ニューワールドアーカイブ

2009.09.26

インド産ワイン~「SULA」(スーラ)

私が講師を務めるワインクラスの生徒さんの中には、とっても好奇心旺盛な紳士がいらして、

「世界中のいろんな国の様々な種類を飲んでみたい!」

と、いつも難しいお題をいだだきます。

 

先日のリクエストは「インドのワイン」でした。

私にとっても初体験!

そういえば、よく利用する東麻布のワインショップで見かけたような・・・。
それで、「世界のワイン」コーナーで見つけました!!


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2008スーラ・ヴィンヤーズ シュナンブラン =左
2008スーラ・ヴィンヤーズ シラーズ =右

 

太陽をデザインしたエチケットが結構キュートで、歌って踊り狂うインドのコメディ映画をつい思い描いてしまうワインです。

ほかにも、ソーヴィニヨンブラン、ジンファンデル、カベルネソーヴィニヨン、それにスパークリングワインなどがありました。

 

スラ・ヴィンヤーズは、インド西部の商業都市ムンバイ(ボンベイ)から180キロ北東にあるナシクの町にあります。

随分前になりますが、取材でボンベイを訪れたことがあります。

気温も高く湿気も多く、とてもブドウが育つ環境ではないと思っていましたけれど。

ところが、このナシクの町は海抜610メートルの高地で、カリフォルニアやスペインに似た気候なのだとか。

 

ワイナリーのオーナーのラジーブ・サマント氏は、米スタンフォード大学卒業後、シリコンバレーで金融の仕事で活躍、1997年、故郷のインドに戻ってワイン栽培を始めました。

カリフォルニアで、ワインの楽しさに魅せられちゃったのでしょうね。

そして、ソノマの有名ワイン・コンサルタント、ケリー・ダムスキー氏をインドに招聘し、空調システムを導入、また、環境保全型のブドウ栽培を実践しているといいます。

 

シュナンブランは、パイナップルやマンゴーなど南の果実味がいっぱいで、酸味はやわらかく、フレッシュな味わい。タンドリーチキンなど香辛料のきいた料理との相性もよさそうです。

なお、ワイナリー・オーナーからは、「夏の夕刻に飲むのが最適なワイン」とのアドバイス・メッセージが付いておりました。

 

シラーズは、ブルーベリーのような味わいとスパイスの香りが広がり、滑らかなタンニンが結構後をひきます。ちょっと冷やしてから出したのですが、あまり冷やさない方がよかったな、という印象でした。

 

いずれにしても、千円台前半で買えるコストパフォーマンスのよさは素晴らしいです。


インポーターさんの資料によれば、アラン・デュカス氏のモナコの三ツ星レストラン「ルイ・キャーンズ」のワインリストにも採用され、また、イタリアではアンジェロ・ガイア氏が、カリフォルニアではコッポラの「ルビコン・エステート」のシェフ・ソムリエ、ラリー・ストーン氏が惚れ込んでいるというのだから、やはり気になる存在ですね。

 

サマント氏が目指すのは、「世界に通用するアジア最高のワイン」。

日本の国産ワイナリーも負けられませんね。

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2009.09.11

横浜中華街で中国ワイン

今年は横浜開港150周年の記念の年。


1853年(嘉永6年)にペリーが来航、翌1854年(安政元年)に再来航と日米和親条約の締結、そして、1859年(安政6年)の横浜開港につながる、というのが歴史の流れです。


横浜に行く用事があったので、中華街に寄ることにしました。


横浜中華街も、誕生150年なんですね。

横浜開港資料館では、中華街の歩みをたどる企画展も行われていました(10月25日まで)。

 

開港後まもなく横浜にやって来た中国人は、外国人居留地の一角に住み、西洋人と日本人の貿易の仲立ちなどをしながら横浜に華僑社会を根付かせたといいます。


遅めのランチは、「ペリー来航の間」があるホテル・ニューグランドで、名物のカレーを。

ここのクラシックなボールルームが好きです。


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09090302.jpg1927年(昭和2年)に開業した同ホテルは、初代総料理長にパリからスイス人のサリー・ワイル氏を招聘。

