フランスアーカイブ

2009.12.10

「ランシュ=バージュ」を楽しむ会で

フランス・ボルドーで、1855年の格付けでは5級ながら、5大シャトーにも匹敵するとの高い評価を得ている「シャトー・ランシュ=バージュ」。「スーパーセカンド」などとも呼ばれていますね。


 

北にムートンやラフィット、南にラトゥールやピションの畑が広がる間の、ポイヤック地区の抜群の位置。アイルランド系移民のリンチ家が所有していた「ドメーヌ・ド・バージュ」を、現在のカーズ・ファミリーが1934年から受け継いでいるのです。


ファミリーのゼネラルマネージャー、ジャン=シャルル・カーズ氏がこのほど来日、南青山のレストラン「ランベリー」で、岸本直人シェフと「カーズ・セレクション」の素敵なマリアージュが実現しました。

 

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父上のジャン=ミッシェル・カーズ氏は「ランシュ=バージュ」の顔、そしてボルドーのワイン文化の語り部としてよく知られている方。「神の雫」にも、にこやかな笑顔で登場しています。


 

今回来日したジャン=シャルルさんはその息子。

ボルドー大学で経営学を学んだ後、フランスの自動車メーカーのブラジル支社に勤務して2年間ほど財務を担当、ブドウ収穫期には里帰りし、ワインメーカーとしての修行を積んできたそうです。


2001年に故郷に戻り、国際セールスのマネージャーを務めながらボルドー大学醸造学部でプロのワインテイスティングの資格を取得。国際感覚を生かしながら、新しいプロモーションのアイデアも豊富です。
 

 

今回の「カーズ・セレクション」のワインリストは次のとおり。
2007シャトー・ヴィラ・ベレール
2006ブラン・ド・ランシュ=バージュ

2004ロスタル・カーズ・ラ・リヴィニエール
2001シャトー・コルディアン=バージュ 
1990シャトー・ランシュ=バージュ

  

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まず、アミューズ・ブーシュは、上のふんわり冷たいムースをすくうと、下から温かいポトフが顔をのぞかせるといった寒暖2つが楽しめる内容。

シャンパーニュは、 NVボランジェ ブリュット スペシアル・キュヴェ をいただきました。

 

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「カーズ・セレクション」のワイン1本目は、

ボルドー・グラーヴのAOC、「ヴィラ・ベレール」。

18世紀後半に建設されたイタリア風ヴィラのようなシャトーの美しさに魅かれて、1980年代後半、カーズ・ファミリーが買収しました。1990年が初ヴィンテージです。

ソーヴィニヨンブランとセミヨンの50%ずつが基本ですが、2007年は白の当たり年で、ソーヴィニヨンがやや多めのブレンドに仕上げているそうです。魚介類との相性もなかなか。


料理は、岩手の寒サバのタルティーヌとハーブのサラダ。50度のオリーブオイルでゆっくり火を通しているので、見た目も魚の青みがいきいきしていました。

 

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2本目のワインは「ブラン・ド・ランシュ=バージュ」。

もともとプライベートに飲むためにわずかな量だけ造っていたのが評判を呼び、一部小売用にも造るようになったそうです。

ソーヴィニヨンブランとセミヨンが45%ずつ、残り10%ミュスカデールが加えられています。

2006年から樽を使う期間を減らし、ソーヴィニヨンブランのフレッシュな酸味をより生かした新スタイルに。ジャン=シャルルさんの自信作。
 

アンポ柿とフォワグラのポワレ マカロンと胡麻のアイスクリームのフリット。デザート感覚で楽しめるお料理でした。

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3本目のワインは、「ロスタル・カーズ」。

2002年にカーズ・ファミリーが買収した南仏ラングドックの畑。

2004年は、シラー65%、カリニャン13%、グルナッシュ12%、ムルヴェドル10%。スパイス、ローズマリーのようなハーブ香に地中海のパワフルな陽光と心地よい風が感じられました。

苗木の植え替えから新規設備の導入まで、徹底的に改革したそうです。

それにしても、ボルドーのワインメーカーは、南仏の畑では、自由になんだかウキウキしながら造っているような気がします。

 

料理は、豚足とオマール海老のガレット 軽く煮たアキテーヌの栗を添えて。スパイシーのシラーは、オマールとの相性もいいことを実感しました。

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4本目は、 「コルディアン=バージュ」。

同名の、ボルドー・ポイヤックにある2つ星シャトーレストランとしても有名。1980年代にファミリーが買収して蘇らせた畑です。

カベルネソーヴィニヨン80%、メルロ20%。

飲みごろの2001年は、チェリーやカシスの果実味がとっても豊かで、全体的にしなやかな印象でした。「あと15年は熟成させてもよさそう」と、ジャン=シャルルさん。


メインの料理は、子羊のマティニョン コーヒーの香るソースをそえて。

 

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さて、トリを務めたワインは、

「ランシュ=バージュ」の1990年。

文句なしの当たり年、でした。

甘いクレーム・ド・カシス、土の下草、タバコ、少しコーヒーのようなニュアンス、適度な渋みもあって、複雑な表情をみせてくれます。

 

88年、89年と、ボルドーは当たり年が続きましたが、「90年は中でも秀でている」と、ジャン=シャルルさんも太鼓判を押しました。「90年は、輝かしい89年をより肉付きよくセクシーにしたもので、ランシュ=バージュが一体何なのかを象徴するボトルといえる。享楽的でありながら知的な興味をかき立てる」と、97点を付けたロバート・パーカーも絶賛です。
 

最後のデザートは、ムースショコラと温かいショコラの組み合わせ。入荷したばかりのトリュフのアイスクリームと一緒に・・・。

 

 

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今年は、イタリア、アルゼンチン、カリフォルニアを周りましたけど、来年はボルドーを再訪したくなりました。

   

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2009.12.04

「サロン」のデュポン社長がご来店!

