フランスアーカイブ

2009.07.04

プロヴァンスのロゼも奥が深い!

銀座7丁目「"V."de Bistro Vionys」のマリアージュの会に出掛けました。


今回のテーマは、地中海のリゾート地、フランス・プロヴァンス地方。

マルセーユからニースに至るコート・ダジュール一帯に広がるワイン産地です。梅雨明け後の夏の強い日差しを待ち遠しく思い浮かべながら・・・。


プロヴァンスといえば、フレッシュでフルーティーなピンク色のロゼワインが超有名。魚介類と夏野菜をたっぷり使った郷土料理も期待できそうです。

 

ワインリストは以下の通り。
1)NMサブラン・ブリュット・オリジン (ドメーヌ・リステル)
2)2006フラン・ド・ピエ・グリ・ド・グリ・ロゼ (ドメーヌ・リステル)
3)2007バンドール・ロゼ (ドメーヌ・タンピエ) 
4)2006コート・ド・プロヴァンス・ロゼ (ドメーヌ・コマンドリー・ド・ペイラソール)
5)2006コート・ド・プロヴァンス・ブラン (シャトー・サン・バイヨン)
6)2006バンドール・ブラン (ラ・バスティード・ブランシュ)
7)2006ヴァン・ド・ペイ・デュ・ヴァール・メルロ (ドメーヌ・ド・トリエンヌ) 

 


09070401.jpg

 

最初はシャルドネが主体の地元産ヴァン・ムスー。

砂質土壌が広がる南フランスのカマルグ地方にヨーロッパ最大のワイン畑を所有するといわれるドメーヌ・リステルのもの。

リステルは、企業姿勢として地域独自の自然環境保護を掲げ、また、ヨーロッパにおける「知的ブドウ栽培の先駆者」ともいわれているそう。


ピーチや白い花を思わせる香り、フレッシュでいきいきとした躍動感を感じさせるスパークリングです。「少々甘めに思われるでしょうが、食前酒としては楽しめるのでは」と、オーナーソムリエの阿部誠さんの解説でした。
熟したトマトをくり抜いた中にバジル風味の押し麦が入ったおいしいアミューズをいただきました。

 

09070404.jpg

 

続いて面白い体験をしました!!

なかなか機会がなかった、ロゼワイン3種類の飲み比べです。

 

09070402.jpg

 

1つめの「グリ・ド・グリ」は、最初のスパークリングと同じ生産者のロゼワイン。

品種はグルナッシュ100%で、やさしいアタックで、ふくよかなボリューム感が広がります。


2つめは、2年前に公開された映画「プロヴァンスの贈りもの」に登場してから大ブレイクのドメーヌ・タンピエの「バンドール・ロゼ」。このドメーヌ、著名なワイン評論家、ロバート・パーカー氏が「ワイン・バイヤーズ・ガイド」で、南仏の"5つ星ワイン"に挙げた4つのうちの3つを占めるなど、評価が上がっています。

第二次大戦後、バンドールのワインをAOCとして認知させるのに尽力したリシュアン・ペイロー(バンドールの父とも)がオーナーだったのですが、1990年代後半から業績が低迷。2000年以降、ダニエル・ラヴィエ氏が改革を任され、かつてのタンピエの酒質を復活させたのだといわれています。
品種は、ムールヴェードル55%、サンソー25%、グルナッシュ20%。スパイスの印象が強く、力強いロゼでした。


3つめの「コート・ド・プロヴァンス」は、赤い果実の風味の軽やかなロゼ。サーモンピンクの色が濃い目で美しく、パイナップルのような南国の酸味と甘みがさわやか。品種は、グルナッシュ、サンソー、ムールヴェードルのブレンド。

 

私は、スパイシーでコクのある「バンドール・ロゼ」が好みでした。


ロゼに合わせて、前菜は、野菜の宝庫プロヴァンスから野菜の詰め物3種。赤ピーマンにオレガノを効かせた豚の詰め物、カボチャのタルト、ズッキーニにエビの練り物を詰めてオリーブのタプナードを添えたもの。

 

09070405.jpg

 

メインディッシュは、

待っていました! ブイヤベースです。

伊勢エビ、ホウボウ、イトヨリ、ホタテ・・・。カブやブロッコリーなど野菜もたっぷり。そして、ニンニクのペーストがアクセントに。


09070406.jpg

 

白ワインの品種は、「コート・ド・プロヴァンス」がロール90%、ユニブラン10%。

「バンドール・ブラン」がクレーレット47%、ユニブラン40%、ブールブラン8%、ソーヴィニヨンブラン5%。

どちらもまろやかな酸味を包み込むほど果実味が豊か。さすが、南仏の味わいです。前者にはハーブ、後者にはナッツのニュアンスが加わります。


前者の造り手、シャトー・サン・バイヨンは、プロヴァンスの丘、地中海にほど近い場所にあります。 「サン・バイヨン」の名は、3世紀、ニームのアリーナでライオンと戦わされ殉教したカトリック信者に由来するとか。

この地域ではローマ時代からブドウ栽培が始まっていたようですが、1970年代にすべて植え替えられたとか。現在は、最新の醸造設備を使用したヴィオディナミを実践、ブドウの収穫量を抑え、自然界の働きに逆らわないグラヴィティ方式を取り入れていることでも知られています。


