ニューワールドアーカイブ

2010.10.10

久しぶりにカリフォルニア

毎月1回担当しているワイン講座で、久しぶりにカリフォルニアを取り上げてみました。

セレクトポイントは、コストパフォーマンスの良さ!です。

 

まずは白ですが・・・

 


 

2010100801.JPG2008 ポメロ ソーヴィニヨンブラン(メイゾン・セラーズ)

 

エチケットがキュートで、女性の生徒さんは皆、「かわい~い!」と声を上げました。

ポメロ(Pomelo)とは、マレー半島原産、「チャイニーズ・グレープフルーツ」とも呼ばれ、いまはカリフォルニアで作られているミカン属の果物。大きくて、厚めの緑色の皮の中に淡黄色または淡紅色の果肉がプルンと入っています。

ちなみに、スウィーティーはこのポメロとグレープフルーツを掛け合わせたもの、日本のザボンや文旦もポメロの改良系だそう。

こんなに果物の説明を詳しくしたのは、このワインの第一印象が、豊かな柑橘系の果実味のいきいきとした爽やかさにあったからです。それでいて、余韻もあって、心地よい苦味のフィニッシュで締めくくられます。エチケットのキュートさにひかれてカジュアルな雰囲気を連想して飲み始めると、意外と骨格がしっかりしていることに驚かされました。


カリフォルニアフリークのワイン仲間の一人がこのワインにほれ込み、輸入したものです。オーナーのランディ・メイソン氏は、数々のカリフォルニアのスターを育てている「ナパ・ワイン・カンパニー」でCEOを務めたこともある人で、ソーヴィニヨンブランの名手とも評されているそうです。

 

 

もう1本の白は・・・


 

2010100802.JPG2006 ロビンソン・クリーク シャルドネ(マクナブ・リッジ・ワイナリー)
 

こちらは、カリフォルニア州北部のメンドシーノ産。

メンドシーノは、比較的気候が涼しく、繊細な味わいのブドウができます。イタリア人入植者が多いこの地で、マクナブ・リッジを開いたのはスコットランド人。

味わいは、最初は西洋ナシのような果実のフレッシュな香りが先行しますが、時間の経過とともに、ハチミツやトロピカルフルーツの芳醇な香りに包まれ、ミネラルもしっかり。いや、余韻も長い・・・。

 

 

 

 

 

赤ワインは・・・


 

2010100803.JPG2006 カベルネソーヴィニヨン(ジラソーレ・ヴィンヤーズ)


これも、ポップなエチケットと、ボトルの首のあたりに止まっているハチさんのアップリケに注目! 

やはりメンドシーノの生産者、チャールズ・パッラ氏。「ブドウの自然なおいしさそのままに消費者に届ける」が彼の哲学で、この地の有機栽培の畑をリードする存在。

 

繊細なタンニンが溶け込み、酸味とのバランスもよく、満足のいく味わいです。

 

 

 

 

 

 

ほかに、飲んでおいしかったのは・・・


 

2010100804.JPG2008 アルザス・リースリング(ドメーヌ・ジョルジェ・エ・クロード・フレイブルジェール)


 

1963年から続く小さな家族経営の元詰め生産者。

2001年からビオデナミを実践。

 

 

白い花や青リンゴの爽やかさに、ワイン初心者も抵抗なく飲める一品でした。

 

 


 

 

  

2010100805.JPG2007 ゴーツ・ド・ローム(ゴーツ・ド・ローム・ワインカンパニー)

 

南アフリカの生産者で、シラーズ40%、ピノタージュ18%、サンソー17%、カリニャン13%、ムールヴェドル10%、ガメイノワール2%。

 

「Goats do Roam」は、さまよえるヤギ・・・ブドウの収穫期に、いたずらっこの息子がヤギたちを小屋から出したら、一番おいしく熟したブドウを全部食べてしまったそうで、そんなエピソードからワイナリー名が決まったそうです。「コート・デュ・ローヌ」を意識した遊び心いっぱいのワインは、赤い果実の豊かな香りとクローブやシナモンのスパイスが溶け合って、飲みやすいです。 


ユニークなエチケットも見逃せませんね。

 

 

いずれのワインも3千円以内で買えて、コストパフォーマンス抜群です。

プランタン銀座のワイン売場でセレクトしましたので、ぜひのぞいてみてください。

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2010.06.15

「魚のほね」とスパークリングワイン

こんにちは。


しばらく更新が滞っていましたが、ねたはいっぱいあるので、これから気合を入れ直して、少しずつご紹介していくことにします。ワールドカップで、日本も白星スタートしたことですし・・・(あっ、全然関係ありませんでしたね)。

 

 

まずは、最近感動したお店から。

東京・恵比寿にある「魚のほね」です。
入口がほんとにわかりづらいのですが、急な階段を上ると、驚くほど静寂な空間が広がっています。


 

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金髪店主の櫻庭基成さんが1人で料理作りからサービスまでこなしていました。だから、1日客は3組まで、とか。


ナプキン代わりにオリジナルの手ぬぐいがテーブルにありました(これ、持ち帰れました)。


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活きのいい魚料理が中心ですから、この日は泡で通すことにしました。

そう、蒸し暑くなってきましたから、すっきりスパークリングワインがますます美味しい季節!