 先日、シャンパン・メゾン「サロン」の、ディディエ・デュポン社長が、プランタン銀座に来店されました。


「鑑識眼のある人々の間で最も引っ張りだこのシャンパーニュ」といわれる、あの「サロン」です。


ご本人もとってもエレガントでカッコいい!

でも、お話しすると、結構気さくで、楽しい方でした。


売場スタッフと一緒にパチリ!

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プランタン銀座のセラーは、こんな感じなのですが、


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09120403.jpgひときわ目立つところに、サロンは鎮座しております。

1997年ヴィンテージが4万2000円(税込)。

「絹のような官能性」と、造り手のコメントにはありました。

97年は香りが早く開くようで、まろやかでやわらかな印象、エレガントなスタイルが好きです。96年を飲んだ時には、もう少し硬質なニュアンスがあったような・・・。


「97年は女性的、一方の96年は男性的に仕上がっています」と、デュポン社長。

 

「毎日サロンを飲んでいるのですか?」と不躾な質問をすると、「時々って言った方が正確かな。サロンは、スペシャルなものだから」とのお答え。ちょっと安心(?)、しました。


 

サロンの兄弟メゾン、「ドゥラモット」は、シャンパーニュのコーナーに、仲良く3兄弟が並んでいます。

 

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「サロン」は作柄のよい年にしか造られないので、使われなかったブドウは兄弟分に回るってわけですね。


09120405.jpgドゥラモット3兄弟は、


NVブリュット 5250円、

NVブラン・ド・ブラン 6090円、

NVロゼ 6930円(いずれも税込)。

これからのクリスマスの食卓に、1本は用意したいシャンパーニュです。淡いサーモンピンク色のロゼは、あるだけで華やかになりますし。

 


 

 

デュポン社長は日本の食にもとても関心があって、「次回は日本ワインを一緒に味わいたい」とおっしゃっていました。


今度、私がシャンパーニュのメゾンを訪問した時には、ぜひ「サロン」の垂直比較(同じ銘柄でヴィンテージ違いを比べること)をお願いしたい!です。

「OK。連絡してね」と気軽に答えてくれた言葉、忘れませんからあ。

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2009.11.19

今年のボジョレー・ヌーボーはホント当たり年!

11月19日の木曜日、ボジョレー・ヌーボーが解禁になりました。

 

早速プランタン銀座のワイン売場に飛んで行って、7、8種類をテイスティング。


 

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そして・・・
 「天候に恵まれて、今年の出来は2005年よりもさらに期待できそう!」と言われていましたけれど、その言葉に偽りがないことを実感しました。

まず、ボジョレーのフレッシュな味わいを残しながらも、果実味が凝縮していてボリューム感がスゴイんです。赤いベリー系のアロマが広がり、酸とのバランスもほどよくて、「初もの」の要所をしっかりとらえている印象です。

 

それに、最近は、「ボジョレー・ヌーボー」といっても様々なヴァリエーションが増えて、

ロゼも白もお目見えしていますし、しっかりボディのタイプもあって、飲み比べが楽しいんです。


 

そんな中で、プランタン銀座の売場から私のおすすめを挙げますと、

 

 

09111902.jpg2009シャトー・デュ・シャテヤール ボジョレー・ヴィラージュ・ヌーボー ヴィエーユ・ヴィーニュ(税込3360円)


フランスのリヨンで行われたヌーボー品評会「トロフィー・リオン・ボジョレー・ヌーボー」でヴィラージュ部門で銀賞を受賞。三ツ星レストランの「ジョルジュ・ブラン」のシェフ・ソムリエ、ファブリス・ソミエ氏もおすすめなのだとか。


同シャトーは、8世紀に建てられた最も古い建物の一つ。18世紀後半に修復されて現在にいたります。造り手の若きロジェール夫妻は、ここ生まれ故郷で資産を投じて夢だったワイン造りを2000年からスタート。除草剤や化学肥料などを使用しない自然農法を実践しています。

この「ヴィエーユ・ヴィーニュ」は、樹齢60年以上の古木を使い、ノンフィルターなので、味わいに奥行きがあります。

 

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2009ドメーヌ・デ・ピエール・ジョルジュ・トリシャール ボジョレー・ヴィラージュ・ヌーボー(税込3465円)


畑の樹齢平均45年。極めて小規模な家族経営の造り手なので、貴重な一品です。とっても味わいがエレガントで華やか。

「フレッシュでイチゴジャムのジュースみたい」なボジョレー・ヌーボーを想像していたら、かなりイメージが変わります。

三ツ星「トロワグロ」などに置かれているそうです。

 

 

 

09111904.jpg2009アンリ・フェッシー ボジョレー・ヴィラージュ・ヌーボー・トラディション(税込3150円)


6代続くボジョレーのブドウ栽培家であり醸造家でもあるアンリ・フェッシー氏。樹齢50年以上、剪定や野生酵母による発酵にこだわり、フィルターも軽めにして瓶詰めしているのが特徴です。

 

濃い紫色で、ダークチェリーを思わせる濃厚な味わい。私は毎年愛飲しているのですが、今年はより凝縮してどっしりした感じがあって、おすすめです!


