東京・銀座のようなコンクリート砂漠の中で過ごしていると、季節のうつろいに鈍感になる一方だ。が、ビルの谷間に、ほんの小さな季節の移り目を発見したときの喜びは、かえって大きい気がする。
銀座3丁目、銀座松屋のちょうど裏手にある「野の花 司」は、そんな喜びを感じさせてくれる店である。全国各地から「野にあるまま」の状態で届けられる花々が、それぞれに初夏の訪れを語っている。
野の花の専門店としてオープンしたのは、15年ほど前。店の女性オーナーは、新聞社系の出版部門に勤めた後、編集者として独立。「花屋さんの仕事」シリーズ(神無書房)をまとめているうちにその魅力にとりつかれ、「これは自分でやってみるっきゃないな」と思い立ち、店を出すことにしたという。
5月の連休が落ち着いたある日、カメラマンと2人、改めて取材に伺った。
せつないまでに可憐な美しさ、そして、どこかで出会ったことがあるような懐かしさ……。
スタッフの関原万里子さんが、一つひとつ丁寧に花の名前を教えてくれた。
「あれもカワイイ、これも気品がある」と、カメラマンに撮影の注文を出しているうちに、かなりの枚数になってしまい、しかも、どれも皆様にお見せしたい!
そこで、今回は、「GINZA版・初夏の小さな野の花図鑑」をまとめてみた。
優しく、気高く、そして、たくましく。
あなたは、どの花がお好きでしたか?
次回も、「野の花 司」の話題を続けます。
◆野の花 司