エミリア・ロマーニャ州アーカイブ

2009.07.29

イタリア縦断の旅から~その5

イタリア滞在5日目。


午前6時。早起きの私の朝は、トスカーナのブドウ畑のお散歩から始まります。
トスカーナらしい糸杉の植え込みを見ながら、足取りも軽やか、です。


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ホテルの前に広がるサン・フェリーチェの自社畑には、遊歩道が整備されていました。空を見上げれば、ブドウの若々しい緑の葉が朝日に照らされ、輝いています。

 


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090604004.jpg「ボンジョルノ!」 ワイナリーで働く人たちの朝も早いんですね。


 

 

 

 

 

090604005.jpgプールサイドでのヘルシーな朝食をすませて、

 

 

 

 

 

 

 

トスカーナ州の北、エミリア・ロマーニャ州のパルマに出発です。

約220キロの旅です。


車窓から、赤い小花が咲き乱れるお花畑が見えました。

 

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090604007.jpgエミリア・ロマーニャ州といえば、ヨーロッパ最古の大学として知られるボローニャ大学が有名。

そして、北部エミリア地方には、生ハムやパルメザンチーズなどの産地として名高いグルメの里、パルマがあります。

 

19世紀初め、当時のパルマの支配者だったナポレオンの二番目の妻、マリア・ルイージアは、芸術文化だけでなく、生ハムなどの地元農産物を世界に伝え、今日のグルメの里の基礎をつくりました。


ただ、エミリア地方はポー川流域の肥沃な平地だったため、高品質なワイン造りには向かないようです。

カジュアルに飲める発泡性赤ワイン、ランブルスコが知られていますよね。
 

 

パルマ市内から数十分。ランギラーノ地区へ。

パルマには200社以上の生ハム工場があるそうですが、ランギラーノ地区は「これぞ真のパルマの生ハム」といわれるほど上質のものを生産しているのだとか。

 

午後1時を過ぎていたので、まずは、ランギラーノの街が運営している生ハム博物館で、ランチをいただきました。ハムとサラミづくしの招待ランチです。


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とりあえず、切り落としの腸詰サラミとホウレンソウ入りのプチパン。

自然酵母でつくったパンのシンプルな味がおいしい!

 

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「箸やすめ」に、野菜のピクルス、小タマネギやキノコのマリネ。

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生ハムを、その場で切ってくれます。

これがフレッシュで・・・。

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14か月熟成、36か月熟成の生ハム、コッパ、そして究極の生ハムといわれる「クラテッロ」という豚のお尻の部分、サラメ・ディ・フィアーノなどなど。

 

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発泡性の「マルヴァジア・コッリ・ディ・パルマ」を合わせます。

パルマ産のDOC。

ハムづくしで口の中に残る脂肪分をぬぐい取り、料理をより食べやすくする効果があります。

マルヴァジア種は、ギリシャからイタリアに伝えられた品種。緑色がかった麦わら色の軽くてフレッシュな味わいで、泡好きな私は、これでずっと食事が続けられることが、もううれしくって・・・。

 

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パルマ産生ハムはイタリアの生産量の6割を占めています。

その歴史はローマの時代までさかのぼり、パルマ地方に伝わる伝統的な技法で作られ、芳香な風味とまろやかな味が特徴。

 

伝統的技法というのは、天然塩だけで味付けされ、スモークをかけず、12か月以上をかけて、塩漬、乾燥、熟成が行われます。

特に、乾燥・熟成は300日から600日と長期間に及び、余分な水分と脂身が抜けてまろやかなとろけるような風味が生まれる、というわけです。

 

そういえば、「クラテッロ」は、漫画「美味しんぼ」にも出てきたような・・・。

作曲家ベルディの出身地、ズィベッロにあるクラテッロ協会の会長がやっている店に、次回は行ってみたいなあ。

この小さな街には、ジュゼッペ・ベルディ劇場があって、新人歌手の登竜門として知られるコンクールもあるそうですから、オペラ好きも要チェックなんですね。

ベルディもたくさんおいしい生ハムを食べて、音楽のインスピレーションを得ていたのでしょうか。

熟成が進むほど香りは芳醇で、アミノ酸の旨味も加わって、ほんと美味でした。


 

090604024.jpgサラーメ、つまりサラミについてですが、イタリアはいまや100メートルごとに異なるサラーメが作られているいわれています。

 

細挽き、中挽き、粗挽き等の肉の挽き方、塩・ニンニク・トウガラシ・フェンネルシード・ワイン等味付けの違いによって、個性あるサラーメができるそうです。

北イタリアでは豚肉を細かく挽き、穏やかな味付けをするのに対して、南に行くと肉は粗挽き、トウガラシなどでよりスパイシーに仕上げる傾向があるとか。

 

リキュールのような赤のスプマンテは、エミリア地方の主力ワイン、ランブルスコ。「レ・テヌーテ アソーロ レッジャーノ」。

 

26か月熟成のチーズ、パルミジャーノ・レッジャーノとの相性が抜群です。

 

チーズは、ジャムやハチミツと合わせてもおいしいですね。
赤タマネギにバルサミコ酢とレモン汁、サトウキビなどを加えたジャム、オレンジとリンゴのブレンドジャムです。 


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地元のスイーツをいただきました。
パルミジャーノを使ったものと、柑橘系のリキュールをたっぷり浸み込ませた生地に、チョコレートとフランボワーズジャムをサンドイッチにしたもの。

微発泡の「マスカート・ドルチェ」は、干草の香りが加わって、とってもさわやか。 

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あまりにおいしかったので、リキュールたっぷりのスイーツを、おみやげに買いました。

プランタン銀座の広報スタッフは、お酒大好きな女性が多いので、大好評でした。

 

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090604030.jpg最後の締めに、アルコール度数37%のリキュール「バルニョリーナ」を。

赤い果実の爽快な酸味を感じました。

 

パルマの生ハム、やはり現地で食べると、こんなに脂肪分がとろけるようにマイルド、自然なやさしい甘みに包まれるというのは発見でした。

地元スプマンテをお供に、本当に堪能しました。

 

イタリア旅行に出掛ける食いしん坊さんには、パルマははずせない場所、おすすめです!!

 

 

 

Ghirardi Onesto(ギラルディ・オネスト)社の工場見学へ。

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工場を入ったところに、生ハム・ローズの壁紙が目に付きました。 

 

 

 

 

 

  

 

熟成期間別に、いろんな熟成庫をのぞきました。

 


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最高品質のイタリア産豚肉だけを使用し、防腐剤・保存料などの添加物を一切使わず、海塩だけを使用。長い熟成プロセスを経て丁寧に作り上げる職人技に感嘆!

 

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午後4時、バローロの故郷、ピエモンテ州に出発です。

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永峰好美のワインのある生活

<Profile> 永峰 好美 日本ソムリエ協会認定シニアワインエキスパート。プランタン銀座常務取締役を経て、読売新聞編集委員。『ソムリエ』誌で、「ワインビジネスを支える淑女たち」好評連載中。近著に『スペインワイン』(早川書房)