 

 

 

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2009タイユヴァン ボジョレー・ヴィラージュ・ヌーボー ヴィエーユ・ヴィーユ(税込3150円)


プランタン銀座では根強い人気の「タイユヴァン」シリーズ。

すでにロゼは予約だけで完売しているとか。

 

こちらも古木を使っていますが、軽やかさがあって、前に挙げたワインと飲み比べてみると楽しいですよ。

 

 

 

 

本館正面口でも、11月23日まで試飲販売を行っておりますので、気軽に立ち寄ってみていただければうれしいです。

 


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2009.11.09

「ジャイアンツSALE」のワインの目玉は?

ジャイアンツの日本シリーズ制覇を祝して、いま、プランタン銀座ではお買い得品をいっぱい取りそろえた「ジャイアンツSALE」を11月15日(日)まで開催中なんです。


もちろん、ワイン売場にも、「えっ!」と驚くような目玉商品がごろごろ・・・。
 

原監督の背番号にちなんで、なんと881円(税込)でご提供しているのが、
2008フィガロ・ルージュ(ムーラン・ド・ガサック)
 

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カジュアルなテーブルワインの生産で有名な南仏・ラングドック地方ですが、この作り手、ムーラン・ド・ガサックはちょっとスペシャルです。

 

パリで手袋職人をしていた現オーナーのエメ・ギベール氏が1970年、ラングドック・モンペリエの街から内陸に20キロほど入った場所に畑を購入。そこはガサック渓谷の影響で寒暖差が激しく、酸と糖分のバランスに優れたブドウを生産できるところだったのです。
そして、ボルドー大学の地質学博士、アンリ・アジャヴェール氏からその土壌の素晴らしさに「奇跡の大発見」とのお墨付きをもらい、さらに、当時シャトー・マルゴーの再建に尽くした同大学のエミール・ペイノー教授の指導を仰いで造った「マ・ド・ドゥーマ・ガサック」が、スーパー・テーブルワインとして知られるようになりました。

英仏のジャーナリストがシャトー・ラフィットやシャトー・ラトゥールと比較して好評だったため、「南仏のラトゥール」という人も?

 

今回ご紹介しているのは、同じ作り手のデイリーワインです。
品種はグルナッシュとカリニャン。エチケットはヴィンテージによって変わって、おしゃれです。
抜栓してすぐは小梅のような酸がかなり感じられましたが、しばらくすると、ブルーベリーのような果実味に加えてスパイスも感じられ、柔らかな余韻を残してくれます。
これだったら、毎日でも気軽に飲めますね。

この味わいで千円切るのだったら、私は「買い」だと思いました。

 

 

09110802.jpg白のお買い得品としては、

ワイン売場のKさんイチオシのイタリア・カンパーニャ州のDOCをご紹介!

2008コーダ・ディ・ヴォルペ(ヴァディアペルティ)  1575円(税込)

 

古くからあるカンパーニャ州(ナポリがある南イタリア)土着のブドウ品種、コーダ・ディ・ヴォルペ。

「きつねのしっぽ」という意味で、ブドウの房の形が弓なりになっているところから付けられた名前とか。

第一印象は白い花のようなさわやかさを感じますが、余韻に感受した洋ナシなど豊かな味わいが楽しめました。

 

 

 

さて、プランタン銀座名物の「B級ワインセール」も掘り出し物がたくさん。

 

09110803.jpgボトルの傷やラベル不良というだけで、格安になったワインたち。

お買い得品は、どうぞご自分で"宝探し"してみてください。

 

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2009.09.28

「サロン・ド・テ アンジェリーナ」で楽しくマリアージュ

私のワイン講座では、3か月に1回、レストランで料理とのおいしいマリアージュを体験していただいています。


場所は、プランタン銀座の本館2階「サロン・ド・テ アンジェリーナ」

9月25日の回は私を含めて12人参加なので、ワインは6本プラスデザートワイン1本そろえました。


フランス料理出身の塩川シェフが、それぞれのワインに合わせた料理を作ってくれる、自分で言うのもなんですが、ちょっとぜいたくで、とっても楽しい講座です。(だいたい私自身がとっても楽しんでいるのです!)


「アンジェリーナ」は、モンブランだけじゃない! 

本格派フランス料理もお手ごろなんですよ。

 

今回は、講座の生徒さんのリクエストに応えてワインを選びました。

 

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左から、

シャンパーニュ・ブリュット ブラン・ド・ブランNV(ドゥラモット)
ソーヴィニヨン・ブラン 2009(シレーニ セラーセレクション)
ロエロ・アルネイス ベルドゥーディン DOCG 2006(ネグロ・アンジェロ・エ・フィリ・ディ・ジョヴァンニ・ネグロ)
レッド・ローズ2005(デヴィッド・フランツ)
メルロ オーディネール2006(小布施ワイナリー ソガペールエフィス)
シャンボール・ミュジニー2007(ドメーヌ・デュジャック)


 

09092702.jpg最初のシャンパーニュは、先日もご紹介したドゥラモットの「ブラン・ド・ブラン」。「サロン」の妹分といわれているシャンパーニュ、シャルドネ100%です。


カリカリに焼いたプロシュートとイチゴのミルフィーユ仕立てと合わせます。プロシュートのほどよい脂分とクリームチーズの酸味、イチゴのフレッシュな味わいが、繊細な「ブラン・ド・ブラン」を引き立てます。

 

 

 