「コック長はメニュー以外の如何なる料理にても御用命に応じます」として、ア・ラ・カルトメニュー(一品料理)を取り入れ、また、服装や形式にとらわれない自由な雰囲気の「グリル」スタイルを導入したことで知られます。


09090303.jpgカレーライスは、開業時よりメニュー化されていて、マンゴ、マンゴチャツネ、チーズ、ラッキョウ、福神漬、パイナップル、オニオンフライ、ココナッツ、ボンベイダック、ピクルスの10種類の薬味が振る舞われました。

 

戦後の接収時には、GHQの将校たちにスナックとして愛されたといいます。

 

ここのカレーが有名になったのは、1960年代、所得倍増計画を行った当時の池田勇人首相が、「カレーでも食べながら」と、カレーミーティングを好み、週刊誌などがこぞって特集を組んでから。


今でも、1階の「ザ・カフェ」で、ビーフ、ポーク、シュリンプの3種類のカレーが食べられます。


小麦粉でとろとろのカレー、久しぶりに楽しみました。

幼いころ好んで食べた、出前のおそば屋さんのカレーライスを思い出します。

私はビーフカレーを頼みましたが、お肉がごろんごろん。

パイナップルの薬味をたっぷり添えていただきました。

 

さて、夜は、舌がしびれる刺激を求めて四川料理の重慶飯店本店へ。

お料理はこんな感じです。

 

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やはり、ここは麻婆豆腐がおすすめです。


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最初はビールにしましたが、せっかくなので、中国ワインを。


09090313.jpg長城葡萄有限公司が万里の長城の麓、河北省沙城地区で造る「長城ワイン」の赤と白です。

 

エチケットは、もちろん万里の長城です。

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白は、龍眼種(ドランゴンアイ)を使った爽やかな酸味の辛口。

赤はカベルネソーヴィニヨンとメルロのブレンドだそうですが、冷やし過ぎでよくわかりませんでした。

少なくとも白は、10年前に現地で飲んだときよりもずっと洗練された味わいになっていましたが。


ですけれど、舌がしびれる山椒の辛さとワインとの相性を探るのはなかなか難しいです。

本格四川料理に合うワイン、見つけた方いらっしゃいましたら、ぜひアドバイスお願いします。
 

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2009.08.28

ルビー色に輝くロゼで中華を楽しむ

中国料理がやたら食べたくなるときって、ありませんか?


評判のいい東麻布の中華料理店「富麗華」で、週末のランチをいただきました。

名物の北京ダックの入ったコースです。

 

前菜盛り合わせと香港式点心三種盛り合わせ


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前菜のクラゲのコリコリ感が、「さあ、中華を食べるぞ!」という気分を盛り上げてくれます。

 

海鮮のとろみスープ、そして北京ダック

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豚挽肉とカボチャの炒め物、旬の野菜炒めは豆苗とマコモダケ

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干し肉とホウレンソウの炒飯、そしてこれも名物のタピオカとマンゴーのミルク

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ここはワインの持ち込みができるのですけれど、ワインリストにあったロゼワインを注文してみました。

 

2007「ロッシーノ・ロゼ」(ドミニク・ヴェルサーチ)

 

09082709.jpg深いルビー色の鮮やかな外観の印象通り、酸はやわらかく、チェリーの香りが広がります。

辛口ロゼは、オイスターソースやしょうゆベースの中華と相性いいですね。

 

このワイン、オーストラリア産(南オーストラリアのアデレード・プレインズ)なのに、品種はイタリアの「キャンティ」などに使われるサンジョヴェーゼです。

 

???