 

 


10060703.jpg南オーストラリアのアデレーイド・ヒルズにある「Bird in hand」というワイナリーのピノノワールで造ったスパークリングワイン「ジョイ」です。

 

造り方はシャンパーニュと同じ方式。泡はきめ細かく、エレガントなスタイル。


 

店主は、このスパークリングにほれ込んで、結構な量を「買い占めた!」と聞きました。

 


 

10060704.jpg良質なブドウが収穫できた年だけ造るので、数量は限定。シリアルナンバー(赤字の部分。2桁のようだけど、よく読めない)付き。

 

「ジョイ」というのは、同ワイナリーのオーナー兼醸造家のアンドリュー・ナジェさんのお母様の名前。高齢者や身障者のケアに尽くすNPO活動に熱心なジョイさんは、アンドリューさんにとって「人生の師」でもあったようで、「ワイナリーの成功はコミュニティの成功」というのが彼の哲学です。


2007年は、熟した赤い果実の心地よい香りが十分ありながら、バターを塗ったブリオッシュのようなクリーミーなニュアンスも。脂ののった魚と相性ばっちりです。

 

 

 

まずは、沖縄の太もずく。北海道のミズダコとともに。歯ごたえがしっかりありました。

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淡路島のハモ。のり酢でいただきます。

 

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アユの季節ですね。島根県産です。お腹が上側になってサービスされました。

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北海道産イワシクジラの握り。トロよりも美味しいかも。

 

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このあと、絶品のシジミのお吸い物がありました。

2キロのシジミから1リットルのスープをとるそうです。

 

 

本日のメインは、お刺身盛り合わせ。アオリイカやカツオ、スズキ、アオダイなど。

白身は唐辛子酢でいただくと、ぴりりと引き締まった味わいに。

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千葉・銚子からはノドグロ。新鮮なので、骨離れが素晴らしい!

 

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追加で、石川県白山の純米生酒(車多酒造)をいただきました。


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最後は、漬け丼。もちろん、お茶をかけて〆に。


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デザートには、佐藤錦のサクランボ。

 

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肉食派の私は、どちらかといえば魚専門店に行かないのですが、

そんな私でも、大満足!でした。

 

                       

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2010.05.11

上海の旅で~その1

上海万博開幕の数日前、4泊5日で上海旅行に出かけました。


記者時代、中国取材は10回以上。

1984年が初訪問で、当時上海に行ったときには、格式ある錦江飯店で黒焦げのかた~い牛肉ステーキがどーんと出てきて、唖然としたものです。


前回上海を訪ねてからはや5年。
いや、ほんと、この街の激変は「スゴイ!」の一言に尽きますね。、

様々なビルの看板から高速道路の高架下まで、上海の街全体のイルミネーションはブルーで統一されていました。どれだけ電力を使っているのでしょう。ちょっと心配・・。

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さて、最初の夜は、友人が上海在住の外国人に人気の「1221」という店を予約してくれていました。人民広場の近くにあるホテルから15分ほど、延安西路1221号の番地からのネーミング。


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こんなお茶のサービスから始まって、

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なんだかとっても美容と健康によさそうなお茶でした。

 

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料理はこんなおつまみ系からスタート!!

 

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10人いたので、皆それぞれに食べたい物を注文していきました。

ベジタリアンもいたので、野菜のお皿がやや多め、かな。

 

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私がリクエストしたカニと春雨の土鍋煮込み。やさしい味でした。

 

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スープはマンゴーと白キクラゲ。 

 

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小籠包。上海では焼いたのが人気ですけれど。 

 

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北京ダック。上海で食べても、やっぱり美味しい!

 

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甘めの味付けに飽きてきて、辛い四川を追加で注文。

 

辛いはずの四川のメニューなのに、唐辛子で炒めた上からでんぷを振りかけたような甘さを感じてしまうのです!

 

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もち米とバナナのデザート。 これもあま~い。

食感はもちもち、真ん中あたりにバナナがたくさん埋まっていて、私は気に入りました。

でも、苦手な人が多かったみたい。

 

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さて、ワインは中国産に挑戦です。

立派なワインリストはありましたが、輸入ワインは異常に高く、とても飲む気が起こりませんでした。

 

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赤は、2007龍徽赤霞珠葡萄酒(ドラゴンシール カベルネ・ソーヴィニヨン)
白は、2007龍徽夏多内葡萄酒(ドラゴンシール シャルドネ) 

 

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龍徽(ドラゴンシール)は、北京にある中国とフランスのジョイントベンチャー会社。

カベルネは、1999年、香港国際葡萄品評会で最優秀赤ワイン部門賞を受賞した、中国ワインブームの火付け役なのだとか。どちらも日本円で千円前後。
実に軽やかです。やわらかな果実味とペッパーのニュアンス、オーク樽のほのかな香りもあって、まあ、飲めますね。

白は、裏側のラベルに「バターとトースト」「ヴァニラ風味」などの英語の説明が書かれていたが、ほんと、これ、シャルドネなの?という味わいでした。

ライチのような甘さのあるフルーツの味わいで、上海料理には合っていましたけれど。


 

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2010.04.06

メリー・エドワーズさんのピノノワール

米カリフォルニアを代表する女性ワインメーカー、メリー・エドワーズさんが3月末、夫とともに初来日。

東京・神田の学士会館のフランス料理店「ラタン」で、メーカーズディナーが開かれました。


メリーさんは、30年前に買ったクールな黒羽織をコートのようにふわっと羽織って現われました。

 