 

さて、最後に、赤ワインをいただきました。ドメーヌ・ド・トリエンヌの100%メルローの赤ワインです。


09070403.jpg聞けば、あのドメーヌ・ド・ラ・ロマネ・コンティとドメーヌ・デュジャックのオーナーが、1990年、南仏の地で、ワイン造りの新たな可能性を求めて築いたワイナリーだそうです。


エクス・アン・プロヴァンスの東南、海辺から30キロほど内陸に入った標高450メートルのロジ・ド・ナン。

ここは、古代エトルリア人がブドウを植えてから何千年もの間栽培が続けられてきた歴史ある場所。約40ヘクタールの畑に、シャルドネ、ヴィオニエ、シラー、メルロ、カベルネソーヴィニヨンが育てられています。

カベルネソーヴィニヨンとシラーをブレンドし、ヴァン・ド・ペイのカテゴリーで造るなど、新たな挑戦を続けているのです。


いただいたメルロは、ブラックベリーのリキュールやシナモンなどの香りが広がり、タンニンもまろやか。また、旧樽のロースト香が加わって、なんとも穏やかな味わい。

ボルドー好きといわれるジャック・セイス氏(デュジャックのオーナー)が楽しんで仕上げている、ような気がしました。

 

トリエンヌのワインは、南の太陽をいっぱいに浴びたブドウらしく、果実味がフレッシュでピュアな印象。値段も千円台からと買いやすいのがうれしいですね。

カベルネとメルロ、それにシラーの最上のキュヴェを選んでブレンドされている「サントーギュスト」を今度見つけたら、ぜひ買ってみたいと思います。


デザートは、冷たいヌガー・ド・プロヴァンス。ハチミツソースでいただきました。

 

09070407.jpg

 

プロヴァンスはカジュアルなイメージが強かったけれど、ロゼ一つをとっても奥深いし、トリエントのように南仏ならではの挑戦も興味深いし・・・。

今回もいろいろと発見がありました!

だから、ワインの世界って、楽しいんですよね。 

この記事のURL | Trackback(0) | Comment(0)

2009.06.26

私のおすすめ! サロンが入った至宝の4本セット

7月目前。

いよいよ夏のバーゲンの季節がやって来ました!

 

プランタン銀座でも、6月27日から全館あげての「ザ・バーゲン」が始まりますが、地下2階のワイン売場では、一足はやく、注目のワイン・バーゲンがスタートしています。


 

中でも注目は、あの「サロン」が入った「フランスワイン至宝の4本セット」(税込105,000円)です。 

 

09062601.jpg 

ブルゴーニュ3本との組み合わせで、限定3セットはあっという間に完売! 好評につき、輸入元さんに特別にお願いして、追加で3セットが入荷してきます。


 

セットの中身はというと・・・

 

まず、言わずと知れた、 
1997 サロン ブラン・ド・ブラン
 

09062602.jpgヴィンテージもの一種類しか造らず、リリースも10年ほど経ってからという特別な存在のシャンパーニュ。100%グラン・クリュの単一畑のシャルドネだけを使って造るブラン・ド・ブランは、シャンパーニュ好きなら、一度、いやできれば何度も経験したい繊細な味わいです。


最近お値段が上がって、「ああ、もう飲めないかなあ」ってため息をついていましたが、今回は思い切って・・・! 

 

造り手さんによれば、1997年ヴィンテージは「絹のような官能性」「究極でミステリアスな繊細さ」が特徴で、「確実に悦楽を感じさせるワイン」なのだそう。
うーん、いろいろ妄想(?)がふくらんで、わくわくしますねえ。

 


 
次に、
2006 シャルム・シャンベルタン(ドメーヌ・デュジャック)
 

09062603.jpgブルゴーニュファン憧れのデュジャックです。

デュジャックといえば、本拠地の「クロ・ド・ラ・ロッシュ」などが有名かもしれません。

でも、私は、凝縮したラズベリーなどの果実味が豊かで、ミネラル感もあって、それでいてスミレのようなやさしい香りで包んでくれる「シャルム・シャンベルタン」、大好きです。

私にとっては、このセットの2番目の注目ワイン。

 

 

 

 

 

まだまだあります!


1997 ピュリニー・モンラッシェ レ・ピュセル(ドメーヌ・ルフレーヴ) 


09062605.jpg透明感のある白ワイン、という印象があります。適度な樽のロースト香もあって、期待を裏切られたことがありません。飲み頃でしょうか。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

2005 コルトン・シャルルマーニュ(ドメーヌ・シモン・ビーズ)
 

09062604.jpg日本女性の千砂さんがマダムを務めていることでも有名なドメーヌですね。昨年、収穫直後に訪ねたときに、おいしい卵の赤ワイン煮などをごちそうになりましたっけ。
シモン・ビーズについては、機会を見て、改めて書きます。

 

 

 

 

 

 

 

 

お買い得セットは、ほかにもたくさん!