09092703.jpg2つめのソーヴィニヨン・ブランは、人気が定着してきたニュージーランド南島のマールボロ地区で造られるドライでフレッシュな白ワイン。ほのかなやさしい甘みが残ります。


毛ガニのロワイヤル・蕪詰め。シャキッとした蕪の歯ごたえがよかったです。カニのような甲殻類、合いますねえ。

 

 

 

09092704.jpg3つめのロエロ・アルネイスは、イタリア・ピエモンテ州のDOCG白ワイン。1960年代に復活したアルネイスという土着品種100%。タナロ川をはさんで、有名なバローロ生産地域の反対側で作っています。

いささか濃い目の麦わら色で、アカシアのような花の香りととろりとした口当たり。個性的な味わいです。

ワイナリーの歴史は、1670年にジョヴァンニ・ドメリニ・ネグロ氏にまでさかのぼれるようです。


ナスのキッシュ仕立てにのっているのが、ホロホロ鶏のローストです。ソースは、タマネギのみじん切りを炒めてブイヨン、バター、小麦粉、牛乳などで煮詰めたスービーズソース。ミルク系の味わいがこの白ワインとはよくマッチしていました。

 

 

09092705.jpg4つめのレッド・ローズは、南オーストラリアのロゼワイン。名前の通り、華やかなローズ色。味わいは、チェリーというかプラムというか。

この生産者、デヴィッド・フランツ氏のウェブサイトはなかなかユニークでした。オーナー氏と妻とが赤ワインを掛け合ってワインまみれになっている姿がトップページに現れるので・・・。

料理は、キングサーモンのフリットと蒸した有機野菜の組み合わせ。レモンの酸味がきいたオランデーズソースでいただきました。

 


 

09092706.jpg5つめは、赤ワインで、長野県志賀高原山麓の小布施ワイナリーから「メルロ」を。

メルロ主体でカベルネソーヴィニヨンがブレンドされています。「ソガペールエフィス」ブランドは、自社農場ブドウと国内の優良農家のワイン専用ブドウを選んで造っているそう。国産果実100%使用なのですね。


ワイナリーの歴史は100年以上さかのぼりますが、欧州系のワイン用ブドウの畑を本格的に拡大したのは、1990年代初め。一般消費者から、ワインの樹1本1万5千円で購入してもらうワインの樹オーナー制度を設けています。

また、「ドメーヌソガ カベルネソーヴィニヨン プライベートリザーブ」は、全日空欧州線のファーストクラスにも採用されているといいます。


さて、今回飲んだ「メルロ」のボトルの裏には、こんな説明がありました。

「樽貯蔵など時代遅れと笑うがいいのです。小布施では、日本産ボルドー系品種は樽貯蔵して初めて真価を発揮するという強い信念のもと、100%樽貯蔵にこだわっています」。

 

09092707.jpgなるほど、熟したプラムの香り、ほんのり柔らかな樽の香りがして、味わいは複雑、滑らかなタンニンも心地よく感じられました。

 

リンゴとフォアグラのソテーにベリーソースを添えて。言うことありませんね。国産ワインの進化が頼もしく思える一品でした。

 

 

 

 

09092708.jpg最後の赤ワインは、やはり先日ご紹介した、ドメーヌ・デュジャックの「シャンボール・ミュジニー」です。デュジャックがシャンボールに持っている畑は、わずか0.53ヘクタールといいますから、貴重ですよね。


可憐な淡いルビー色ながら、ミネラルたっぷり、果実味豊かで、味わいはふくよか。

「エレガントですね!」と、最近ワイン用語を上手に使い始めた生徒さんの一言に、このワインの真髄が表されているような気がします。
茸のクリーム煮を詰めた仔羊のローストで締めくくりです。

 

そうそう、デザートも忘れられません。

モスカート・ドルチェ2008(ガイエルホーフ)

 

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 用意したモスカート・ドルチェは、私がイタリアの旅で最後に訪れたミラノのレストランで、店のご主人からプレゼントされたデザートワイン。北イタリア・トレンティーノの甘口白ワインです。

 

マロンの入ったティラミスと、キウィとピーチのジェリー。真ん中のジェラートは、なんとヨーグルトにオリーブオイルを合わせたもの。デザートワインとの相性、楽しくいただきました。

 

自宅で合わせるときの参考になりますよね。

最初のシャンパーニュとの組み合わせ、早速サンデーブランチで実践して、好評でした!

 

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2009.09.22

京都先斗町のフランス会席

来月10月には、ミシュランガイドの京都・大阪版が初めて発売されるそうです。

どんなお店が星をとるのか、ちょっと楽しみですね。

またちょっとした京都ブームが起こるのでしょうか??

 

ところで、関西方面に用事があったので、時間を見つけて、井上晃男さんがオーナーシェフを務める「先斗町 禊川」に出掛けました。


鴨川のほとり、京都・三条大橋を渡った先の「先斗町歌舞練場」からほど近く。

 

09092201.jpgこのあたり、昭和初めのレトロな建物から三味線や長唄の旋律が流れ、舞妓さんのお稽古姿が目に浮かびます。


先斗町通りにある「先斗町 禊川」は、築150年以上という元お茶屋さんの純日本的な佇まいの中で、「お箸でいただくフランス会席」を売り物にしています。

 

09092202.jpg開店30年近くになるそう。京焼など和の器にも注目です。


井上さんとのお付き合いは、今年のバレンタインフェアで、オリジナルブランドのチョコレート「メゾン・ドゥ・イッテー」をプランタン銀座に出品していただいたことで、ご縁ができたんです。