彼女がワインと出会ったのは、幼い頃の思い出にさかのぼるそう。母親のお手伝いをしている時に、料理に一味添えるエッセンスとしその存在を知ったというわけです。


カリフォルニア大学バークレー校で生理学を修め、その後、デーヴィス校で醸造学を専攻、醸造家としての道を歩み始めました。

カリフォルニアワインにクローンを導入する先駆的な役割を果たし、コンサルタントとしての地位を確立、現在は自社畑を所有し、何種類かのピノとソーヴィニヨンブランを造っています。1997年から造っているピノには、格別の思いと自信があるようでした。

ワインスペクター誌では、いつも上位にランクされる彼女のワインですが、なかなかお目にかかる機会がありませんでした(デプトプランニングさんが輸入されています)。
 

今回、いただいたのは、


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2000メリー・エドワーズ メレディス・キュヴェ レイト・ディスゴージド スパークリングワイン
2008メリー・エドワーズ ソーヴィニヨンブラン ロシアン・リヴァー・ヴァレー
2007メリー・エドワーズ ピノノワール ソノマ・コースト
2005メリー・エドワーズ ピノノワール ロシアン・リヴァー・ヴァレー
2007メリー・エドワーズ ピノノワール メレディス・エステート
2004メリー・エドワーズ ピノノワール クーパースミス ロシアン・リヴァー・ヴァレー

 

スパークリングワインは、少量生産で日本未入荷。きめ細かな泡とすっきりした酸がマイルドにまとまっていて、これは、とっても美味しかった!


ソーヴィニヨンブランは、メロンやライム、トロピカルフルーツの甘い香り、ほどよい樽の香りが相まって、芳醇です。米国では2007年が大人気で完売だそうです。

ピノは、それぞれの畑の特徴が表れて、面白いですねえ。
しなやかな重量感があるロシアン・リヴァー・ヴァレーのピノは長い余韻が楽しめましたけれど、私は、自社畑のメレディス・ヴィンヤードで造ったピノが一番気に入りました。エレガントで、バラやリコリス、ジャスミンティなど、複雑性のある香り、凝縮した味わいが広がって。魅力的です。

「この畑は、私が醸造家から栽培・醸造家への道を歩み始めるきっかけになった記念すべき場所」と、メリーさんの説明でした。

 

最後のクーパースミスは、まだ若すぎる印象でした。
 
合わせた料理をご紹介すると、


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10040603.JPG生ハム、そして一口のお楽しみ

 

 

 

10040604.JPG長崎産新鮮白身魚と生ウニの春仕立て

 

 


10040605.JPG北海道産ホタテ貝のココット焼き

 

長崎産アマダイの伊勢海老とサフランのソース

(写真を撮り忘れました!)

 

 

 

 

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骨付き仔羊のロティ 森のキノコ添えトリュフの香り

 

 

 

 

10040607.JPGデザートは、新潟産洋ナシの赤ワイン・コンポート


 
久しぶりに、しっかりしたクラシックなフレンチをいただきました。

良質なピノだと、楽しめますね。

 

女性ワインメーカーらしい(?)エチケットも目を引きました。

 

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とっても気さくなメリーさんと一緒に。


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「女性先駆者として、苦労したことは?」と伺ったら、「今が素晴らしいので、ネガティブなことは言わない。私には、ゲイ・サポーターチームがいて、親切に丁寧に、時に厳しく指導してもらいました」とか。


「女性の方がテイスティング能力が高いともいわれていますよね」と水を向けると、「そうそう、それは、研究者によっても裏づけられているデータがありますもの。女性そしてアジア系の中に、スーパーテイスターが生まれるようです」ですって。
 

女性のテイスティング能力の高さは、ワイン評論家のジャンシス・ロビンソンさんも指摘するところ。2月にジャンシスさんをインタビューしたのですが、その内容は、5月発売の日本ソムリエ協会誌「ソムリエ」に掲載の予定です。

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2010.03.31

ニューワールドのピノ飲み比べ

更新がしばらく滞りました。


皆さまはお元気にお過ごしでしたでしょうか?

3月半ば、ギリシャと北イタリアの旅から無事帰国したのち、たまっていた仕事やメールを処理し、さて旅行記に移ろうかと思っていたやさきにひどい風邪をひきました。追い討ちをかけるように、寒さがぶり返したせいか、久々に高熱にうなされ、喘息のようなせきが残り、辛かったです。


書きたい!、書かなければならない!

ネタは数多くあれど、手つかずのまま3月を終えそうで、いや、これはいけない!!