 

「ヨーロッパ赤ワイン12本セット」が税込10,500円、 「スパークリングワイン5本セット」が税込6,300円、「世界のフルボディ6本セット」が税込6,300円などなど。

 

さらに注目は、エチケットの多少の破れ、キャップシールの不良などで、店頭には並べられなかった「B級・ラベル不良品」のセール。本当にお得な値段でご用意してあります。

ご興味のある方は、「ブログで知った!」とおっしゃって、売場スタッフから説明を受けてください。数に限りがありますので、どうぞお早めに。
問い合わせ先 ワイン&リカー直通 03-3567-7885。

 

 

あなたの夏をステキに演出するワインが見つかりますように・・・。
 
 
 

この記事のURL | Trackback(0) | Comment(2)

2009.06.18

シャトーマルゴーの誕生年ヴィンテージ

6月のわが「誕生日月間(?)」に開けようと思って用意していたボルドー・グランヴァンの誕生年ヴィンテージを、とうとういただきました!


シャトーマルゴー 1956

 

09061801.jpg 

そう、あの小説「失楽園」ですっかり有名になってしまったワインです。

 

お願いしたのは、私のお気に入りのフレンチレストラン、東京・白金の「シェ・トモ」で。

市川知志シェフの料理は、西麻布の「レストランW」時代から大好きでした。

まだバブルの泡が消えていない時代、キャビア・ナイトを懐かしく思い出します。

市川シェフは、エコールプランタンでも料理レッスンをお願いしたことがあり、男前の風貌に女性ファンも多いのです。
 

入手してから、かれこれ10年たつでしょうか。

最初は「人生半世紀」を記念してと思っていたのですが、それから、1年、2年・・・。


今年は、食事する3日前くらいにお店にワインを届けて、ソムリエの大芦一人さんが、静かに状態を整えてくれたんです。

2回の引越しをはさみ、ワインの保存状態にいささか不安があったのですが、大芦さんの「いいですよ」の一声にホッと安心。


抜栓はもちろん完璧!

 

09061802.JPG 

デカンタ後、グラスに注がれた落ち着いたレンガ色の色調、バニラや木、熟したイチジクなど、複雑でエレガントな香り。

 

09061803.JPG

 

マルゴーはどちらかというと、「やさしく女性的」と評されることが多いのですが、グラスに注がれた液体には、エネルギーがみなぎっていて、活力を感じました。

その印象は、最後のチーズをいただく時まで変わりませんでした。


 

実は、1956年というのは、どのヴィンテージ・チャートを見ても、不作の年。ブルゴーニュなど、話にならないということか、点数さえついていないチャートもあるんです。
 

でもでも、今回のマルゴーは◎。

まろやかに熟成しながらも力強さの残る「同い年」のワインに、背筋がピンと伸びました。

 

料理はまず、豚のリエットにタプナードでおいしいバゲットをいただき、お得意定番の「ウニの貴婦人風」。


09061804.JPG 09061805.JPG

 

 

 

前菜はブータンノワール、続いて、季節の有機野菜30種盛り(カボチャとズッキーニのあいのこのようなコリンキィが珍しかったです)。


09061806.JPG 09061807.JPG

 

 

季節のポタージュのあと、イタリア・ロンバルディア産の仔豚ちゃん。

 

09061809.JPG   

 

 

 

きょうは、チーズもしっかりいただきました。木炭粉をまぶしたサント・モール・ド・トゥーレーヌは甘いコンフィチュールが組み合わされて、デザート感覚で。 

 

09061810.JPG 09061811.JPG 

 

 

 

大好きなショコラのケーキ。やさしい音色のオルゴールの「ハッピーバースデー」に、ステキなひとときを過ごせました。

 

09061812.JPG 

 

皆さんも、誕生年のヴィンテージワイン、チェックしてみてはいかがでしょう。
 

この記事のURL | Trackback(0) | Comment(0)

2009.06.04

八つ目ウナギのボルドー風って??

ワインの資格試験の受験勉強でだれもがお世話になるのが「日本ソムリエ協会教本」です。


この教本には、フランスのワインと料理の組み合わせで代表的な事例39例が掲載されています。
でも、「シャンボール風鯉」にはシノンの赤とか、「ザリガニのナンチュアソース」にはヴァン・ジョーヌとか書いてあっても、(試験の時には丸暗記しましたけれど)う~ん、ピンとこない??


と思っていたら・・・。

ちょっと興味深い試みがありました!

東京・押上でワインのお店を開き、ワインスクールの「アカデミー・デュ・ヴァン」でもクラスを持つ遠藤誠さん主催のワイン会。


09060400.JPG私が気になっていた食材、川カマスと八つ目ウナギを含む4種類のマリアージュを、実際に自分の舌で確認、です。
場所は、表参道のワインビストロ「ル・プレヴェール」。

 

まず、「川カマスのブール・ナンテ」と2007ミュスカデ・セーヴル・エ・メーヌ・シュール・リー(ドメーヌ・グラ・ムートン)。

                                                                                                                                                          09060401.JPG 09060402.JPG エシャロットをみじん切りにして白ワインで煮詰め、バターを加えたのがブール・ブランソース。ロワール川流域で生まれた料理です。

この日はカマスだったので、食べ慣れた白身のあっさり味。川カマスはフランスでいただいたとき、もうちょっと泥くさい記憶がありますが。


バターソースには、フルーティーでさわやかな白が合いますね。

 

  

2番目は、「ベッケオフ(肉と野菜の蒸し焼き)」と2006アルザス・ピノノワール(ドップ・エ・イリオン)+2007アルザス・ピノグリ(同)。

 

