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2010.01.15

水がテーマのドキュメンタリー映画「ブルーゴールド」

ワインの話をしていると、「テロワール」というキーワードによく出合います。


「ブドウ栽培に適したテロワール(土壌・気候)とは何か?」と考えたとき、条件の一つに、「丘陵と山の段丘から成る起伏に富んだ地形」というのが挙げられることがあります。

それは、「保水」に適しているからでもあるんですね。

 

水・・・。

ワイン造りにおいても、当然のことながら「水」はとっても重要なのです。

今回、この水についてとても学ぶことが多いドキュメンタリー映画に感銘を受けたのでご紹介したいと思います。


「ブルーゴールド 狙われた水の真実」(1月16日公開)です。


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「『水』戦争の世紀」(モード・バーロウ、トニー・クラーク著)という本からインスピレーションを得た監督が、世界で起きている様々な水戦争の現状をドキュメントしていて、私自身、ほんと勉強になりました。


海に囲まれ山林が多い日本に住んでいると、あまり意識せずに暮らしているかもしれないけれど、途上国を中心にした今後の人口増加を考えると、水資源が不足することは容易に想像できますよね。
「20世紀は石油戦争の時代、21世紀は水戦争の時代」といわれる所以です。


 

サム・ボッゾ監督は当初、デヴィッド・ボウイが演じた「地球に落ちてきた男」の続編を作ろうと思って、水がなくなった地球を舞台として描かれるSF映画の企画を練っていたのだそうですが、本に触発され、SFよりもいま地球で起きていることを報告しなくては、との思いに駆られてメガホンを取ったといいます。


たとえば、こんなレポートがあります。
「(米国)北カリフォルニアの生態系の水が長い水道管と運河を経て州の南部に送られています。そこで育てた飼料は日本などに輸出されます。この飼料で育てられた神戸牛は、再び米国に輸入されます。"仮想水"がキーワードです。食糧の輸入は生産国の水を別の形で消費することです。自給自足にほど遠く、持続は不可能です」

 

 

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私たちが住むこの地球の中で、サステイナブルな水の循環を守るには、私たちはどう行動しなければならないか・・・。

次々にレポートがテンポ速く展開されて、追っかけていくのがちょいとたいへんではありますが、
「水は人権であり公共信託財である」という市民運動家の声に、何気なく飲んでいたペットボトルについて改めて考えさせられました。

 

渋谷アップリンクXほか、ヒューマントラストシネマ有楽町などで公開。
 

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永峰好美のワインのある生活

<Profile> 永峰 好美 日本ソムリエ協会認定シニアワインエキスパート。プランタン銀座常務取締役を経て、読売新聞編集委員。『ソムリエ』誌で、「ワインビジネスを支える淑女たち」好評連載中。近著に『スペインワイン』(早川書房)