というわけで、まずは、3か月に1度開催している私のワイン講座のレストラン実習のレポートから。

この企画、プランタン銀座本館2階「サロン・ド・テ アンジェリーナ」の塩川シェフが、毎回、私がセレクトしたワインに合わせて料理を作ってくれるので、生徒さんの間でなかなか好評なんです。


さて、今回のテーマは、生徒さんのリクエストもあって、「ニューワールドのピノノワール飲み比べ」です。


ワインリストは次の通り。

 

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NVクカトゥー・リッジ ブリュット・キュヴェ
2009ショウ・アンド・スミス ソーヴィニヨンブラン
2008イージー・バイ・エニーラ(エニーラ)
2008モンテス リミテッドセレクション ピノノワール 
2008バルダ ピノノワール(ボデガ・チャクラ)
2007コールドストリーム・ヒルズ ピノノワール
2006クラウディ・ベイ ピノノワール

7種類で、白はたったの1本です。


 

10033102.JPG最初のスパークリングは、南オーストラリア・バロッサヴァレーの淡いピンク色の辛口ロゼタイプ。

 

シラーズ45%、カベルネ33%、コロンバール7%、グルナッシュ7%、セミヨン4%、メルロ2%、ピノ2%。

果実のすっきりした甘みとキレのある酸のバランスがよく、初夏にかけて食事と一緒に味わいたい1本。

 

 

 

 

アミューズは、

杏露酒に漬けてちょっと甘みのあるトマトをモツァレラチーズのスープと一緒に。


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10033104.JPG2番目のソーヴィニヨンの産地は、バロッサヴァレーの南にある冷涼なアデレードヒルズ。

 

1989年、従兄同士のマーティン・ショウとマイケル・ヒル・スミスにより設立されたワイナリー。マーティンは、フライングワインメーカーとしてフランスやスペインなど各地を飛び回り、また、マイケルは、マスターオブワインの称号をオーストラリア人として初めて取得したことで知られます。


ぎゅっと凝縮された梨のような果実味はニュージーランド的、そして、ハーブやアスパラガスの青っぽさはサンセールを思い起こさせるようで、いや、オーストラリアの白ワインは、市場を実にうまくとらえて造っていますね。

ソーヴィノヨンとシャルドネが得意らしいのですが、最近取り組んでいるというリースリングもぜひ飲みたいです。

 


料理は、コウバイ蟹のロワイヤルとウツボのブランシール。

ウツボって、あまり食べませんよね。アボカドとからめてバターで白くふっくら仕上げてあると、アナゴみたいな食感でした。


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10033106.JPG3番目までは、おまけです。

 

以前もご紹介したブルガリアのメルロ。

「ラ・モンドット」で知られるボルドー右岸のスター生産者、ナイベルグ伯爵が手がけるエニーラのカジュアルワイン。

 

ミントの風味、オークの香りが柔らかく、とっても飲みやすい。「このワインでシェフの料理を食べたい」とのリクエストがあり、再びセレクトしました。

 

 

 


料理は、ハンガリー産フォワグラのミルフィユ うるいとシャンピニオンのサラダ添えゴルゴンゾーラソース。

そういえば、ブルガリアも、フランス、ハンガリーに続くフォアグラの産地なんですよね。


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さあて、ここから、チリ、アルゼンチン、オーストラリア、ニュージーランドのピノの飲み比べです。


生徒さんの投票で人気があったのは、5番目のアルゼンチンと7番目のニュージーランドでした。


10033109.JPGアルゼンチンは、アンデス山脈を抱えるパタゴニアのリオ・ネグロヴァレー産。

年間降水量わずか18センチだとか。

大河と砂漠に囲まれて、昼夜の寒暖差が激しい乾燥した土地で、ブドウはしっかり鍛えられるのでしょう。

 

この造り手は、スーパートスカーナ「サッシカイア」のオーナーの甥っこのピエロ・ロケッタ氏。

フィルターもかけず、徹底した自然派の造り手です。きめ細かなタンニン、しっかり存在感のあるミネラル感は、とても個性的で味わい深いものがありました。

 


10033112.JPGニュージーランドは、モエ・エ・シャンドングループが所有する、南島の北端、マルボロ地区ワイラウ・ヴァレーの1本。

 

赤いベリー系の豊かな味わいに、ドライハーブやスミレの香りの広がりに、タンニンの滑らかな舌触りが重なって、余韻を楽しめるピノでした。

やはり私はこれに1票でした。

 

 

 

 


10033111.JPGオーストラリアの支持も結構ありました。

 

1985年にワイン評論家のジェームズ・ハリディ氏が設立したワイナリーで、オークの複雑な香りとスパイシーさがお好みなら、このピノがおすすめでしょうか。

 

チリは、他の3本に比べると、かなり平板な印象。軽めです。もちろん、きれいに造られてはいるのですけれど。

 

 

 


料理ですが、魚系は、オマール海老と山菜のフリット 桜の手打ちパスタ添え。

早春の味ですね。


 

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お肉は、骨付き仔牛背肉ロースト プロヴァンス風ジンジャーソース。

流行りのジンジャーソースで、風邪が吹き飛びそう!


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で、デザートは、左から、アプリコットのアイスキャンディ風、ジェノバ風バナナパン、マスカルポーネのムース。

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中でも、ジェノバ風バナナパンは大人気。

塩川シェフは、グルメな画家のモネの好物を再現した「モネの食卓」という本の中から、レシピを見つけたそうです。


ニューワールドと一口に言いますが、同じ南半球なのにこうして飲み比べると、違いますねえ。

だから、ワインは止められない!か。


新年度もよろしくお付き合いくださいね。
 

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2010.02.18

爽やかなギリシャワイン

3月、大学時代の恩師のアレンジで、ギリシャ旅行を予定しているので、その予習にと思い、六本木のギリシャ料理店に出掛けました。


「スピローズ(Spyro's)」というお店です。

 

10021801.jpgオーナーはギリシャ人と日本人のハーフだそうで、かなりのイケメンらしいのですが、伺った日はお会いできず、残念。


 