この時のバレンタインの様子に関しては、「GINZA通信」でも触れていますので、チェックしてみてください。


今回、井上さんはブルゴーニュにワインの買い付けに行かれていて、残念ながらお会いすることができませんでしたが、お店のスタッフの皆さんに、とても楽しくフレンドリーに応対していただきました。
長年サービスのプロとして活躍している中野信人さんと、英語のほかイタリア語やフランス語も堪能で、時に全体の半数を占める外国人客にも丁寧な説明が好評の田中治子さんです。


さて、お料理ですが・・・

 

09092203.jpgまず、5種類が並ぶ先附。

アンチョビの入ったパイはさっくさく、

器に入ったプルロット(オイスターマッシュルーム)のソテーに初秋の風を感じます。あわせて、シャンパーニュをグラスでいただきました。

 

 

 

 

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賀茂ナスのムースには、赤ピーマンのソースを添えて。9月半ばといっても、気温30度を超える暑い日でした。ガラスの器が涼しさを運びます。


酸味のあるリンゴのソースでいただくフォアグラのソテー、絶品でした。マディラソースとかバルサミコソースとかと違って、さっぱりした印象。甘みと酸味のバランスがよいのでしょうね。


09092206.jpg白ワインをいただくことにしました。

2006ムルソー レ・グラン・シャロン(ドメーヌ・ギィ・ボカール)


ブルゴーニュ・ムルソー地区では、ムルソーの実力派といわれる家族経営の生産者です。

畑は、コシュ=デュリのいとこで最近めきめき人気が上がっているアラン・コシュ=ビズアールの向かい側。

 

外観は濃い黄金色で、とろりと粘性も強めです。

パイナップルの甘めの香り、コクがあって、ふんわりまろやか、余韻も長い。こういうムルソーは、和素材を生かしたフランス料理をよりおいしくしてくれます!

 

続いて、

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アワビとホタテ、ジロール茸のソテーに、白ワインとレモンジュースを合わせた「ランデブーソース」。ギンナンのえぐみが日本の秋ですね。

お吸い物は、岩手県産のマツタケを使ったコンソメスープ。マツタケの香りに酔いが進みます。


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手長エビのソース・シャンパーニュには、黒トリュフがアクセントに。シャンパーニュ好きの私にとっては、これまた絶品!◎でした。
アマダイは、ケッパーやイタリアンパセリで香ばしく仕上げたグルノーブル・スタイル。


09092211.jpgお口直しのソルベは、宮崎県日向産のヘベス。

「平兵衛酢」と書き、夏の酢ミカンと呼ばれているそうな。

 

スダチより玉が大きく、カボスより香りが優しく、ユズより薄皮でたっぷり果汁がとれるのだとか。

 

 

 

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最後の肉料理は、山口県産の黒毛和牛で特製デミグラソースがやさしい味でした。

09092212.jpgあわせて、軽くピノノワールをいただきました。

2006ACブルゴーニュ(ドメーヌ・フランソワ・ブッフェ)

この生産者も、家族経営で、すべて手作業でつくっていることで定評があります。

フィルターをかけないので、果実味がとても豊か。まろやかな旨みもありました。

 

 

 

 


09092215.jpg仕上げに、カツオ出汁のきいたおにぎりのお椀。

香の物と一緒にいただいて、日本に生まれてよかった!と実感です。

 

 

 

 

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デザートは、黒ゴマのアイスクリームにイチジクのコンポート添え。

そして、お得意のチョコレート。どれもとっても美味しいんです。

カモミールティーでいただきました。


丸の内の東京會舘で、伝統的なフレンチクラシックの基本を体得した井上さんの料理は、素材そのものの美味しさを生かすというだけでなく、素材ごとに工夫された様々なソースの登場に、ドキドキします。

デミグラとかシャンパーニュとか、ソースの存在で素材の美味しさが倍増した印象でした。


当日実にタイミングよく料理を仕上げてくれたのが、井上シェフの薫陶を受けた万木(ゆるぎ)裕幸シェフです。


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京都・先斗町なんていうと、ちょっと構えてしまいますが、

ここは一見さんでも大丈夫。

お時間があれば、ぜひ。

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2009.09.19

秋の連休を100倍楽しもう! 名門フランスワインのお買い得セール

待ちに待った秋の大型連休がスタートしましたね。


家でリラックスして飲むもよし、友人と集まってわいわい飲むもよし・・・。

プランタン銀座のワイン売場では、昨日18日から、人気ドメーヌの品揃えでは定評のあるインポーターさんのご協力で、注目のフランスワインのお買い得セールが始まりました。

この際、日常飲みのワインよりもちょっとランクアップさせたいなと思っている方には、とってもおすすめ!!


まず、シャンパーニュは、「ドゥラモット」4種類が勢揃い!