 

 

 

でも、理由がわかりました。


ドミニク・ヴェルサーチは、イタリアのファッションデザイナー、ジャンニ・ヴェルサーチ氏のいとこ、カミルネ氏が2000年に創設したオーストラリアのブティックワイナリー。

カミルネ氏は、1950年にイタリアからオーストラリアに移民しています。

いまはその息子のドミニク氏が醸造責任者を務め、ブドウの手摘み、かなり厳格な有機栽培の導入、そしてイタリアの伝統的製法の継承にこだわって生産本数を限定し、年々評価が上昇しているようです。
サンジョヴェーゼでロゼを造る発想も、イタリア系ならでは・・・ですね。

 

中華も好きですが、ベトナム料理も大好きです。
とくに、胃腸が疲れると、とっても食べたくなるんです。

ロンドンに住んでいた20代のころ、レスタースクエアにベトナム難民の美しい姉妹が年中無休で開いていた小さな店があって、おなかの調子が悪いと、よくフォーを食べに行っていました。

 

というわけで、夏の疲れた胃腸を癒そうと、先日、六本木のベトナムレストランを訪ねたら、ベトナム産ワインに出合いました。

 

09082710.jpgダラットワインです。

 

ぼけぼけの写真で恥ずかしいのですが、店内がほんと暗かったんです(と言い訳させてください)。

 

輸入元のアルファ・エイティーンさんの資料によれば、ワイナリーがあるダラットは、ホーチミン市から北へ約300キロ、フランス統治下時代にフランス人により開かれた高原都市。現在も避暑地として美しい自然に囲まれ、ワイン造りには最適な環境といいます。


ブドウ畑があるのは、ダラットから車で2時間くらいのファンランという街。

品種はカルディナルとシラーが主体。隠し味に、特産のマルベリー(桑の実)が入っていて、味をまろやかにしているそうです。

やはり特産のストロベリーを加えたワインも、地元では人気のよう。

 


私はお店の人のおすすめに従い、ぎんぎんに冷やした赤にしました。

ワインというより、グレープジュース???

現地では、氷を入れてぐびぐび飲むそう。そういえば、台湾でも、そんな飲み方でしたっけ。

 


私の大好きな香菜の香りを邪魔することもなく、また、チリで口の中に広まった辛味も適度に中和してくれて、美味しい料理を引き立てるお役立ちワインでした。

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2009.08.26

過ぎ行く夏を名残惜しむときの白ワイン

東京では、初秋の風を感じる日が増えてきました。

湿気の多い蒸し暑い日本の夏はあまり得意な私ではありませんが、過ぎ行く夏はちょっと寂しい・・・。


09082601.jpgで、6月に北海道・奥尻島に行ったときに気に入って買った「奥尻ワイン」の白を開けました。


品種はケルナー。

キレのいい酸、グレープフルーツのような柑橘系の爽やかな香りが楽しめました。

ちょっと塩味を感じたのは、やはり海の恵みでしょうか。


 

1993年、200人を超える犠牲者を出した北海道南西沖地震で、奥尻島は最大の被災地。

現在は復興が進み、随分と島も元気になっていました。

 

「奥尻ワイン」は、20ヘクタールほどの畑で育てる奥尻島産のブドウを使用。

「島の新たなブランドに育てよう」と、復興の公共工事を請け負った海老原建設のグループ会社がワイナリー経営に挑んでいます。


10年前に島に自生するヤマブドウの苗木栽培からスタート、2001年にヨーロッパの品種を中心にワイン用ブドウの栽培も開始。昨秋、ワインの製造工場も完成しました。


2007年産ブドウで1万5千本を生産、2008年産ブドウでは5-7万本に増産する予定といいます。


北緯42度10分に位置する奥尻島は、25メートルという透明度の高い海に囲まれた離島。

果実を厳しく鍛える風が島を駆け抜けます。もちろん雪も降りますが、北海道本島と比べればまだまだ温暖。

道産ワインに多いドイツ系品種だけでなく、シャルドネやメルロー、ピノノワールなどフランス系品種が栽培できるのも 島の気候がなせる業なのでしょう。

 


09082602.jpg現地に行ったときは、島の人たちが魚介類のバーベキューでワインを振舞ってくれました。

 

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そう、旅には、メディアパーソナリティの芳村真理さんもご一緒で、場を盛り上げてくださいました。


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そのとき気になったのは、ノースレッドという品種。

広島の農業試験場が交配に成功したもので、セネカとキャンベルアーリーを掛け合わせたものだそうです。糖度が18度前後と高く、寒冷地で育てやすいらしいのです。

もともと食用でしたが、独特のケモノっぽい香りがあり、ワインとしても注目品種! 