さて、紀元前5000年ごろ、オリエントで始まったワイン造りの起源をたどると、その後、紀元前2000年ごろにギリシャに伝えられたといわれています。
クレタ島には、紀元前16世紀のミノア文明期に使用された最古の足踏み破砕機が残っていると聞きます。

 

そうそう、ギリシャ神話に登場するディオニソスは、芸術・歓喜、そしてワインの神様。その故郷を訪ねるのですから、とっても楽しみなんです。

 

ギリシャのワインですが、古代ローマの詩人いわく、「ギリシャのブドウ品種を数えるよりも海岸の砂粒を数えた方が容易である」そうで、地元の固有品種だけで300種類を超えるといわれます。

大まかな特徴をまとめると、白ワインはボディは軽く、爽やかな柑橘系の酸味が広がるタイプ、赤ワインは、やや甘さを感じるしっかりした味わい。食事とともにカジュアルに楽しむことが多いようです。

もちろん、若い作り手らによって試みられている「スーパーグリース」、つまり、国際品種のカベルネやメルロ、シャルドネとブレンドし、フレンチオークの小樽で熟成させたタイプが登場していることも覚えておきたいですね。

 


10021802.jpg今回お店でいただいたのは、白ワイン。

2007マラグージア(ドメーヌ・ゲロバシリウ)

 

生産地はエパノミ。古代から伝わるワイン品種マラグージア種を近代的設備を整えたワイナリーが再現した話題の1本だそう。
辛口、フレッシュな酸味が口の中いっぱいに広がり、料理を待ち構える胃を刺激するにはちょうどいい感じでした。

 

 

 

 

 いやいや、驚いたのは料理です。
ギリシャ料理といえば、ムサカとかオリーブとかしか思い浮かびませんでしたが、これがバラエティに富み、しかもとっても美味しい!んです。


 
前菜には、まず、ギリシャ風ピタパンとタラモサラタのディップ

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続いて、キプロス島産チーズ・ハルミの鉄板焼き(サガナキ)

 

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オリーブやトマト、フェタチーズの載ったギリシャサラダ

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タラのビール衣揚げには、マッシュポテトの入ったガーリックソースがアクセント。

豚肉のギリシャ風串焼き(スプラキ)

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そして、ユベチという、米粒パスタのビーフシチューは、やさしいおふくろの味。

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コーヒーをいただいて、


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デザートは、
おすすめのクルミのパイ包み(バクラバ)

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テーブルを囲んだ相方は、ギリシャ風ヨーグルトのドライフルーツ添え

 

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現地の味に挑戦するのが、心底楽しみになってきました。

旅のレポートも、ご期待くださいね。

 

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2010.01.24

大分由布院・亀の井別荘で

先週末、仕事で大分・別府に出掛けたので、由布院まで足を延ばしました。


宿は、一度は泊まってみたいと思っていた「亀の井別荘」です。


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加賀の国出身の現ご主人の祖父、中谷巳次郎氏が、亀の井バスなどの創業者でカリスマ実業家ともいわれる油屋熊八翁と出会い、大正初め、由布・九重連山に囲まれた水の由布院盆地に「VIP招待用の森の別荘」を建てる「夢」を実現したのがこの旅館のルーツ。


現在は、本館・洋間6室、和風の離れ15室。

3万平方メートルの森の庭園を楽しみながら、透明な天然掛け流しの大浴場露天風呂でほっこり温まりました。

 

さて、この日、お部屋でいただいたお食事ですが・・・

まず、ワイン、
2008キュヴェ三澤 甲州鳥居平畑 プライベートリザーヴ

 

10012401.jpg以前もグレイスワインの「甲州鳥居平」はご紹介しましたが、これは、社長自らの名を冠した甲州種のトップキュヴェ。

 

三澤茂計氏がぶどう栽培からこだわった限定ワインで、中でも「プライベートリザーブ」シリーズは、気候に恵まれた優良年のみに造られるそうです。


輝きのある淡いレモンイエローの色調、柑橘系のフレッシュな香りに、ぷうんと豊かなバニラのニュアンスが加わって、 ミネラル感もあり、なかなかエレガンス。

 

 

 

 

 

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冬の酒肴いろいろ

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一番手前になるクリームチーズの燻製は、オリジナルの手作り。おいしかったあ!

 

旬の魚お造り

10012404.jpg手前にある粘りの強いヤマノイモで、新鮮なタイなどをくるんで口に運ぶと、もう絶品です。

 

地鶏スープ小鍋仕立

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一番人気のお鍋だそうです。

これをめがけて、夏でも特別に注文なさるお客様が多いのだとか。

いや、コクのある鶏スープは、とってもやさしい味。ずうっと食べていたい気持ちになりました。

てづくりのコンニャクとネギがたっぷりで、アクセントに!

 

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牡蠣柚子釜焼

10012407.jpgワインは、特にこの柚子釜焼とよく合いました。冬の味覚ですね。

 

猪大根 菜花

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10012413.jpgせっかくなので、焼酎もいただきました。

オリジナルの「吟醸糟採」。


大分県久住町の佐藤酒造のもの。規模は大きくないけれど、精米所を持つ、つまり自家精米している酒蔵とか。香りはかなり強烈でしたが、猪肉との相性がよかったように思います。


「亀の井別荘」には、「鍵屋」という素敵な和雑貨を置いているお店が併設されていますが、そこで扱っていました。

 

 

 

 

黒毛和牛薬研堀焼

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とろけるような和牛です。

大分はやはりシイタケがおいしい!