09060403.JPG 09060404.JPG

小さく切った肉と野菜(キャベツやジャガイモなど)を白ワインとエルブ・ド・プロバンスなどで煮込み、容器に入れてパイ生地でふたをしてオーブンで。

 

アルザスの軽い赤(ピノノワール)と白(ピノグリ)の両方をマリアージュ。穏やかな酸味のピノグリとの組み合わせの方が好みでした。


 

 

 

3番目は、「八つ目ウナギのボルドー風」と2004シャトー・カロン・サンジョルジュ・サンテミリオン。

 

09060406.JPG 09060407.JPG

                                           

 

八つ目ウナギの旬は12月から2月の冬場なので、味も食感も似ているアナゴで代役。粉をつけて香ばしく焼きます。

ソースは、ニンニクとエシャロットのみじん切りをさっと炒めて、赤ワインにエストラゴンを加えた中で煮詰め、フォンドボーなどで味を調えます。

 

八つ目ウナギはもっと皮が厚くて身がしまり、ゼラチン質も豊富だとか。現地の料理は、赤ワインでかなりぐちゃっと煮込んだもののようです。
ワインは、メルロー70%。タンニンもこなれていて、好きなボルドータイプ。

 

09060408.JPG

ちなみに、ソース作りのときに、ロングペッパー(長コショウ)をアクセントに加えていました。名前の通り、長いサヤに入ったコショウです。


 

4番目は、「乳飲み子羊のロースト」と2004ポイヤック・レゼルヴ・スペシアル(ドメーヌ・バロン・ド・ロートシルト)。

  

09060410.JPGフォンドボーを加えた赤ワインをしっかり煮詰めて、最後にバターで味を調える古典的なソース。

カベルネソーヴィニヨン主体の重みのあるボルドーと正統派の組み合わせは、「フランス料理をしっかり食べた!」という満足感がありますね。


デザートには、ブリオッシュ風生地にラム酒シロップを浸み込ませたケーキ、ババ。甘さ控えめで、ラムの香りが口いっぱいに広がる大人のスイーツでした。

 

09060411.JPG 

 

今回のお気に入りは、3番目の料理のマリアージュ。アナゴの白焼きとサンテミリオン、我が家でも再現してみたいと思いました。

この記事のURL | Trackback(0) | Comment(0)

2009.06.01

1995サントネーがお手頃価格!

前回1995年のブルゴーニュ赤の飲み比べのことを書いたので、プランタン銀座のワイン売場で、お手頃なタイプを探してみました。

 

ベテランスタッフのTさんもおすすめ!
1995サントネイ (ルモワスネ・ペールエフィス)。 3885円。
 
090601.JPG

 

写真の背景、照明の具合も悪かったのでしょう。全体が青みがかってしまって、スイマセン。

 

ところで、ルモワスネは、19世紀後半に設立されたボーヌに拠点を置く有名ネゴシアン。


当主のロランさんは「フランス最後のブルジョア」といわれる大富豪。

豊富な財力で、1940年代から毎年、優れたキュヴェ(樽)をトップドメーヌから大量に買い続け、16世紀に造られた冷涼なカーヴで長年寝かせているそうです。その数は100万本を超すとも。


出荷前に1本ずつ澱引きし、リコルクしてから送り出すそうで、「ルモワスネは若々しい」との評価がある所以です。


1995年のサントネイは、実にきれいなピノノワールの熟成が楽しめるしなやかなワインでした。

ほどよい琥珀色、酸もタンニンも果実味もしっかりしていて、どんな料理にも合いそうです。

 

私は自宅で、エビとブロッコリーの中華風炒めもの、そして、白カビタイプのチーズといただきました。

この記事のURL | Trackback(0) | Comment(0)

2009.05.28

1995ブルゴーニュ赤の飲み比べ

1995年のブルゴーニュ赤を中心にいただくという、知人が主催するワイン会に参加しました。

場所は、銀座1丁目のフレンチ「ル・シャボテ」です。

 

泡を含めると、9本のラインナップ!

 

 

09051300.JPG

 

 1.NV アンリ・ビリオ グランクリュ・アンボネィ キュヴェ・トラディション
 2.1995 サントネー クロ・ド・マルト(ルイ・ジャド)
 3.1995 ポマール キュヴェ・ダム・ド・ラ・シャリテ (オスピス・ド・ボーヌ)
 4.1995 ヴォルネイ クロ・デ・デュック (マルキ・ダンジェルヴィーユ)
 5.1995 ニュイ・サン・ジョルジュ プルミエクリュ レ・サン・ジョルジュ 

   (ドミニク・ローラン)
 6.1995 シャルム・シャンベルタン (J.C.ファゴ)
 7.1995 グラン・エシェゾー (グロ・フレールエスール)
 8.1995 シャンボール・ミュジニー プルミエクリュ

   (コント・ジョルジュ・ド・ボギュエ)
 9.1995 ミュジニー (ジョセフ・ドルーアン)

 

どれもある意味では、ブルゴーニュの王道をいくワイン。
こうやって何種類も飲み比べると、ピノノワールの限りない可能性を再認識!です。

 

私が特に気に入ったのは、2と7。

 