「ね、綿菓子みたいなやさしい甘みがあるでしょう」と、醸造責任者の菅川仁さんは言っていました。これから、どんな風に育つのでしょうね。


 
09082606.jpg菅川さんの自信作は、こちらのスペシャル・キュヴェの白。

 

ミューラートラウガウ、シャルドネ、ピノ・グリのブレンドです。柔らかな口当たりです。

 

「赤はまだ試行錯誤」なのだそうです。

 

奥尻島の訪問記は、読売新聞のヨミウリオンラインで連載している「GINZA通信」に詳しく書きましたので、チェックしてみてください。

 

 

「奥尻ワイン」は、7月に開催した私のワイン講座でも人気でした。


このときは、白ワイン尽くしで臨んだのですが、

 

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中でも、好評だったのが・・・

2007ヴィオニエ・サント・フレール(ドメーヌ・ド・トリエンヌ)


 

09082608.jpgドメーヌ・ド・トリエンヌは、以前もご紹介しましたが、

ロマネ・コンティのオベール・ド・ヴィレーヌ氏とデュジャックのジャック・セイス氏という、ブルゴーニュの2人の巨匠が南仏で手がける夢のデイリーワイン。

 

このおいしさで2千円前後は、ほんとにお買い得。

プランタン銀座でも最近人気が急上昇の注目ワインです。


ヴィオニエで造ったこの白は、白い花のような爽やかな印象が残る若々しいワインでした。

過ぎ行く夏を感じるには、いま飲みどきではないかしらん。


それから、カリフォルニアの
2006クロ・デュ・ヴァル クラシック・カネーロス シャルドネ  も好評でした。


09082609.jpg1972年に誕生した「小さな谷の小さなブドウ畑」という意味のワイナリーです。

カリフォルニアなのになんでフランス語名?

それは、フランス・ボルドーにルーツを持つ米国人実業家のジョン・ゴレが「世界最高のワインを造る」ための新天地を求め、ボルドー出身の醸造家ベルナール・ボーテに2年間調査させた結果に見つけ出した土地だったから。フランスと縁があるのですね。


目指すは、「カリフォルニア・ナパヴァレーの傑出した果実味とヨーロッパ伝統のワインメイキング手法の融合」。

 

フランスワインとカリフォルニアワインの熟成後の味わいを競った、有名な「パリ・テイスティング」では、このワイナリー、優勝したこともあるのです。

さて、シャルドネは、トロピカルフルーツの凝縮した果実味があり、濃厚でボリューム感もありました。「ガツンときますね」と、シャルドネ好きの講座の生徒さんの感想です。


 

そして、女性の生徒さんに人気だったのは、


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2007シャスラ ヴァン・ド・ペイ(ウヴァヴァン)=左

2007コレクシオン ピクブル・ド・ピネ(ダニエル・ベシエール)=右


シャスラは、スイス・ヴォー地方、ピクブルは、南フランスのラングドック地方のもの。

軽やかな甘みが女性好みで、「どんな料理とも合わせやすそう」とのことでした。

 

過ぎ行く夏を、ワインとともに楽しみましょう。

 

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2009.06.29

ギリシャ、トルコ、グルジア・・・

私のワイン講座では、3か月に1回、教室を飛び出して、プランタン銀座の「サロン・ド・テ アンジェリーナ」で、料理とワインのマリアージュを楽しんでいただいています。


毎月テーマを、生徒さんにリクエストしていただいているのですが、今回は、「今まであまりお目にかかったことのないような変わったワインを飲みたい!」・・・でした。

 

こりゃ、難しい。
1か月前からワイン選びにプレッシャーを感じていました。

 

タイトルは、《ちょっと変わった生産地・品種に挑戦!》に決定。
ギリシャ、トルコ、グルジア、ハンガリーのワイン4本を中心に・・・

 

09062901.jpg左から、
 ギリシャ「レッチーナ・オブ・アッテカ」(コウルタキ)
 トルコ「カッパドキア 岩のワイン」(トウラサン)
 ハンガリー「2004 エグリ・ビカヴェール」(フンガロヴィン)
 グルジア「サペラヴィ」(GWS社)

 

