業、梅に携わって百年という会社が、代表品種の南高梅を使って造り出した梅スイーツが並ぶ。オリジナルの梅ジャムを生地に練り込んだもっちり食感のマシュマロを、銀座にいらしたら一度お試しを。

おいしい地方を食べつくす

  • (上)月山のタケノコ、(下)山形のなっともづ

 さて、アンテナショップガイドには掲載されていないけれど、最近オープンして評判の銀座一丁目にある山形県のアンテナショップ「おいしい山形プラザ」にもぜひ足を運んでみたい。

 2階に併設するのは、地産地消レストランとして知られる鶴岡市の「アル・ケッチァーノ」の奥田政行シェフがプロデュースした店。1階の地元野菜コーナーには、ゴボウアザミやアオミズ、アカミズなど、東京人には珍しい野菜がズラリ。庄内産の月山タケノコをゲットして、さっと炙っていただいた。期待した以上においしかったのが、尾花沢産のひめもちに南蛮納豆を包んだ「山形のなっともづ」。納豆のピリから具合がちょうどいい。

  • 「ぴょんぴょん舎」ではじゃあじゃあ麺に挑戦しよう

 アンテナショップめぐりの話題を書きながら、やはり食べ物中心になってしまうのは、私がやはり食いしん坊だからです。

 というわけで、締めは、銀座4丁目の路地裏にある、盛岡冷麺の専門店「ぴょんぴょん舎銀座百番」で。

 午後3時を過ぎていたら、じゃあじゃあ麺がおすすめだ。うどんをゆでるのに時間がかかるのだろう。ランチタイムの繁忙時間帯には出してくれない。ルーツは中国大陸の炸醤麺というが、熱々のうどんに黒ゴマ風味の肉味噌がのっており、私は、コショウを3振り、おろしニンニク少々とラー油多めでいただくことにしている。食べ終わったら、「チータンタンお願いします」と言うと、和風だしのおいしいスープを器に注いでくれる。

 銀ブラしながらこんな小旅行が楽しめるなんて、ちょっとお得な気分になりませんか? 

 (プランタン銀座取締役・永峰好美)

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永峰好美のワインのある生活

<Profile> 永峰 好美 日本ソムリエ協会認定シニアワインエキスパート。プランタン銀座常務取締役を経て、読売新聞編集委員。『ソムリエ』誌で、「ワインビジネスを支える淑女たち」好評連載中。近著に『スペインワイン』(早川書房)