2のサントネーは、ブルゴーニュ有数のネゴシアン、ルイ・ジャドの7ヘクタールのモノポール(独占畑)「クロ・ド・マルト」で造られます。
繊細な赤いベリーの果実味、タンニンは中程度でとっても上品。王道ブルゴーニュの最初を飾るにふさわしいワインでした。主催者によると、価格も5千円台。見つけたら、迷わず買いたいです。
 
7のグラン・エシェゾー、グラスの中で香りが華やかに広がり、カシスやラズベリーの凝縮された豊かな味わい、森の土のニュアンスも感じさせます。
ジャン・グロの次男、ベルナール・グロが造るこのワイン、兄ミッシェル・グロのエレガントさ重視に比べると、発酵温度をあまり上げずに、より力強く仕上げているといわれています。
私はどちらも好きですが・・・。
 

 

さて、合わせた料理は・・・

 

①北海道ホタテのエスカベッシュ

②サクラマスの自家製スモークとフォアグラのジュレ

③和歌山産オコゼのポテト巻き、メヒカリ添え

④シャラン産カモの胸肉ロースト。


量もたっぷり。

ごちそうさまでした!!    
 

09051301.JPG 09051302.JPG 09051303.JPG 09051304.JPG 

 

 

 

 

 

 

     

この記事のURL | Trackback(0) | Comment(0)

2009.05.18

バスク豚の夕べ その2

東京・南青山の「ランベリー」での、「まぼろしのバスク豚ディナー」の続編です。

 

前菜が終わり、魚、肉と続きます。

 

3皿目は、バスク地方で有名な鱒料理。静岡県産の富士の名水で育てられた富士見鱒を炭火でさっとあぶったものです。50度のオリーブ油でコンフィにしたそうで、皮がパリッとおいしく仕上がっていました。

 

09042706.jpg     09042708.jpg 

 

子タマネギに赤ピーマン、トマトのローストには、スペインを意識して香ばしいアーモンドがのっています。燻製バターが旨みを上手に引き出しておりました。添えられたプラムは赤ワインとアーモンドオイルでコンフィチュール風に。そういえば、バスク地方の特産に、クロサクランボのジャムがあると聞いたことがあります。

 

白ワインでなく、ローヌの赤ワインを合わせていました。

1999 コート・デュ・ローヌ クロ・ドゥ・レルミタージュ です。

あのゴクミとアレジ夫妻所有のワイナリーが造るワイン。手書きスケッチ風のエチケットが、セレブ風。しっかりした凝縮感のあと、ふくよかな甘みが広がります。

 

さあ、いよいよ、主菜の肉の登場です!

 

2か月の乳のみ子豚と1歳豚の2つの味わいを楽しむ料理です。

乳のみ豚は、肉にストレスを与えないようにしてやさしくほぐすそうです。皮がカリッとして、歯ごたえも楽しめます。ロックフォールチーズの風味。
添えられたレバーや心臓などの内臓ミンチを詰めたマッシュルームや、フォアグラと香草などのキャベツ包みは、赤ワインビネガーをきかせています。ばら肉は、ハチミツとバスク地方の辛さ控えめなトウガラシをつけて焼いてありました。

   

09042709.jpg   09042710.jpg 

 

ワインは、ブルゴーニュの赤です。

1995 ヴォーヌ・ロマネ プルミエ・クリュ レ・ボーモン (ドメーヌ・ペルナン・ロサン)

今回注目のワインです。

 

ドメーヌ・ペルナン・ロサンは、フランス国内に熱烈なファンを持っていたヴォーヌ・ロマネの造り手でした。1980年代は、ブルゴーニュのブドウ栽培・醸造コンサルタントとして忘れられないスーパースター、ギイ・アカの影響下にあり、ブドウの収穫量を抑え、アルコール発酵前に低温で色素の抽出を行う方法を採用。濃い色調でブドウ由来の果実香の「アカ・スタイル」を確立していました。

 

ところが、最近、アンリ・ペル・ミノに売却され、2000年からはスタイルが変化。それ以前のヴィンテージは幻といわれ、めぐり合いを熱望するファンは後を絶ちません。

 

というわけで、今回は1995年ヴィンテージを飲めて、ラッキー!

アジア風スパイスが感じられ、タンニンも多め。「アカ・スタイル」が健在でした。

 

続けて、チーズも山の味。「オッソー・イラティ・ブルビ・ピレネー」。舌をかみそうな名前ですが、羊乳特有の旨みの強いチーズです。

初夏から秋までピレネーの山岳地帯に追い上げられた羊は、高山植物などを食べて香りの高いミルクを出すといわれています。「オッソーの谷」と「イラティの森」に由来する名前。

2皿目の料理と合わせた辛口ジュランソンとの相性がよいようです。

 

最後のデザートは、これもバスクで有名なチョコレートと焼き菓子の組み合わせ・・・

 

チョコレートの強い風味に負けないタンニンと甘さを備える酒精強化(フォーティファイド)ワインが合います。

 

とくれば、お酒はバニュルス。

NM バニュルス キュヴェ・デュ・ドクター・アンドレ・パルセ  (ドメーヌ・デュ・マス・ブラン)