そして、最初はイタリア白、最後はフランス赤で締めるという趣向にしました。

アンジェリーナで腕をふるう塩川シェフも、このユニークなワインのラインナップに、アイデアたっぷりの料理を用意してくれました。

 

まず、ワインを飲む前に一口


09062902.jpgトマトのジュレと桃の冷たいスープです。桃の甘みとトマトの酸味が口に広がり、夏を感じますね。

 

最初のワインは、イタリア・リグーリア州の2006 リヴィエラ・リグーレ・ディ・ポネンテ・ピガート(ラ・ロッカ・ディ・サン・ニコラオ)。


09062903.jpg世界遺産にも登録されているリヴィエラは、北はアルプス山脈を臨み、南はティレニア海に面した観光地。地中海性気候で、山と海からの影響を受ける土壌から、高品質なブドウが収穫されています。


品種はピガート100%。麦わら色の外観、青リンゴにハーブのニュアンスもあり、ナッツの苦味がアクセントになって、コクもあり、おいしい白ワインでした。アルコール度数は13%と意外に高いんですね。


09062904.jpg料理は、魚介類のマリネ・サラダ仕立で、オマール海老、ハモ、トコブシが並びます。

 

 

ギリシャの「レッチーナ・オブ・アッテカ」は、現地ではポピュラーな松ヤニを加えて風味付けした伝統的な白ワイン。

サヴァティアーノというギリシャの主要品種を使います。ちなみに、固有品種は300種以上とか。 


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ギリシャのワイン造りの歴史は古く、紀元前1600年ころのミノア文明の時代のものとして、クレタ島のクノッソス宮殿近くのヴァシペトロには、王家のワイン醸造場跡が残っているそうです。
ああ、一度訪ねなければ・・・。


松ヤニ風味のワインは、最初は木の皮のような苦味が感じられましたが、ズッキーニの花やトマト、黄ピーマンなどシンプルな旬野菜を盛ったギリシャ風サラダと合わせると、すっきりさわやかな味わいに。青い地中海の風を想像させてくれました。

 

 

お次は、奇岩で有名な世界遺産トルコのカッパドキアをモチーフにした「岩のワイン」。


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カッパドキアは、トルコのほぼ中央に位置し、標高1000メートルを超えるアナトリア高原中央部に広がる岩石地帯。

3世紀半ば、ローマ帝国の弾圧を逃れた修道士たちが移り住み、地下に信仰の場をつくり上げました。洞窟は年間を通じて12-13度に保たれることから、ワイン貯蔵にも優れていたのです。


オキュズギョズ、ボアズカレという聞き慣れない品種の軽めの赤ワイン。香辛料をちょっぴり効かせたナスのムサカといい相性でした。
ユニークなボトルがなかなか人気で、生徒さんの一人が持ち帰られました。

 

お次は、グルジア・カヘチ地方の「サペラヴィ」。サペラヴィは、グルジアの土着品種です。


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熟したブラックチェリーの味わいを、軽やかなタンニンがやさしく包み、バランスがよい辛口の赤でした。オークの香りもしっかりあって、国際コンクールでも金賞受賞というのにも納得です。

メルローにたとえられることもあるそうですが、それはタンニンの柔らかさからでしょうか。

 

グルジアは、コーカサス山脈の南、黒海とカスピ海の間にあって、北はロシア、アルメニア、アゼルバイジャンに接しています。

5000年以上前、コーカサスの山の湧き水で育った最古のブドウの原種で生まれたのがグルジアワインで、グルジアは「ワイン発祥の地」ともいわれています。
このワインがチグリス・ユーフラテス川を下ってエジプトに渡り、クレオパトラが一人グラスを傾けて涙を流したとの逸話も。グルジアワインが「クレオパトラの涙」と呼ばれる由縁のようです。


長寿大国グルジアでは、大地の恵みから得られるワインが健康に寄与しているのでしょうか。
料理は、ノルウェーサーモンのポワレ・赤ワインソース、ポワローのクリーム煮添え。

 

 

お次は、ハンガリーの「エグリ・ビカヴェール」。「牡牛の血」という名の赤ワインで、濃くて深い味わいといわれますが、意外に軽やか。

 

