ロンバルディア州アーカイブ

2009.09.08

イタリア縦断の旅から~その8(最終回)

イタリアの旅6日目。

最後の目的地ロンバルディア州のミラノに到着したのは夕刻でした。


大都会に来ると、どこで夕食を食べようか、迷いますね。
「最後の夜だから、ちょっといいレストランに行こうよ」「ワインをがんがん飲めるワインバー的なお店を選ばない?」・・・。

結局、私たち女性3人+紳士1人のグループは、「料理もがっちり、ワインも気軽にそれでいていっぱい」のミラノっ子が日常使いするお店に出掛けました。

モンテ・ネロ通りの「パスコーネ」です。

 

その前に、「世界で一番美しい鉄道駅」といわれるミラノ中央駅、

09090201.jpg

 

ドゥオーモ、ヴィットーリオ・エマヌエーレ2世のガレリアなどをぶらついて、

 

09090202.jpg 

 

09090221.jpg  

 

お店には午後8時過ぎに到着。
でも、だーれもいない!


それでも、お腹がプルンプルンの太っちょのおじ様(実はオーナー)が、陽気に迎えてくれました。

席も、お店の真ん中のいい感じの場所でした。


まずは、イタリア定番の前菜をリクエスト!

 

09090204.jpg 09090205.jpg

 

 

09090206.jpg

泡は、地元の辛口スプマンテ、フランチャコルタ。

1997年にロンバルディア州初のDOCGに認められました。

「神の雫」にも登場したモンテ・ロッサのNVです。

 

 

 

 

09090229.jpgピノビアンコ、シャルドネ、ピノネロのブレンド。麦わら色で、白い花を感じさせる繊細な味わいです。


とってもカジュアルでリーゾナブルなワインリスト!

 

 

 

 

 

 

 

タコとかムール貝とか、魚介類系料理もあったので、

 

 

09090207.jpg 09090208.jpg

 

 

09090209.jpg白ワインも・・・。


2007サンニオ・フランギーナ(マストロベラルディーノ)

ナポリのあるカンパーニャ州の白です。

古代から伝えられるフランギーナ種。

麦わら色でとってもさわやか。

 

 

 

 

 

お次はパスタ。
 
09090210.jpg 09090211.jpg

 

パスタはイタリアの南と北で大きく違います。南ではデュラム小麦粉を使う乾麺、一方の北は卵を使う生麺です。

 

09090213.jpg 09090214.jpg

 

パスタの起源に関する説は様々あるようですが、イタリアの食に詳しい林茂さんのお話によると、12世紀初め、当時アラブの支配下にあったシチリア島にクスクスのような形で乾燥パスタが伝えられました。

その後、ナポリ南のヴェスヴィオ火山とソレント半島の真ん中あたりにあるグランニァーノで本格的な製造がスタート。地中海の強い日差しと適度な海風が、乾燥パスタづくりに適していたのでしょう。

 

長期保存が可能になり使い勝手がよくなって、14世紀、アペニン山脈を越えてイタリア北部にも伝えられ、全土に広まりました。

当時の著作「デカメロン」には、エミリア・ロマーニャ地方の人々がスープ仕立てのマッケローニやラヴィオリにパルメザンチーズをかけて食べている様が記されています。


とはいえ、内陸では生パスタづくりが続いており、ここミラノは、もちろん手打ちパスタでした!


09090212.jpg午後9時半を過ぎたら、いつの間にか店の中は満席。

やはり人気店だったのですね。

 

そろそろ赤ワインも・・・。

「北イタリアに来たのだから」とリクエストしたら、

主人のおすすめが、

2007ラグレイン(J.ホーフシュテッター)

イタリアの最北、トレンティーノ・アルト・アディジェ州の赤です。

かつてはオーストリア領だったので、今でもドイツ語が使われる地域もあり、「南チロル」とも呼ばれています。

ずばり、ラグレインという品種です。

ブドウの果実味がそのまま生きている感じでした。

 

お口直しのソルベをいただいて、

 

09090215.jpg

 

お待ちかねのミラノ風カツレツです。

 

09090216.jpg焼き野菜をつけました。

 

  09090217.jpgカツレツは、さくっと、イメージ通りのおいしさ!!

 

ミラノに来たのだから、本場のチーズも食べなくっちゃ!


09090218.jpg三大ブルーチーズの一つ、ゴルゴンゾーラです。もともとブルー好きですが、塩気がマイルドでクリーミー。食べやすいです。


 

ご主人が、チーズに合わせるように、トレンティーノの「モスカート・ドルチェ」(ガイエルホーフ)を持って来ました。

09090219.jpg 

09090220.jpg

 

もう一つ、「これも合うよ」と、サルディーニャ特産のミルトを一杯。コケモモのリキュールですが、やさしい甘さです。
 

帰りがけ、ショップカードをもらったら、ご主人そっくり、つまりお腹でっぷりのイラストがポイントになっていました。

 


最近日本ではスリムでイケメンのシェフやオーナーが増えていますけれど、イタリア料理はこれでなきゃ、ね。こういうご主人の店だと、「毎日おいしいもの作って食べているんだろうな」と想像できますね。体重は気になりますけれど。


 
翌日は、夜の出発まで、ミラノの街中をショッピングしながらぶらぶら。

 

実はプランタン銀座と提携関係にあるパリのプランタンはいま、ミラノに本店があるイタリアの百貨店ラ・リナシャンテグループの傘下にあります。


ドゥオモの隣りにある同百貨店は、十年ほど前訪ねたときより、随分高級感が増した印象です。

 

09090222.jpg 09090223.jpg 

 中2階はイタリアを中心に高級ブランドがずらり。地下には雑貨を中心にイタリアンデザインのアンテナショップがあって、オリジナリティを感じます。店のショッピングバッグも垢抜けた感じです。

 

最上階はテラスが開放されていて、イタリア食材コーナーも充実しています。

 

 

 

回転ずしも大人気。
サーモンやマグロに合わせて、「イキ」というブランドのビールを飲みました。

 

09090225.jpg 09090226.jpg

 

「ユズと煎茶を使ったのどごし爽快な生きビール」との説明がありました。

やや濁りを感じるフルーティーなビール。ユズの香りは、よくわかりませんでした。

 

このビール、オランダのビール会社「イキ・ビール」がベルギーの醸造所で造らせているそうで、ヨーロッパのアジア系料理店では最近見かけるようになったとか。

「イキ・ビール」の創業者は日本滞在経験もある日本びいきな人のようです。

 

昼下がり、ドゥオモの見えるワインバーでベッラ・ヴィスタのフランチャコルタのロザートを注文。


   

09090227.jpg

 

09090228.jpgグラスを1杯頼むと、

パニーニやらオリーブやらポテトチップスやらフルーツカクテルやらが一緒に付いてきました。

デパートだったのでちょっと高め、12ユーロでしたけど。

 

 

いわゆる「ハッピーアワー」の時間帯にグラス一杯でいろいろつまみというか前菜が楽しめるイタリアで人気の「アペリティーボ」。その雰囲気が、ちょっと味わえました。

 

 

旅の締めくくりが、ロゼの泡。

ハッピーな気分で空港に向かいました。

 

この記事のURL | Trackback(0) | Comment(0)

永峰好美のワインのある生活

<Profile> 永峰 好美 日本ソムリエ協会認定シニアワインエキスパート。プランタン銀座常務取締役を経て、読売新聞編集委員。『ソムリエ』誌で、「ワインビジネスを支える淑女たち」好評連載中。近著に『スペインワイン』(早川書房)