 

09091601.jpgドゥラモット ブリュットNV(税込4725円)
ドゥラモット ブラン・ド・ブランNV(税込6090円) 
ドゥラモット ロゼNV(税込6930円)
ドゥラモット ブラン・ド・ブラン1999(税込6930円)

 

「ドゥラモット」は、幻のシャンパーニュとして知られるあの「サロン」の姉妹メゾン。

納得できるブドウが出来た年しか造らないという頑固なこだわりをもつ「サロン」ですが、その畑のブドウを使っているのが「ドゥラモット」です。「サロン」のセカンドブランドといってもいいのでしょう。

クリーミーな泡立ちと柔らかい口当たり。きめ細かな泡がグラスの底から立ち昇る様を見ていると、丁寧に造り込まれたシャンパーニュであることが実感できるんです。

青リンゴのようなフレッシュな風味に続いて、焼き立てのクロワッサンのような香ばしさ、グレープフルーツのようなほろ苦さも感じられます。


09091602.jpgシャルドネを得意とする造り手ですから、繊細で切れのいい「ブラン・ド・ブラン」のバランスのよさがこのブランドの真骨頂でしょうか。

「ロゼ」は、淡い輝きの華麗なピンク色で、ちょっとスモーキーな味わいは、私の好みでもあります。

 

そして、何と言っても私のイチ押しは、1999年ヴィンテージです。

「ブラン・ド・ブラン」の爽やかさに、とろりとハチミツやバニラのニュアンスが加わって、エレガントな仕上がりです。

スイーツ好きでお酒がそんなに得意でないわが友人も、「世の中にこんな美味しい飲み物があったんだ!」と感動しておりました。

 

 

お次は、ブルゴーニュ。
 
09091603.jpg500年続く名門ドメーヌが丁寧に造り上げた有機栽培のスタイルは、「世界一の白ワイン」と多くの評論家が絶賛・・・

といえば、

そう、ドメーヌ・ルフレーヴ。


ピュリニー・モンラッシェ2007(税込7980円)
ブルゴーニュ・ブラン2007(税込4725円)
 

 

 

 

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 しなやかで、華やかな香りがあって、それでいて濃厚で力強さもあるブルゴーニュのモレ・サン・ドニ。それを語るには、やはり、私も大好きなドメーヌ・デュジャックです。

 

デュジャックからは、3種類がいずれも7000円を切る価格で登場!


モレ・サン・ドニ ルージュ2007(税込6930円)
モレ・サン・ドニ ブラン2007(税込6930円)
シャンボール・ミュジニー2007(税込6930円)

 

 

 

ルフレーヴ・ファン、デュジャック・マニアの方はまとめ買いのチャンスかも。

未体験の方は、この機会にぜひ試してみてはいかがでしょうか。

 

さあて、私は何を買って飲もうかなあ。

 

 

         

   

                                                                                                                                              

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2009.08.29

日本橋・メルヴェイユの夏

8月も終わりですね。


もっと暑くなるかしらん、と思っているうちに、朝晩の空気がやけにひんやりと冷たくなってきて・・・。夏って、こんな風にあっけなく終わってしまうのでしたっけ?
 

さて、明日は、国立競技場で「嵐」の10周年アニヴァーサリーツアー!
私は抽選ではずれたのですが、産休中のお友達が見事に当ててくれました。感謝です。


私にとっては、もちろん「ジュリーが一番!!」なのですが、「嵐」の松潤と「KAT-TUN」の亀ちゃんは、これまた特別な存在なのであります。

この年になっても、ミーハー心は収まりません。いや、若いころより、ちょっとはお金にも時間にも余裕ができてきたせいか、ミーハー的行動はエスカレート、いや、パワーアップしているかもしれません。

きょうの朝の天気予報では、台風の到来で荒れ模様になる・・・と。

いや、明日の夕方はぱあっと晴れた空が広がることを祈るばかりです。

 

ところで、ワインの話・・・。
ちょうど1か月前、「嵐」ファンの友人3人で日本橋の「メルヴェイユ」に集まって、ツアーに向けて盛り上がったことを思い出しました。


「メルヴェイユ」は、東京・麹町の「オーグードゥジュール」オーナー・ギャルソン、岡部一己さんが2004年にオープンしたフランス料理店。
「奇跡」「素晴らしいもの」という意味の店名の通り、初めて伺ったのに随分前から通い続けているような不思議な居心地のよさがありました。
 
この日いただいたのは、まず、

トウモロコシの濃厚なスープとブルーチーズの焼き菓子風、続いて加賀太キュウリをはじめとする夏野菜と海の幸のマリネ

 

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09083003.jpg合わせたシャンパーニュは、
キュヴェ・サンタンヌ・ブリュットNV(シャルトーニュ・タイエ)


NVのスタンダード・キュヴェですが、泡はきめ細かく、熟した白桃のような香りが濃厚、味わいの余韻も豊かなのです。


いやこれは、美味しい!
ピノノワール50%、シャルドネ40%、ピノムニエ10%でした。

 

シャンパーニュ地方の中心地、ランスの北西7キロのサン・ティエリー丘陵にあるメルフィ村の生産者です。


ブドウ栽培を始めたのは15世紀の初めにさかのぼるそうですが、シャンパーニュ製造は1960年代から。
12ヘクタールの自社畑のみの家族経営で、現当主のフィリップ・シャルトーニュ氏は、古樹を保存して収穫時には厳しくブドウを選び、収量を制限しているようです。
ジャック・セロスで修行した息子のアレキサンドルさんが加わり、これからの試みも期待がふくらみます。

 

09083004.jpgお魚は、

ソテーしたイサキにナスのピューレとズッキーニを添えて、軽いトマトソースで仕上げたもの。


 

 

 

09083005.jpg白ワインはグラスで、
2007ヴィオニエ・ドゥ・ラルディッシュ(ドメーヌ・デ・グランジュ・ド・ミラベル)


フランス・ローヌ地方でエルミタージュやシャトー・ヌフ・デュ・パプなどを手がけるM.シャプティエ社が造るヴィオニエ100%のフルーティーな白ワインです。


ローヌのちょっと南寄りのアルデッシュ県の畑です。
野菜の味わいを大切にしたヘルシーなフランス料理には、白い花の香りを思わせる爽やかなヴィオニエ、いいですね。

 