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ベリー系の果実の風味にスパイシーさが加わり、タンニンもなめらか。

ハンガリー北部の有数のワイン産地、エゲル産。ケークオポルトー、ケークフランコシュがブレンド。料理はやはり、肉でしょうね。


軽くスモークしたフランス産マグレ鴨にウドのサラダ添え。サフランで煮たきれいな黄色の小カブが柔らかくておいしかったです。

 

 

最後は、やはり好みのフランスワインで締めさせていただきました。南仏ラングドックを選びました。

2005 ロペラ・ミネルヴォア ルージュ(シャトー・ヴィルランヴェール・ジュリアン)


09062913.jpgシラー65%、グルナッシュ30%、ムルヴェードル5%。

果実味がいきいき、ローズマリーなどハーブの香りが南仏を感じさせます。

 

19世紀に、創業者エティエンヌ・ジュリアン氏が地元オード県に初めて鉄道を敷き、その収益で買ったのがこのシャトー。4代目は醸造の近代化に力を注ぎ、ミネルヴォアをAOCに昇格させた功労者。現在の所有者、ミシェル・ジュリアン氏は5代目。


「オペラ」という名前は、パリのオペラ座に使われている大理石が産出する地域なので。ブドウ畑にも大理石が含まれているらしいです。


09062914.jpg料理は、牛ササ肉の柔らか煮ソテー・マスタードとスパイスの香り焼き。アバラ骨に付いた肉、それもモモの付け根側の部分の肉だそうです。

 

 

最初のイタリア・リグーリアの白ワインと、最後のフランス・ラングドックの赤ワインは、プランタン銀座のワイン売場でも取り扱っています。2000-3000円台です。

 

デザートは、初夏らしく、抹茶のソフトアイスと旬果のカクテルゼリー。

 

09062915.jpgごちそうさまでした。
今回は歴史や地理のお勉強ができて、資料をそろえた私もとっても楽しかったです。


 

なお、読売・日本テレビ文化センター町屋(荒川区)の講座「ワインのある生活」では、7月期の受講生を若干募集しています。毎月第4金曜日午後7時から。体験受講も可。電話03-3802-7115でお問い合わせください。

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2009.06.11

ワインも主役の映画「サイドウェイズ」のメディア・レセプション

1週間ほどのご無沙汰です。

実は、イタリアを駆け足で縦断していました。

ワインのお話、たっぷり連載していきますので、お楽しみに!

 

さて、帰国してすぐ、素敵なワインイベントに参加したので、今回はそちらの話題をご紹介します。

 

ワイン大好き、映画大好きの皆様であれば、覚えていますか?
2004年製作、第77回アカデミー賞最優秀脚色賞を受賞した映画「サイドウェイ」。

米カリフォルニア・サンタバーバラのワイナリーの美しい田園風景の中で繰り広げられる、おかしくて、それでいて何とも切ない人間模様・・・。映画の随所に出てくるワインのうんちくとそれぞれの人生とが重なり合い、そして1988年の「サッシカイア」なども登場して、印象深い映画でした。

 

そのハリウッド映画が日本人キャストでリメイク、新バージョンの「サイドウェイズ」となって今秋公開が予定されています。
舞台も、サンタバーバラから北上して、日本人にもおなじみのナパ・バレーに。

公式HPはこちら!

http://movies.foxjapan.com/sideways_jpn/?foxad_id=ggl_adwords_sideways_090512_0

 

6月9日にTOHOシネマズ六本木ヒルズで開かれたメディア・レセプションでは、映画試写会の前に、カリフォルニアワインを楽しむ機会が設けられていました。

ワインリストは次の通り。
1.ベリンジャー スパークリング・ホワイト・ジンファンデル
2.2007 ベリンジャー ファウンダース・エステート シャルドネ
3.2005 ベリンジャー ファウンダース・エステート カベルネソーヴィニヨン

 

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ベリンジャーといえば、1876年、フレデリック&ジェイコブのベリンジャー兄弟によって設立された老舗ワイナリー。

米国で禁酒法が制定された1918年、ミサ用ワインの生産を許されたため閉鎖されることもなく、ナパ最古のワイナリーになりました。

 