バニュルスは、VDN(天然甘口ワイン)の仲間。13世紀以来の伝統があります。グルナッシュが主体。糖度の上がったブドウを遅摘みし、アルコール発酵中にブランデーなどを添加して造ります。ドライで十二分な日照量を享受できる土地ならではのワインです。 


09042711.jpg  09042712.jpg

 

このワイン、バレンタインデーの季節になると、チョコレートの隣りにさりげなく置いてあるお店もあるので、おなじみの方もいらっしゃるでしょう。

 

このドメーヌは、バニュルスだけで10種類も造っている第一人者。甘さの度合いと熟成の仕方で、こんなに種類が増えるんです。口当たりよく、食事を締めくくるのにふさわしいワインで、どこか懐かしい風味が気分をリラックスさせてくれます。

 

とっても気さくなオテイザさんは、日本に来て発見がたくさんあったと言います。今度はその発見を生かして、日仏融合の料理を披露していただきたいなと、次回の来日が楽しみになりました。

 

さて、今回の発見は、鱒のコンフィにローヌの赤の相性がとてもよかったこと!

 

ところで、プランタン銀座のワイン売場でお客様にもスタッフにも、大人気なローヌの赤ワインがあるんですよ。

 

 

コート・デュ・ローヌ カルト・ブランシュ 1996  (ドメーヌ・マズール) 

今なら、セール価格で、税込2,520円です。

 

この造り手は、16世紀から続く老舗ドメーヌ。樹齢百年以上の木を含む、150haもの自社畑を所有しています。品種はグルナッシュとシラー。果実味たっぷり、まろやかな熟成香とスパイシーな風味、柔らかなタンニンの渋みが溶け込んでいて、ローヌの赤のおいしさが表現されています。

 

私のかなりのおすすめです。

 

 

この記事のURL | Trackback(0) | Comment(0)

2009.05.14

バスク豚の夕べ その1

東京・南青山の「ランベリー」は、岸本直人シェフのなんとも繊細な料理にいつも感動させられる素敵なフレンチレストランです。

銀座の「オストラル」で腕を振るわれていたころから、私は大のファンでした。

 

そして、ソムリエで支配人の長田照彦さんの歯切れのよい解説には教えられることばかり。

 

岸本シェフも長田ソムリエも、プランタン銀座の「エコールプランタン」で、おしゃれな講義をしていただいたことがあります。


今回は、4月末に「ランベリー」で開かれた「まぼろしのバクス豚ディナー」についてご紹介したいと思います。


スペインとの国境にあるフランス・バスク地方は、食の宝庫。生ハムやチョコレートの産地として有名です。

ここの出身のシェフはいま、パリのビストロでも非常に注目されています。


バスク豚が「まぼろし」と呼ばれるのは、1981年、22頭にまで減り、絶滅の危機に瀕したという事情があったからです。

この豚を妻とともに蘇らせたのが、初来日した生産者のピエール・オテイザ氏で、2006年にはフランス政府からレジオン・ドヌール勲章を授与されました。

今回のディナーは、「ランベリー」のスーシェフがフランス修行時代に同氏から地産食材の教えを受けたというご縁で実現したそうです。

 

バスク豚は、現在では年間生産量が3千頭まで回復したとのことですが、依然として非常に希少な豚であることには変わりがありません。

2か月間は親豚のミルクで育ち、成長した後は12-14か月になるまで野山を元気に駆け回り、クリやドングリ、ブナの実など、季節の恵みに囲まれて暮らすそうです。よくイベリコ豚と比較されますが、旨みがより凝縮されていて力強い味わいといわれてるようです。


当日供されたワインは5種類でした。

 

09042713.jpg 

 1.NM アンリ・ジロー ブリュット・エスプリ
 2.2006 ジュランソン・セック キュヴェ・マリー (ドメーヌ・クロ・ウロラ)
 3.1999 コート・デュ・ローヌ クロ・ドゥ・レルミタージュ
 4.1995 ヴォーヌ・ロマネ プルミエ・クリュ レ・ボーモン

   (ドメーヌ・ペルナン・ロサン)
 5.NM バニュルス キュヴェ・デュ・ドクター・アンドレ・パルセ

   (ドメーヌ・デュ・マス・ブラン)


まず、サラミや生ハムなどを盛り合わせた1皿目。「バスクからの想い」というタイトルがついていました。

オテイザさんが自ら切り分けてくれた中には、生後1か月の赤ちゃん豚から作られたという貴重なものも。日本にもファンが多いアンリ・ジローのシャンパーニュと合わせます。

 

シャンパーニュ地方アイ村にあるメゾンの歴史は、ルイ13世統治下の17世紀初めにさかのぼります。ただし生産量が少なく、モナコ王室や英国王室や特別な顧客などへの販売が中心で、一般市場に登場したのは近年のこと。

 

そして、世間的には無名であったこのシャンパーニュを一躍有名にしたのは、あのワイン評論家のロバート・パーカー氏。「ハチミツ味のあるブルゴーニュの白に近い」「ノン・ヴィンテージのシャンパーニュは最高峰の一つ」「プレステージクラスはクリュッグのような後味」などと、絶賛したのでした。

よく熟れたモモのような香りとともに、ナッツやバニラのニュアンスが感じられます。クリーミーでふくよかな甘みとコクが、サラミの油分をやさしく包んでくれました。

 