 

 

09083006.jpgお肉は、鴨を選んだので、

 

 

 

 

 

09083007.jpg2005ジュヴレイ・シャンベルタン(ラ・ジブリオット)

 

 

「ラ・ジブリオット」は、ブルゴーニュの人気の造り手、クロード・デュガ氏の息子と娘が立ち上げたネゴシアンブランド。

ブドウは栽培農家から買っているわけですが、父親のデュガ氏がブドウ選びから醸造、熟成まで、しっかり指導しているといいますから、「さ~すが」と思える味わいでした。


果実味も凝縮していて、タンニンも滑らか。結構スパイシーで、好みのジュヴレイ・シャンベルタンです。
若い2人は、父親の教えを受け継ぎつつも、これから果敢に様々な挑戦をしていくのでしょうね。

 

 

デザートは、フロマージュブランにハチミツ風味のグレープフルーツとローズマリーのジュレ添え

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小さなフィナンシェやギモーブなどに合わせて、レモンバームとミントをブレンドしたハーブティーをいただきました。

 

口当たりがよくやさしいイメージのジュレやブラマンジェ・・・。季節感を盛り込みつつ、お料理にもデザートにもたくさん取り入れられているのが印象的でした。


09083010.jpg素敵な料理をつくってくださったシェフの松本一平さんの息子さんの名前が「潤君」だとお伺いし、「嵐」ファンの私たちはまたまた盛り上がり!
お店の前で、シェフを囲んで皆で写真をパチリ。

 

わが友人2人はあまりに美人なので、パパラッチに狙われると困るなと思い、トリミングさせてただきました・・・。

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2009.08.14

映画「未来の食卓」から

皆さま、お盆休みはいかが過ごされていらっしゃいますでしょうか?

しばらくブログ更新をご無沙汰しておりました。スイマセン。

 

私は、10日間ほど、南米の旅に出ておりました。

現地のアルゼンチンタンゴ観賞と、世界遺産のマチュピチュやクスコ、ナスカをこの目で見て、また、南米のワインをしっかり飲もう! という欲張りな旅行です。


実は、イタリア旅行記も未完のまま旅立ちまして・・・。

あと4回ほど書きたいこと、書きたい場所を残しております。全10回連載の予定です。


とはいえ、南米に行って、ラテン系の人々の文化や伝統、歴史など、共通性と相違性といいますか、また私なりに新たなる発見もしてきましたので、順々に書いていこうと思っております。

 

とその前に、どうしてもご紹介したい新作の映画とワインがあります!!


プランタン銀座のWEBでも「おすすめシネマ」(シネスイッチ銀座などで8月8日より上映中)として掲載しました「未来の食卓」です。

 


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舞台は、ゴッホがひまわりを描いたフランス南部アルルの近く、ラングドック地方ガール県の山脈の麓にあるバルジャック村。


ラングドック地方といえば、1年を通して温暖で、古くから優れたワイン産地として知られています。

さんさんと降り注ぐ明るい太陽の光と地中海から吹く柔らかな風によって育まれるブドウからは、「太陽と風のワイン」とも呼ばれるカジュアルなテーブルワインが産出されています。


この小さな農村で、農薬や化学肥料による食物汚染から村人たちの、そして子どもたちの未来を守るために、学校給食と高齢者の宅配給食をすべてオーガニックにしようという試みが、エドゥワール・ショーレ村長の旗振りで始まりました。2006年からのことです。


監督のジャン=ポール・ジョーさんは、2004年、自らが結腸がんを患ったことを機に、食を通して生物、命を見つめなおそうと考え、製作を思いついたといいます。

そして、バルジャック村の取り組みを1年間追いつつ、子どもから教師、主婦、農民、お年寄りまで様々な人々の声を拾い、また研究者や医師、ジャーナリストらのデータや情報で裏づけしながら、1本のドキュメンタリー映画にまとめたのです。

 


09081402.jpg「農薬を使っていたころは、自分では絶対に食べなかったものもある。水田に投入した大量の除草剤が川に流れ出て、ある時私は環境ホルモンに侵された。頭痛や吐き気、死ぬかと思ったよ」--農民たちの率直な振り返りが、胸を打ちます。

 

詳細は、映画「未来の食卓」の公式サイトでどうぞ。
 

ところで、この映画に登場するオーガニックワインの生産者、ルイ・ジュリアン氏のワインを、銀座屋酒店で入手して、飲んでみました。
ヴォルテックスというインポーターさんが惚れ込んで、数年前から日本にも輸入しているそうです。

ルイさんの家系は、この土地で400年以上に渡って農場を営んできた歴史をもちます。


ルイさん自身、ブドウの品種改良の研究者でもあり、アリカントなどの地元品種にグルナッシュを接木したり、カベルネを掛け合わせたりして、独自の改良に挑んでいます。

最近は、昨今の地球温暖化の気候変動に適応できるような品種を開発しているのだとか。


私が飲んだのは、ヴァン・ド・ターブルのロゼです。店頭価格は税込1,418円。


09081403.jpg品種はグルナッシュ、シラー、サンソー、アラモン。

果実味を凝縮する方式で造られているので、ルビーのように美しい色です。

カシスやプラムの香りにやさしく包まれます。

彼の醸造についての考え方は、あくまでも自然の力を尊重するものです。


除草剤も化学肥料も殺虫剤も、人工酵母も一切使わない、天然酵母は保存料の亜硫酸に敏感だから、瓶詰めのときにも添加しないという徹底ぶりです。もちろん、ろ過もしていません。

