2014.12.19

あなたの眠りに合う枕選び…ロフテー「枕工房」

  • 日本橋で、何やら未来的な空間を発見!

 銀座のお隣、日本橋をぶらりと歩いていたら、明かりに包まれた何やら未来的な空間を見つけた。

 寝具製造販売のロフテー本社ビルにある「枕工房」。独自の構造を持つ機能性枕を中心に、100種類以上の自社製品が展示販売されている。

最適な枕を見つけてくれる「ピローフィッター」

 ここがユニークなのは、「ピローフィッター」という枕選びのスペシャリストがいることである。一人ひとりの寝姿勢にあわせ、最適な枕を見つけてくれるという。

 朝目覚めた時に、頭がきちんと枕の上にのっているだろうか。大幅にずれていたり、いつの間にか両腕で抱えていたり。私は、そんなことが少なからずある。

 悩みを打ち明けていたら、「それは、枕が合っていない証拠ですよ」と、ピローフィッターさんに促され、店内にあるマシンに向かった。頸椎(けいつい)の曲がり具合を測定できる機械だそうだ。

 頸部に負担のない姿勢とは、リラックスして立っている時の状態。この時の顔の角度は約5度下に傾く。あごを若干引いた感じになる。寝ている間も、この状態を保っているのが理想的で、そのために、敷布団と頭部、頸部の間にできるすきまを埋めるのが枕の役目というわけだ。高すぎる枕は背中が浮いて頸部に負担がかかり、呼吸もしづらい。逆に低すぎても、首全体が疲れる。

 首のカーブの深さは人によって異なるので、それをこの特殊なマシンできちんと計測する。

 その後、心地の良いベッドスペースで実際に横になって、枕の高さを調節しながら、頸部と頭部が適正な高さで支えられているか、チェックする。ピローフィッターさんにみてもらうと、私は、これまでいささか高めの枕を使って首に余分な負担をかけていたことが判明。「高さが5ミリ違うだけでも、からだへの負担は変わってくるのですよ」と、なかなか自分の感覚だけではわからないことを指摘された。

  • 頸椎の曲がり具合を測定
  • コクーン(まゆ)形のベッドスペースで、自分に合う枕をチェックしてもらう

 枕の素材選びは、自分の好みで。羽根、ポリエステルわた、低反発ウレタンなどのやわらかめ素材から、そば殻、ヒノキチップ、ポリエチレンなどのかため素材まで、高さと素材の組み合わせを、納得できるまで試せるのはうれしい。

 私は、流行(はや)りの低反発ウレタンが感触もよく好みと思っていたが、いろいろ試してみると、かためのポリエチレンパイプが、首にしっくりくることを発見した。

 プロのアドバイスは、さすがである。

  • 「枕工房」では、枕の高さや素材の組み合わせが自由に試せる
  • 枕につめる素材もいろいろ

40歳は首の曲がり角…質の良い睡眠で健康維持

 そういえば、整形外科医を取材した時、「40歳は首の曲がり角」という話を聞いたことがある。頸椎の連結部分にはクッションの役割を果たす軟骨があるが、年齢とともに水分が失われ、摩耗して劣化する。さらに、現代人は、長時間のデスクワークや車の運転などで、首の老化が早まっているのだとか。

 眠りの質は健康に影響を及ぼす。厚生労働省の「睡眠指針」でも、「睡眠時間の不足や睡眠の質悪化は生活習慣病のリスクにつながる」ともいわれている。からだを休めるための睡眠なのに、自分に合わない枕を使い続けて健康を害している恐れがあるとしたら、元も子もない。改めて、枕選びの大切さに気付かされた。

 「枕工房」では、高さと素材を選べるセミ・オーダーメイド枕は1万2000円前後から。ほかに、完全オーダーメイドの注文もできるし、購入後のメンテナンスサービスも行っている。

冷えから守る、冬の快眠グッズ

  • (上)寒がりさんには必需品のチューブ状のニット(下)これは便利、えり毛布
  • (上)「美眠」を促す肌質にあった寝具選びを提案(11月、ロフテー本社の展示会で)(下)ガーゼのマフラーとフェースマスクで、乾燥肌対策

 寒がりの私は、展示の中で、冬の快眠グッズにも注目した。

 手首や足首、首周りを局所的に冷えから守るチューブ状のニット「ウォームタッチ・チューブ」。それぞれの冷えのタイプに合わせて選べるのがいい。伸縮性がありながら、かなりゆったりしている。それでも、睡眠中に脱げてしまうことはないそうだ。

 もう一つ、役立ちそうなのが、「えり毛布」。肩だけがどうしても温まらない時、布団の上からかける小型毛布だ。仰向け寝用、浅い横向き寝用、深い横向き寝用の3種類が用意されているのだから、驚いた。横向き寝用は、背中部分をくるむように形が工夫されていた。 

 さて、同社が来春打ち出すのが、「美眠」。肌質に合わせて選べる「眠具」を提案するのだそうだ。化粧品売り場のように、スキンチェッカーで、肌の水分量、油分量、弾力など、肌質の状態を確認。四つの肌質に分類したうえで、たとえば、朝起きた時に肌のかさつきが気になる乾燥肌の人には、保湿性のあるアロエ加工やスクワラン配合繊維を使ったものを、敏感肌の人には、低刺激の繊維や吸湿・放湿に優れたシルク製品などを紹介する。

 枕などの眠具は、人生の3分の1の時間を共に過ごす“相棒”ですもの、自分に合ったものをじっくり時間をかけて選びたい。

 ロフテー本社の「枕工房」は完全予約制(03―3663―5050)。なお、全国の主要百貨店などにも専門売り場「枕工房」がある。

 では、皆さま、枕下に宝船の絵でも敷いて、素敵(すてき)な初夢を!

 来年も引き続きよろしくお願いいたします。

 (読売新聞編集委員・永峰好美)

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永峰好美のワインのある生活

<Profile> 永峰 好美 日本ソムリエ協会認定シニアワインエキスパート。プランタン銀座常務取締役を経て、読売新聞編集委員。『ソムリエ』誌で、「ワインビジネスを支える淑女たち」好評連載中。近著に『スペインワイン』(早川書房)