 

柿なます

10012410.jpg油っぽくなった口の中が酸味でさっぱり。

 

特製のおそばをいただきました。

そばつゆは、江戸前よりも若干薄め。

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ご飯は、もちもちしたミルキーウェイをいただき、

 

冷たいデザートも・・・

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おなかにちょうどいいくらいの、旬の献立でした。

老舗旅館でも、最近は、厳選したワインを適正な価格で置いているので、うれしいです。

 

また、1月22日付けのGINZA通信には、亀の井別荘と並んで、由布院御三家の一つといわれる、「山荘無量塔」について書きましたので、興味のある方は、ぜひチェックしてみてください!! 

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2009.12.24

銀座にニューオープンの「NAPA」で

銀座5丁目に12月初めニューオープンした「NAPA」に行ってきました。

女子だけで忘年会、なので、飲んで食べて、また食べて・・・。

数々のレストランを仕掛けるスティルフーズの鈴木成和社長が「ナパな気分」(?)でつくった店で、私も最近はまっている、カリフォルニアイタリアン。

 

ワインは、カリフォルニアを中心に、オーストラリアやニュージーランドなどコストパフォーマンスのいいニューワールド系がそろっていました。リストも、シャルドネ、ピノノワール、カベルネソーヴィニヨン、シラーズ、ジンファンデルなど、品種別に整理されているので、とっても見やすい!
トレフェッセン、シルバーオーク、ダリオッシュ、グレースファミリー、ボンドなど、ちょっと背伸びして飲みたいなと思うカリフォルニアも充実かつ価格がリーゾナブルなところ、気に入りました。

 

今回いただいたのは、
2005アーガイル・ヴィンテージ・ブリュット(米オレゴン州・ウィラメットヴァレー)
2007ミルトン シュナンブラン(ニュージーランド・ギズボーン)
2007カレラ ピノノワール キュヴェV(米カリフォルニア・セントラルコースト)


 

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最初の泡は、米オレゴン州産で、ワインスペクター誌年間世界最高のヴィンテージ・スパークリング。熟した洋ナシなどの果実味いっぱい、クリーミーな仕立てで、香りの広がりに幅がありました。「アーガイルのスパークリングを初めて飲んだ時、この分野でのオレゴンの将来性を確信した。新世界で造られるスパークリングの中で、最も美味しくて出来の良いものである事は確かである!」と、ロバート・パーカーもべたほめのよう。泡好きな私は、どんな料理がきても、ずっとこのスパークリングを飲み続けたいと思いました。ロデレールのカルテットブリュットが品切れだったので、こちらにしましたが、当たりです。
 
白は、ニュージーランドのシュナンブランを選びました。1984年にミルトン夫妻が設立したヴィンヤーズ。フランスとドイツで修行した夫妻は、シュタイナーのバイオダイナミックス理論に出会い、89年、ニュージーランド初のオーガニックの公的認証を取得。シュナン・ブランと遅摘みリースリングが特に有名で、高い評価を得ています。パイナップルなどトロピカルフルーツやハチミツの風味が広がり、フォアグラのソテーなども美味しくいただけました。

 

「きれいな赤ワインが飲みたい!」という女子たちのリクエストで・・・入門編のカレラを。ラズベリーの香り、ハーブのニュアンス、まとまりのある酸、滑らかなタンニン。同じカレラの、ジェンセンやミルズのように、枯れた大地の味覚の広がりは望めないものの、日常飲める「きれいなピノ」のお手本のような気がします。シンプルなパスタやポークのグリルなど、よく合いました。

 

さて、料理を一気にご紹介しましょう。

 

まず、アミューズとして、貝の形のお皿でサービスされたミルキーなモッツァレラ。


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田舎風パテ・ド・カンパーニュ(写真を撮る前にだれかがナイフで切り分け! 肉食系女子が多いもので)

 

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生タコのカルパッチョ

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ロメインレタスとベーコンのシーザースサラダ ベーコンが迫力です。

 

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トリッパのトマト煮 ペコリーノチーズとともに

 

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クリスピーな薄焼きマルガリータ

 

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インカのめざめとインゲンのジェノバ風

 

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フォアグラのソテーと舞茸のフリット 白インゲン豆のピューレ添え

 

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ワカサギのカルビオーネ

 

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パルミジャーノと黒コショウのカッチョ・エ・ペペ

 

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福島県産キラキラポークのグリル

 

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最後、グラスに残ったピノで、チーズをいただきました。

 

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それにしても、よく食べたなあ。

 

ワインのサービスで、こちらが合図しないと気がつかないなどややぎこちなさを感じましたが、恐らくニューオープンで、スタッフがまだ慣れていなかったのでしょう。

素材の個性を生かしたシンプルな料理をわいわいと、楽しく美味しくいただきました。

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2009.12.19

スパークリングワイン飲み放題!のランチ

早いもので、もうすぐ2009年も終わりです。

ブログに書いておきたかったのに書けていないワインや料理が結構あって、なんだかあせってきました!