70年代に伝説的ワインマスター、マイロン・ナイチンゲールが加わることにより、醸造の技術革新が進み、90年代には、「プライベート・リザーヴ」のカベルネとシャルドネが、ワイン・スペクテーター誌の「ワイン・オブ・ザ・イヤー」を受賞しています。

 

私は、サンフランシスコの対岸にあるバークレーに住んでいたころ、「ナパ・バレー」シリーズのシャルドネの濃厚な樽の香りに魅せられて、愛飲しておりました。

 

今回いただいたのは、創業者のベリンジャー兄弟に敬意を表した「ファウンダース・エステート」シリーズ。

伝統的な醸造技術を用い、同社のハウス・スタイルを最もよく表しているワインだそうです。

 

シャルドネは、リンゴや洋ナシの香り、トロピカルフルーツやスパイスの味わい、樽香もほどよくきいていて、バランスのいい白ワインでした。
カベルネソーヴィニヨンは、ブラックベリーやシナモンの香り、滑らかなタンニンを感じさせ、舌の上でころがして余韻が楽しめました。

 

カリフォルニアといえば、忘れられない品種は、ジンファンデル。個性の強い濃厚な造りの最近の赤、私は結構好きです。

 

ホワイトジンファンデルは、やや甘口で軽やかな飲み口がアメリカ人好みのブラッシュワイン。どちらかといえば、ジュースっぽいのですが、メキシコ料理や中華なんかには、合いますよね。

これがスパークリングになると、さわやかな泡立ち、イチゴジャムのような甘み、柑橘系の酸味も加わり、なかなかおいしい!

淡いピンク色・・・スパークリングになると、さらに輝いていました。

 

 

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ワインに合わせたフィンガーフードもとっても美味で、あっという間にお皿から消えていました。

 

映画の公開が待ち遠しい!!

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2009.05.25

日本のワイン再発見

このところ、日本のワインがとてもおいしくなったという話を聞きます。
そこで、私が主催するワイン講座でも試してみました。白3種類、赤1種類です。

 1.シャトーマルス 甲州穂坂収穫2007
    品種 甲州
   本坊酒造・山梨マルスワイナリー(山梨県笛吹市)
 2.シャトーマルス 甲州白根シュール・リー2007   
   品種 甲州
   本坊酒造・山梨マルスワイナリー
 3.ミュゼ・ドゥ・ヴァン 桔梗ヶ原マスカットベリーA2006    
   品種 マスカットベリーA
   アルプス (長野県塩尻市)
 4.グレイスケルナー2008 レイトハーヴェスト
   品種 ケルナー
   中央葡萄酒 (山梨県甲州市)

 

これが、どれもなかなか好評でした。

中でも、女性の生徒さんたちに評判がよかったのが、4番目のグレイスケルナーの甘口タイプ、レイトハーベストでした。


 

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レイトハーベストとは、遅摘みのことで、ドイツのアウスレーゼのように過熟したブドウを使った甘口です。
ケルナーは、ドイツで人気の品種で、赤のトロリンガーにリースリングを掛け合わせたもの。栽培地は北海道余市町。暖流の影響、日照時間の多さなど、北海道内でも恵まれた条件を備えた地域です。

まずグラスに注いでまもなく、ふんわりと広がりのある熟れた果実の香りに圧倒されます。味わいは、芳醇な果実味とともにミネラルが凝縮されていて、十分な甘みの中に引き締まった酸味も感じられます。ほんのり上品な貴腐香も・・。
「チーズケーキなどのデザートと合わせてもおいしくいただけそう」と、女性陣の感想は一致しました。

 

 

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1番目と2番目は、日本を代表する固有品種の甲州種です。栽培の歴史は古く、修行僧行基の時代、今から1300年ほどさかのぼる説もあります。1番目の栽培地は山梨県韮崎市の穂坂地区。フランス産のオーク樽で熟成されており、ふくらみのある味わい。