 

その代わり、酸化を防ぐ目的で炭酸ガスを残して熟成させるので、抜栓すると少々発泡を感じます。


ブドウジュースがそのままワインに変化した果実味豊かな味わい。

「自然の恵みよ、天の贈り物よ、ありがとう!」と感謝の気持ちでいっぱい。

なんだか心があったかくなるワインでした。

リサイクル瓶を使用し、ラベルは再生紙、キャップはプラスチックでした。

 

さて、日本でも、最近は「食育」という言葉が広がってきました。


フランスでは、1970年代に、国際ワインアカデミー名誉教授で醸造学者のジャック・ピュイゼ氏の提唱で、本物の味や生産地を知る「味覚の教育」といわれる食の授業が小学校でいち早く始まっています。

三ツ星レストランのシェフたちもボランティアで授業に加わり、食環境を支援する活動は年々活発になっていると聞きます。

 

 

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映画の最後の方で、村人がこんなことを語っていました。


「1年前は自然食に全然興味がなかったけれど、協力してやろうという気持ちではじめた。子どもたちは味を覚え始めている。すべて自然食にするのは難しいが、まずは気づくことだね」と。


私たちの国日本は食料自給率約40%。多くの輸入食料に依存して暮らしているのが現状です。


映画を見ながら、そして、オーガニックなワインを飲みながら、いろいろ考えることがありました。 

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2009.08.03

やっぱり和食には ムルソー?!

7月のある週末、仙台に出掛けました。


私、小学生のときからの年季の入ったジュリーのファンでして、時間の許す限り、地方のコンサートツアーもチェックします。


というわけで、久しぶりの仙台だったので、海を独り占めできる空間が気に入っている松島佐勘「松庵」に。
松林の奥にある、素敵な庵なんです。

 

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ワインは持ち込みました。


2004 ムルソー・デュ・シャトー (ドメーヌ・デュ・シャトー・ド・ムルソー )

 

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私に白ワインのおいしさを教えてくれたのが、フランス・ブルゴーニュのムルソーでした。


これ、生産者の名前もワインの名前も、なんだかややこしいのですけれど、ムルソーの村名ワイン。
ボトルの腹回りが"メタボ"気味で、持ち運ぶとき1本用のワインバッグにうまく収まらないのがたまに傷。

ではありますが、いや、そんなことはどうでもいい、と言いたくなるほど、わかりやすく、おいしいムルソーなんです。
穏やかな果実の香り、焦げたナッツの風味、ほんのり樽のニュアンス。

どれも私のムルソーのイメージを裏切りません!


シャトー・ド・ムルソーは、14世紀に設立され、1970年代、現在の所有者、ボーヌの大手ネゴシアン、パトリアルシュ社のアンドレ・ボワゾー氏が伯爵家から買い取りました。

ムルソーの8.9ヘクタールの畑のほか、コート・ド・ボーヌにも22ヘクタール畑を所有しており、ムルソー以外のお手ごろブルゴーニュも造っているんですね。

 

夜の献立は・・・


箸染=初夏の誘い(豚肉のタマネギ巻、ホタテ&ズッキーニのゴボウのせ、地元アナゴの梅肉ソース)

吸椀=松島の水面に映るおぼろ月(ジュンサイとミョウガがアクセント) 

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しのぎ=相生の宮城野米と伊達の牛

造り=待ち侘びて 一年過ぎて海の栗(海の栗とは、三陸産ムラサキウニ。旬のヒラメは黄身じょうゆと梅じょうゆで)

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 焼物=島陰で塩に隠れて片思い(塩釜の黒アワビ。ユバのズンダ和えと流行のコリンキーを添えて)

口直し=赤い茄子 誰もが頷く味香り(大好きなトマトがダイコンおろしと一緒に)

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温物=睦まやか 醍醐に浸る夏野菜(豆乳と生乳のブレンド醍醐に、加茂ナスや南京しんじょが夏を演出)

食事=お好み釜炊き御飯(油揚げと新ショウガの炊き込みご飯)

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椀=松庵特製「奇跡の味噌」仕立て(極上みそと揚げ麩の組み合わせ)

甘味=無花果(赤ワイン煮でした)

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さて、翌日のランチは、一度は予約したいと狙っていた、塩釜の「千松しま」へ。

「食べログ」という飲食店の口コミ評価サイトで、和食部門の全国一位にランクされたこともある店です。

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こちらの情報は、読売オンラインで連載中の「GINZA通信」に掲載しています(2ページ目でお料理を紹介しています!)ので、興味のある方はぜひチェックしてください!!

 

ところで、今回ご紹介したワインは村名のムルソーで、買ったときは確か6千円台だったと思うのですが・・・。

いま、同じドメーヌでプランタン銀座に在庫があるのは、1級畑の「2001ムルソー プルミエ・クリュ」。
1級畑の中でも、シャルムとペリエールというとってもゴージャスな組み合わせのブドウで造られているので、おそらく、さらに美味しさパワーアップ! でしょう。1万1130円。

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永峰好美のワインのある生活

<Profile> 永峰 好美 日本ソムリエ協会認定シニアワインエキスパート。プランタン銀座常務取締役を経て、読売新聞編集委員。『ソムリエ』誌で、「ワインビジネスを支える淑女たち」好評連載中。近著に『スペインワイン』(早川書房)