そうそう、11月に出掛けた恵比寿のカリフォルニア・イタリアン「リコス・キッチン」もその一つ。


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店内は、こんな楽しいイラストが白壁に描かれています。

 

09121702.jpg女性好み?かな。

 

週末のランチで訪れたのですが、1人2000円のスパークリングワインセットというのがお得でした。食事中おかわり自由、つまり飲み放題です。

ちなみに、グラス1杯は1050円から。

 

スタッフおすすめの米ワシントン州コロンビアヴァレーのスパークリングワインです。

  09121703.jpgドメーヌ・サン・ミッシェル ブラン・ド・ブランとブラン・ド・ノワールの2種類。

シアトルのあるワシントン州は、米大陸の北西部、カナダのブリティッシュコロンビア州と国境を接しています。1978年に設立されたこのドメーヌは、現在米国で2番目に大きなスパークリングワインブランド。

シャンパーニュと同じく瓶内二次発酵で造られます。シャンパーニュほどの芳醇さや繊細さは期待できませんけれど、気軽なランチならばこれで十分!!

 

ブラン・ド・ブランは、シャルドネ主体。いきいきとした酸と弾けるような泡が心地よい刺激になって舌から伝わってきます。辛口で、青リンゴのようなフレッシュな味わい、ココナッツのような香りが広がります。

一方のブラン・ド・ノワールは、ほんのりピンク色のロゼスパークリング。品種の表記が残念ながらありません。地域からいって、ピノノワールではなさそうですが。ラズベリーのソフトな甘酸っぱさが印象的。魚でもチキンでも、よくマッチしますね。

 

お料理は・・・前菜とメイン、それにデザートが選べます。

アミューズのキッシュに始まり、

 

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前菜は軽く炙ったカジキマグロとパルミジャーノチーズ

 

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それに、カブの入ったシーザースサラダも注文。

 

09121706.jpg野菜がとってもフレッシュです。

 

メインは、珍しく魚の炭火焼をチョイス。ノドグロだったかなあ。


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一緒に行った友人は、比内鶏のグリル。

 

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デザートは小ぶりのチーズケーキ。

 

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ワインセラーをのぞくと、カリフォルニアと日本ワインが中心。

 

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日本ワインは、勝沼醸造や中央葡萄酒の甲州や、シャルドネ、龍眼、ケルナーなどの品種が揃っています。
店の10周年記念として、スペシャルサンクスワインリストがありました。ターンブル、ケイマス、ハーランエステイト、グレースファミリー、マヤなどが、通常の半額程度でサービスされていました。といっても、マヤのカベルネソーヴィニヨン(1999年)は8万4000円。なかなか手が出ませんね。

 

カリフォルニアイタリアン、最近日本でも人気があるようですが、要するに、素材そのものを生かし、野菜をたっぷり、魚もレアで、ソースやスパイスはアジアンテイスト、チーズを使い、でも全体的にさっぱり味・・・というのが私の印象。日本人のテイストには合っている、のでしょうね。

 

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2009.11.29

日本ワインとペニンシュラの中華

このところ、日本の産地で栽培・収穫したブドウを使い、その土地の特徴を生かして造った「日本ワイン」の評価が高まっています。


「日本ワインを愛する会」事務局長の遠藤誠さんの案内で、日本ワインの有名どころ5社のワインがそろったメーカーズディナーが開かれました。合わせる料理は、日比谷のザ・ペニンシュラ東京の「ヘイフンテラス」の中華という、ユニークでゴージャスな企画です。

 

遠藤さんは、ワイン評論家として著名な山本博さんと一緒に2001-2002年に国内のワイナリーを集中的に訪問し、2003年、「日本のワイン」の著作出版と同時に、「日本ワインを愛する会」を設立しました。
輸入原料をブレンドして造るものもある「国産ワイン」と差別化するため、あえて「日本ワイン」と名づけたそう。
日本の土壌の個性を表した、日本の醸造家による世界に通用するワインが「日本ワイン」というわけです。


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ワインリストは次のとおりです。


2005ドメーヌ・タケダ キュヴェ・ヨシコ
2008グレイス甲州鳥居平
2008ドメーヌ・ソガ シャルドネ・ムラサキヴィンヤード
2007ココファーム&ワイナリー 第一楽章
2005シャトー・メルシャン 桔梗ヶ原メルロー

 

09112601.jpg蔵王連峰のふもと、山形県上山温泉郷近くにあるタケダワイナリー。タケダワイナリーは、1920年(大正9年)からワイン造りをはじめ、現在の岸平典子社長で5代目。開園以来、ワイン製造には自社畑か山形県産のブドウのみを使用することにこだわってきたワイナリーです。


また、カベルネソーヴィニヨン、メルロ、シャルドネなどのヨーロッパ系品種を日本でいち早く栽培を始めたことでも知られています。


20年の土壌改良を経て、15ヘクタールの自社農園ではいま、自然のサイクルを最大限に生かした減農薬、無化学肥料の自然農法栽培を行っています。

 


「キュヴェヨシコ」は、シャルドネ100%のブラン・ド・ブラン。シャンパーニュと同じ製法で造られた本格的なスパークリングワインです。12月1日にいよいよ発売とのことでしたが、予約で完売。今回は熟成試験用に取りおいていたものを特別にいただきました。「ヨシコ」は、経営に尽力した岸平社長のお母様の名前だそうです。