09042702.jpg 

 

09042703.jpg

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

2皿目は、ランドの砂地で育ったホワイトアスパラガスの冷製です。立派なホワイトアスパラに、驚きました。

ワインは、ジュランソンの辛口白。


ボルドー地方の東からピレネー山脈にかけて広がる地域は、「南西地方」とくくられます。スペイン国境に近いピレネー地区で作られるジュランソンは、過熟のブドウから造られる甘口の白ワインとして有名ですが、今回は辛口です。

 

ブドウ品種はグロ・マンサンが主体。辛口とはいえ、ハチミツや白い花のような、ほんのり甘みが感じられます。ドメーヌ・クロ・ウロラは、1983年、ワイン醸造学者のシャルル・ウール氏が娘と2人で設立しました。現在は14haの畑を所有。キュヴェの名前「マリー」は、娘さんの名前だそうです。

 

 

09042704.jpg 09042705.jpg 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ホワイトアスパラのソースは、シェリービネガーとマヨネーズを合わせていました。そう、アスパラガスといえば、グリーンでもホワイトでも、やっぱりマヨネーズで決まりですね! 

ダイコンの花の黄色、エンドウマメの花の藍色、オリーブペーストの土色など、花が咲きこぼれるアスパラガス畑をイメージしているそうです。さりげなく添えられた、砂糖まぶしのピスタッチオがワインとよく合います。

 

 

次回は3皿目以降についてご紹介します。

 

 

この記事のURL | Trackback(0) | Comment(0)

2009.05.11

ジャン・ヴェッセルのメーカーズディナーその2

前回に続いて、ジャン・ヴェッセルのメーカーズディナーのお話です。

 

ディナーで供された4番目は、「ブリュット ウィユ・ド・ペルドリ」。

彼らの真骨頂ともいえるシャンパーニュです。

 

私は半年ほどこの泡に魅せられて、とうとう箱買いしてしまったほどの熱烈ファンです。


「ウィユ・ド・ペルドリ」とは、ヤマウズラの目の意味。ほんのりとピンクがかったロゼ色です。ヤマウズラは、こんなに美しい色の目をしているんですね。

黒ブドウのピノノワールを100%使ったブラン・ド・ノワールで、白ワインと赤ワインをブレンドして作るロゼ・シャンパーニュとは異なります。


現オーナーのデルフィーヌさんによれば、ピノノワールの果実の色と味わいを生かしたシンプルな作り方は、100年以上前から同家に伝えられていたものとか。先代の父親が復活を試みたものの、一時は市場の支持が得られず途絶えた時期もあったらしいのです。


あえてフランスを飛び出し海外で修行を積んだデルフィーヌさんは、この伝統の手法と味を見直し、改めてブランドの再生を果たしたというわけです。


09050801.jpg繊細な口当たりで、ローストしたリンゴ、カシス、サクランボなどの熟成した果実の香りと味わいが楽しめました。酸味はまろやかで、蜜の濃厚さも感じられ、広がりのあるシャンパーニュ。


仔牛フィレ肉のローストを合わせましたが、中華でも和食でも、どんな料理にも合いそうです。デルフィーヌさんからは、「食事のコースで、ブルゴーニュのワインからボルドーに移るとき、その間に挟んで気分を切り替えるのにもいいですよ」と、アドバイスをいただきました。


 

さて、最後の5番目のワイン「ドゥミ・セック ロゼ フリアンディーズ」は、ヴェッセルが新たに取り組んだ甘口ロゼです。デザートの赤い果実のサヴァランといただきました。

 

ロゼ作りは、デルフィーヌさんが学生時代にさかのぼります。

 

大学卒業間近のデルフィーヌさんが休みで実家のメゾンを訪れた時、先代のもとに日本のインポーターが来ていて、英仏語通訳をかってでました。

 

そこから日本とのビジネスが始まったそうで、日本人がロゼ・シャンパーニュを好むとの情報から、いろいろ研究し、4年前に甘口ロゼを完成させました。


 

09050802.jpg 09050803.jpg 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ピノノワールを用いて赤ワインと同様の工程で作られるので、赤みが強く、味わいには渋みやスパイシーさも感じられます。

ラズベリーのようなやさしい甘さが特徴で、ホイップクリームのデザートとよく合いますし、フォア・グラなどとも相性よさそうですね。

 

ちなみに、プランタン銀座で現在取り扱いがあるのは、「エクストラ・ブリュット」「ブリュット・ロゼ」「ウィユ・ド・ペルドリ」の3種類。
お値段は、4千円台で、コストパフォーマンス抜群です。店頭では、時々スペシャルセールで、3千円台で買えることもあるんですよ!
まずは、オンラインショッピングで、試してみるのもおすすめです。

この記事のURL | Trackback(0) | Comment(0)

2009.05.06

ジャン・ヴェッセルのメーカーズディナーその1

ゴールデンウィーク、皆さまはいかが過ごされましたでしょうか。
おいしいワイン、召し上がりましたか?