2番目の栽培地は、同じ山梨県でも甲府盆地の西の白根地区。「シュール・リー」とは、フランスのロワール地方のミュスカデで用いられる製造法で、発酵が終わった後、酵母菌などから成る澱(おり)をすぐには取り除かないで、しばらくの間タンクの中でワインと接触させる方法。清涼感のある酸味に独特のコクが加わります。微発泡がみられました。


3番目の赤は、先日長野に旅行した時に購入しました。マスカット・ベリーAは、明治時代に開発された日本固有の交配種。ジャムのようなやさしい甘みに滑らかなタンニンが合わさり、なかなか複雑な味わいです。和食とも相性のよさそうな赤ワインでした。

 

4種類とも千円台という買いやすさ。白ワインに関しては、プランタン銀座のワイン売場でも取り扱っています。

 

 

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2009.05.21

イスラエルワインに注目!

プランタン銀座のワイン売場にも、最近評判のイスラエルワインが登場しました!


現在展開中の「ニューワールドワインフェア」で、ゴランハイツ・ワイナリーから「ヤルデン」シリーズの5タイプです。エチケットは、魔法のランプの図柄で、エキゾチックな中東の風景が頭に浮かびました。


イスラエルのワインといっても、あまりピンとこない? ですよね。


女性にとっては、死海の塩を使った化粧品やガミラおばさんの手作り石鹸など、ユニークな美容商品のイメージの方が先行しているかもしれません。


ところが、一口飲んで驚いたのですが、なかなか存在感のあるワインなのです。

 

まずご紹介するのは、

「ヤルデン・マウントヘルモン・レッド2007」。1890円。

 

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品種は、カベルネソーヴィニヨン、メルロー、カベルネフランをブレンドするボルドースタイル。どっしり重みがあり、熟したプラムの凝縮した果実味を感じました。

 

コストパフォーマンス抜群!! です。

 

イスラエルは、キリストの聖地。古代イスラエルでは、4000年以上前からワイン醸造が始まり、旧約聖書にもその記述があります。

ゴランハイツ・ワイナリーは、イスラエルのゴラン高原にある小さな街カツリンに、1983年誕生しました。
ゴラン高原は、比較的涼しく、火山灰土壌で水はけに優れており、醸造用のブドウの生育に適した気候風土といえます。

 

それに加えて、カリフォルニアから最適の設備を導入、また、「オーパスワン」などで活躍している醸造家を招聘して研究を重ねています。

 

ブドウ畑の小さな区画ごとにサーモスタット等を設置し、ブドウの出来具合など綿密な記録を収集するほか、コンピューター制御で温度管理されたステンレスタンク等を使うなど、徹底した管理システムが構築されているのが特徴のようです。

 

 

プランタン銀座で展開中の「ヤルデン」シリーズは、ほかに、

白ワインは、

 

「ヤルデン・マウントヘルモン・ホワイト2007」 1785円。

ソーヴィニヨンブラン、エメラルドリースリング、フレンチコロンバールを使用。フレッシュな味わい。

 

「ヤルデン・シャルドネ2006」 2310円。

熟した洋ナシやパイナップル、新だるからくるバニラ香もほんのり。

 

「ヤルデン・ミュスカ2007」 1995円。

マスカット100%の甘口デザートワイン。焼いたチーズケーキなどと合わせたいです。

 

そして、私のおすすめは、赤ワインですが、

 「ヤルデン・カベルネソーヴィニヨン2005」 3675円。

 

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熟したブラックベリーとチョコレートの濃厚さ、さらにフレンチオークの豊かなたる香が味わいに複雑なニュアンスを与えています。

 

イスラエル航空のファーストクラスでも愛飲されているとか。最近のトピックスとしては、イタリアのヴェローナで開かれた国際ワインコンクール「ヴィニタリー2009」で、金賞に輝いたお値打ちワインでもあります。

 

 

10年以上の長期保存も可能でしょうが、いま飲んでも、大満足! でした。   

 

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永峰好美のワインのある生活

<Profile> 永峰 好美 日本ソムリエ協会認定シニアワインエキスパート。プランタン銀座常務取締役を経て、読売新聞編集委員。『ソムリエ』誌で、「ワインビジネスを支える淑女たち」好評連載中。近著に『スペインワイン』(早川書房)