泡立ちがきめ細かく、とってもクリーンな味わいでした。最初は閉じていた印象でしたが、2時間余の食事の最後には、まろやかでクリーミーなニュアンスも出てきて、変化が楽しめました。数年置いて飲むと、またとても美味しくなるのでしょうね。日本でも、こんなに潜在力を秘めた泡ができるなんて、素晴らしいですね。 

 

 

料理でまずサーブされたのは、ヘイフンテラス特製焼き物入り盛り合わせ前菜。

ナツメと豆腐の香料煮、特製釜焼きバーベキューミート、バイ貝の辛味ソース煮が盛られていました。

 

 

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09112603.jpgマスター・オブ・ワインのジャンシス・ロビンソンさんが2000年、「グレイス甲州」を「私が飲んだ一番美味しいワイン」と英字紙で紹介してから世界でも注目されている中央葡萄酒。

ボルドー大学のデュブルデュー教授の指導で造ったキュヴェは、アジア初のパーカーボイントを取得、2007年、EU基準を満たした日本ワインとしての輸出認定第一号にもなり、話題でした。


「祖父から教えられた地ブドウ、甲州種にこだわり、これからも大事にしていきたい」というのは、ワインメーカーの見澤彩奈さん。4代目三澤茂計社長の娘で、ボルドー大学ワイン醸造学部で学位を取得。「透明感のある甲州種は、どこか日本の文化を象徴しているようでユニークな品種。世界に広めたい」と夢を語ります。


鳥居平畑は、勝沼でも標高が高い山路地帯にあり、日照量、昼夜の寒暖差、水はけのよさなど恵まれた栽培地域。ホワイトオークの小樽を使用。
三澤さんが表現するように、本当にガラスのように透き通った色が魅力的です。果実の凝縮感もあり、さわやかな味わいです。

 

待っていました! ふかひれです。

特選気仙沼産ふかひれ姿入り極上蒸しスープ 菊の花茶の香り。

 

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09112605.jpg「ドメーヌ・ソガ」の小布施ワイナリーは、以前9月28日のブログでも紹介しました。長野県で最も古い歴史をもつ須高地区で、フランス系品種を中心に栽培しているワイナリー。ヨーロッパ式垣根仕立てを採用、低農薬栽培を実践しています。


遠藤事務局長が5年前、初めて最高栽培・醸造責任者の曽我彰彦さんに会ったとき、あまりに真っ黒な日焼けした顔だったのでびっくりしたそうです。時間さえあれば畑に出ているのが大好きな曽我さん。「愛車はトラクター」とワイナリーのパンフレットにありました。

 


今回いただいたシャルドネは、繊細で複雑で、樽からくるパワフルさとは違った、果実の風味がまろやかで、ちょっとくぐもった印象。曽我さんが何かで、「ブルゴーニュのルフレーヴ女史を尊敬している」と語っていたのを思い出しました。

ご本人は、「まだまだシャルドネは勉強中で、発展途上。もう少し時間がたてば樹も大きくなり、皆様に喜んでいただけるものが造れると思うのですが」と、謙虚でした。

 

 

活伊勢エビの特上スープ炒め煮。

ぷりぷりした歯ごたえの伊勢エビは旬の千葉県産。ネギやショウガの香りがやさしかった一品。

 

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09112607.jpg栃木県足利市のココ・ファーム・ワイナリーは、サミットにも登場したワインとして有名になりました。


1950年代、特殊学級の中学生たちが山を開墾し、600本あまりのブドウの苗木を植えたのが始まりでした。やってもやってもやりつくせない自然相手の作業・・・知恵遅れと呼ばれている若者たちが、きょうも急斜面で汗を流しています。

 


日本の赤ワイン用品種といえば、まず思いつくマスカットベリーA。赤い果実のフルーティーな味わいです。

 

  

 

 

09112608.jpg標高700メートル、ブドウ成熟期の9-10月の寒暖差が大きいシャトー・メルシャンの長野県塩尻市桔梗ヶ原地区。国際コンクールの金賞受賞の常連です。

日本の「フィネスとエレガンス」を追求している日本のリーディング・ワイナリー。

 

明るめのきれいなルビー色。熟した果実にコーヒーのニュアンスなどが加わり、果実の力強さと新樽の風味のバランスのよさはさすが、です。

 

「日本ワインの全体的なレベルアップのために、技術データもできる限り公開している。それが、大企業の責任」と、担当者からが力強い言葉が・・・。

 

 

 

お肉は、和牛のアスパラ巻き煎り焼き オリジナルXOソースです。

XOソースはアミの風味にシャープな辛味が加わり単体ではおいしいのですが、個性が強すぎて、ワインの香りや味わいがよくわからなくなりました。XOソースとワインの組み合わせは、ちょっと難しいのではないでしょうか。中華料理に詳しい方、教えてください。

 

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水で口を洗いなおして、

最後の料理、金華ハム煎り卵白チャーハン干し貝柱添え。

 

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デザートは、マンゴープリン。

 

 

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今回この会のために、東京店以外にも、香港や上海、北京のザ・ペニンシュラからシェフが集結。

 

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とってもレベルが上がっている日本ワイン。今後ますます注目ですね。

 

 


 

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永峰好美のワインのある生活

<Profile> 永峰 好美 日本ソムリエ協会認定シニアワインエキスパート。プランタン銀座常務取締役を経て、読売新聞編集委員。『ソムリエ』誌で、「ワインビジネスを支える淑女たち」好評連載中。近著に『スペインワイン』(早川書房)