 

フランスで最北のワイン生産地といえば、シャンパーニュ地方。エレガントで華やかなシャンパーニュは、私の大好きなお酒の一つです。


前回の初ブログでご紹介したジャン・ヴェッセルは、この地方のブジィ村で、3世紀に渡るブドウ生産を続ける小規模家族経営の老舗生産者。

現在はデルフィーヌ&ダヴィッドご夫妻が跡を継いでいます。
ピノノワールが主体の自社畑のグランクリュを中心に、少量生産により、昔ながらのなるべく自然な形を保ちつつこだわりのシャンパーニュを作っているそうです。

 

日本で、いやフランスでも、どこでも手に入るシャンパーニュではありませんが、個性的な味わいで、プランタン銀座ではファンが多いんです。有名レストランのソムリエさんにも人気があるようです。
 
今回のメーカーズディナーは、東京・銀座の"V"de Bistro Vionys にて、3月26日に行われました。オーナーの阿部誠さんは、私が読売新聞のWEBコンテンツ「GINZA通信」でご紹介したこともある業界では著名なソムリエさんです。

 

当日サービスされたのは、5種類のシャンパーニュ。
 1.NM エクストラ・ブリュット(マグナム)
 2.1999 ブリュット プレスティージュ
 3.1997 ブリュット グランクリュ キュヴェ ル・プティ・クロ
 4.NM ブリュット ウィユ・ド・ペルドリ(マグナム)
 5.NM ドゥミ・セック ロゼ フリアンディーズ

 

では、料理とのマリアージュとともに、ご紹介しましょう。コメントのヒントは、阿部ソムリエのアドバイスを参考にしています。

 

最初の「エクストラ・ブリュット」は、アペリティフとして、宮崎県産の果皮が厚くとろりと甘いフルーツトマトといただきました。


ピノノワール80%、シャルドネ20%。泡は繊細で、フレッシュな印象です。香りはやさしく、洋ナシの果実味、軽く焼いたトーストの香りがあり、ふくよかな熟成感が感じられます。味わいはかなりドライ。最後はミネラルの引き締まった印象で、アペリティフには最適ではないでしょうか。そう、サラダやお寿司なんかにも合いそうです。

 

09050601.jpg 09050602.jpg    

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ちなみに、NMとは、ノン・ミレジム。複数年のワインをブレンドして作られた「収穫年表示なし」の一般的なシャンパーニュです。NV(ノン・ヴィンテージ)という言い方もあります。

また、マグナムサイズ(1500ml=通常の750mlのワインボトル2本分)は、ゆっくりと発酵を促すので、フレッシュさが保て、シャンパーニュ保存には一番よい形だそうです。シャンパーニュでは、大型瓶の呼び方がいろいろあって、4本分の大きさのものを「ジェロボアム」、6本分を「レオボアム」、20本分を「ナビュコドノゾール」などといいます。

 

2番目の「ブリュット プレスティージュ」は、1999年という良年の収穫年のブドウのみで作られています。ピノノワール70%、シャルドネ30%。ブジィ村で収穫されたブドウだけを使用。デルフィーヌさんいわく、同村のピノノワールは森の香りがするそうです。

 

瓶詰めされたのは10年も前なのに、泡もきめ細かくしっかりしていて、適度な泡立ちが口の中ではじけて心地よいんです。リンゴのコンポートのような熟れた果物の凝縮感、森の中で感じる下草の深い香りがあって、また、酸味とのバランスもよく、味わいに力強さがありました。

 

09050603.jpg 

 

09050604.jpg

 

 

 

 

 

 

 

 

 

料理は、ニューカレドニア産の天使のエビとコヤリイカのマリネ。甘エビとボタンエビの中間のような甘みを感じさせるエビでした。

このシャンパーニュは、時間とともに、クリーミーなまろやか度が増して時間経過を楽しめます。

 

3番目の「ル・プティ・クロ」は、訪問客用として作られたプライヴェート・キュヴェ。

醸造所のすぐ隣にある小さな畑のピノノワールのみで作られていて、夫妻にとっては「小さな赤ちゃん」のような存在だそう。木樽を使い、また、ピノノワールの特徴を保つためにリキュール添加も行わず、ブドウ本来の甘みにこだわっています。
 

黄金色ともいえる美しい外観。ローストしたリンゴ、ハチミツ、とろりと溶けたキャラメル、ナッツの味わいが、全体的にやさしく溶け込んでいます。

阿部ソムリエは、チーズ、漬物といった表現も使われていました。果実からくる力強く複雑な味わいだけでなく、酸味のシャープさも合わせ持っていて、風格を感じさせる1品でした。

 

   

 

09050606.jpg 

 

 

 

 

 

  

 

 

 

合わせたのは、ホワイトアスパラガスのグリルと鶏肉の温製サラダ。マルタ島のオレンジを使ったソースとのなかなかよかったです。張り込んでちょっと高級なシャンパーニュを買った時には、頑張ってオレンジソースのサラダを作ってみようと思いました。

次回は、私の大のおすすめ、「ブリュット ウィユ・ド・ペルドリ」など、4番目と5番目のシャンパーニュについてご紹介することにします。
 

この記事のURL | Trackback(0) | Comment(0)

永峰好美のワインのある生活

<Profile> 永峰 好美 日本ソムリエ協会認定シニアワインエキスパート。プランタン銀座常務取締役を経て、読売新聞編集委員。『ソムリエ』誌で、「ワインビジネスを支える淑女たち」好評連載中。近著に『スペインワイン』(早川書房)