2009.08.26

過ぎ行く夏を名残惜しむときの白ワイン

東京では、初秋の風を感じる日が増えてきました。

湿気の多い蒸し暑い日本の夏はあまり得意な私ではありませんが、過ぎ行く夏はちょっと寂しい・・・。


09082601.jpgで、6月に北海道・奥尻島に行ったときに気に入って買った「奥尻ワイン」の白を開けました。


品種はケルナー。

キレのいい酸、グレープフルーツのような柑橘系の爽やかな香りが楽しめました。

ちょっと塩味を感じたのは、やはり海の恵みでしょうか。


 

1993年、200人を超える犠牲者を出した北海道南西沖地震で、奥尻島は最大の被災地。

現在は復興が進み、随分と島も元気になっていました。

 

「奥尻ワイン」は、20ヘクタールほどの畑で育てる奥尻島産のブドウを使用。

「島の新たなブランドに育てよう」と、復興の公共工事を請け負った海老原建設のグループ会社がワイナリー経営に挑んでいます。


10年前に島に自生するヤマブドウの苗木栽培からスタート、2001年にヨーロッパの品種を中心にワイン用ブドウの栽培も開始。昨秋、ワインの製造工場も完成しました。


2007年産ブドウで1万5千本を生産、2008年産ブドウでは5-7万本に増産する予定といいます。


北緯42度10分に位置する奥尻島は、25メートルという透明度の高い海に囲まれた離島。

果実を厳しく鍛える風が島を駆け抜けます。もちろん雪も降りますが、北海道本島と比べればまだまだ温暖。

道産ワインに多いドイツ系品種だけでなく、シャルドネやメルロー、ピノノワールなどフランス系品種が栽培できるのも 島の気候がなせる業なのでしょう。

 


09082602.jpg現地に行ったときは、島の人たちが魚介類のバーベキューでワインを振舞ってくれました。

 

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そう、旅には、メディアパーソナリティの芳村真理さんもご一緒で、場を盛り上げてくださいました。


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そのとき気になったのは、ノースレッドという品種。

広島の農業試験場が交配に成功したもので、セネカとキャンベルアーリーを掛け合わせたものだそうです。糖度が18度前後と高く、寒冷地で育てやすいらしいのです。

もともと食用でしたが、独特のケモノっぽい香りがあり、ワインとしても注目品種! 

「ね、綿菓子みたいなやさしい甘みがあるでしょう」と、醸造責任者の菅川仁さんは言っていました。これから、どんな風に育つのでしょうね。


 
09082606.jpg菅川さんの自信作は、こちらのスペシャル・キュヴェの白。

 

ミューラートラウガウ、シャルドネ、ピノ・グリのブレンドです。柔らかな口当たりです。

 

「赤はまだ試行錯誤」なのだそうです。

 

奥尻島の訪問記は、読売新聞のヨミウリオンラインで連載している「GINZA通信」に詳しく書きましたので、チェックしてみてください。

 

 

「奥尻ワイン」は、7月に開催した私のワイン講座でも人気でした。


このときは、白ワイン尽くしで臨んだのですが、

 

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中でも、好評だったのが・・・

2007ヴィオニエ・サント・フレール(ドメーヌ・ド・トリエンヌ)


 

09082608.jpgドメーヌ・ド・トリエンヌは、以前もご紹介しましたが、

ロマネ・コンティのオベール・ド・ヴィレーヌ氏とデュジャックのジャック・セイス氏という、ブルゴーニュの2人の巨匠が南仏で手がける夢のデイリーワイン。

 

このおいしさで2千円前後は、ほんとにお買い得。

プランタン銀座でも最近人気が急上昇の注目ワインです。


ヴィオニエで造ったこの白は、白い花のような爽やかな印象が残る若々しいワインでした。

過ぎ行く夏を感じるには、いま飲みどきではないかしらん。


それから、カリフォルニアの
2006クロ・デュ・ヴァル クラシック・カネーロス シャルドネ  も好評でした。


09082609.jpg1972年に誕生した「小さな谷の小さなブドウ畑」という意味のワイナリーです。

カリフォルニアなのになんでフランス語名?

それは、フランス・ボルドーにルーツを持つ米国人実業家のジョン・ゴレが「世界最高のワインを造る」ための新天地を求め、ボルドー出身の醸造家ベルナール・ボーテに2年間調査させた結果に見つけ出した土地だったから。フランスと縁があるのですね。


目指すは、「カリフォルニア・ナパヴァレーの傑出した果実味とヨーロッパ伝統のワインメイキング手法の融合」。

 

フランスワインとカリフォルニアワインの熟成後の味わいを競った、有名な「パリ・テイスティング」では、このワイナリー、優勝したこともあるのです。

さて、シャルドネは、トロピカルフルーツの凝縮した果実味があり、濃厚でボリューム感もありました。「ガツンときますね」と、シャルドネ好きの講座の生徒さんの感想です。


 

そして、女性の生徒さんに人気だったのは、


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2007シャスラ ヴァン・ド・ペイ(ウヴァヴァン)=左

2007コレクシオン ピクブル・ド・ピネ(ダニエル・ベシエール)=右


シャスラは、スイス・ヴォー地方、ピクブルは、南フランスのラングドック地方のもの。

軽やかな甘みが女性好みで、「どんな料理とも合わせやすそう」とのことでした。

 

過ぎ行く夏を、ワインとともに楽しみましょう。

 

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永峰好美のワインのある生活

<Profile> 永峰 好美 日本ソムリエ協会認定シニアワインエキスパート。プランタン銀座常務取締役を経て、読売新聞編集委員。『ソムリエ』誌で、「ワインビジネスを支える淑女たち」好評連載中。近著に『スペインワイン』(早川書房)