2010年12月アーカイブ

2010.12.17

ロゼワイン講習会を終えて・・・

先日ブログでも告知しました「ロゼワイン講習会」を、12月15日、プランタン銀座地下2階のワイン売場で行いました。
当日飛び入りのお客様も含め12人の女性のお客様が参加してくださいました。

 

最初に、最近のトレンドの中で、欧米でなぜロゼワイン人気が高まっているのかをご説明。

30分という限られた時間の中なので、その後、早速試飲に移りました。

皆さん、ワイン好きな方のようにお見受けしましたが、「ロゼワインだけを5種類を飲む機会はとっても珍しい!」という声が多かったです。

試飲していただいたのは、5種類です。

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左から、
 ラングロワ・シャトー クレマン・ド・ロワール NV
 フリュッテル ラ・テット・ノワール ブリュットロゼ NV
 シャトー・ド・フェル ロゼ・ダンジュ ル・ジャルダン 2009
 E.ギガル タヴェル・ロゼ 2008
 トリエンヌ VDP・デュ・ヴァール・ロゼ 2008

 

最初の2本は、スパークリングワイン。1本目はロワール地方でカベルネフラン100%、2本目はプロヴァンス地方でグルナッシュ95%、シラー5%。
サーモンピンクの色合いは非常に似ているのですが、ロワールのはよりすっきり、プロヴァンスのはチェリーなど赤果実のニュアンスが強いように感じました。
フィンガーフードとしてご用意した、スモークサーモンのムースを合わせました。

ロゼ・ダンジュは、ほんのりと上品な甘さが「エレガント!」との声も。こちらは、カラスミとカブの酢漬けと合わせて。

タヴェル・ロゼは、濃い赤紫色の色合いに、「へえ、ロゼワインもいろんな種類があるのねえ」と、驚きの声が・・・。フルーティーな中にもスパイシーさがアクセントになっているので、プロシュートと柿のスパイシーロールと合わせて。

最後は、プロヴァンスの高品質、コストパフォーマンスに優れたロゼで締めくくり。いや、トリエンヌのロゼは、いつ見ても、愛らしいピンク色とコクのある複雑な味わいといった、小気味よいアンバランスさが、私を魅惑します。

 

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特に人気があったのは、クリスマスシーズンということもあってか、華やかなスパークリングワイン2種類と、3番目のロゼ・ダンジュ。

これら3本は、確かに、料理がなくても、アペリティフとして楽しめるタイプ。

フリュッテルはハートが描かれたエチケットもかわいらしくて、女友達へのギフトに最適かもしれません。

 

「ロゼって多様なんですね」と、短い時間ながら、皆さん、とても楽しまれて帰られました。

参加された皆さま、ありがとうございました。

 

また、様々なテーマで、ワインの楽しさをお伝えしたいと思いますので、そのときには、どうぞご参加くださいね。

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2010.12.17

日本銀行へ“学べる街歩き”

内部見学ツアー

  • 日銀本店見学のしおり

 東京・銀座の中央通りを京橋方向に歩くと、「江戸は日本橋」と五街道の起点とされた日本橋に至る。その昔、日本橋川のたもとには、江戸庶民の台所をまかなう魚河岸があって、街道筋には若旦那たちの社交場や花街が生まれ、江戸の経済の中心地でもあった。

 さらに、日本橋から中央通りを神田方向に向かう北側は、金銀通貨の往来する一大商業地として大いに賑わった地域である。

 日本橋三越本店と昭和初期のデザインが残る三井本館の間の道を進めば、右に日本銀行本館、左に貨幣博物館。テレビの情報番組などでよく目にする日銀の地下金庫を含め、一度ぜひ訪れてみたい場所だった。

 先日、東京・中央区観光協会特派員が案内する街歩きツアーに参加して、内部を見学する機会があった。

  • 明治29年に建てられた日本銀行本館

 ここで、ちょっと歴史のおさらいをしておこう。

 明治維新後の新政府は急速に近代化を推進したが、財政基盤が固まっておらず、政府紙幣や国立銀行券などの不換紙幣を発行して急場をしのいでいた。だが、明治10年(1877年)の西南戦争で戦費調達のために不換紙幣を大量に発行、大インフレが発生した。大蔵卿に就任した松方正義は緊急財政措置の発動でこの混乱を収束するとともに、通貨価値の安定を図る中央銀行の設立を提言する。

 そして、明治15年(1882年)公布の日本銀行条例を受け、永代橋のたもと(現在の日本橋箱崎町)に日本銀行が誕生。ところが、施設は手狭で交通の便も悪かったため、ほどなく建物を移転することになった。それが現在の日本銀行本店本館で、明治29年(1896年)、辰野金吾の設計で竣工した。

重厚なネオ・バロック建築

  • 中庭には馬の水飲み場跡が残っている

 建物は、石積みレンガ造りによる地上3階、地下1階建て。柱やドームにみられるバロック様式に、窓を規則正しく並べるなどしたルネサンス様式を取り入れた「ネオ・バロック建築」と呼ばれるスタイルで、ベルギーの中央銀行をモデルにしたといわれる。関東大震災で館内の約半分を焼失したが、その3年後に修復、昭和初期にも増築されて、現在は国の重要文化財にも指定されている。

 本館正面入り口に広がる中庭には、当時の馬の水飲み場跡が残っている。

 江戸時代、銀貨の鋳造・取締りを司ったのが「銀座役所」で、慶長17年(1612年)、それまで駿府にあった銀座役所が江戸の新両替町(現在の銀座2丁目)に移設され、そこで銀貨鋳造を行うようになった。それが「銀座」という地名の由来である。一方、金を扱っていたのが金座で、金座鋳造所跡地に日本銀行は建てられた。

 2階の史料展示室で興味深かったのは、非常灯として使われていた提灯や、昭和44年まで始業終業を知らせるチャイム代わりに使用された拍子木など。

「金庫の扉を確かめて」

  • おみやげの屑紙幣

 地下では、設立時からつい数年前まで、実に100年以上も使われていた金庫をみることができる。金庫扉の厚さは90センチ、重さは25トンもある。

 この扉を製作したのはアメリカ・ヨーク社。同社の社長のこんなエピソードが伝えられている。太平洋戦争に息子が出征する際に、「お前はいずれ日本に上陸するだろう。そうしたら金庫の扉が円滑に動いているかを確かめてきてほしい。故障していたら面目ない」と言い、息子は戦後、扉が正確に動いていることを確認して報告したという。

 また、金庫室を囲む回廊には、建設当初お札を運ぶために使われたトロッコ用のレール跡が残っており、当時をしのばせる。

 お札の寿命は、千円札と5千円札が1~2年、1万円札が4~5年といわれるが、見学記念にもらったのは、寿命を終えて裁断されたお札の屑。金種はさまざまだそうで、ジグソーパズルのように貼り合わせても、元のお札に復元することはできないそうだ。

世界でも珍しい日本の貨幣史

  • (上)貨幣博物館見学のパンフレット(下)これが本物だったら……と誰もが思う「1億円の重さ体験コーナー」

 貨幣博物館に向かう。

 1982年、日本銀行の創業百周年を記念して日銀金融研究所内に設けられたもので、貨幣収集の第一人者といわれた田中啓文氏の「銭幣館(せんべいかん)コレクション」をはじめ、東洋貨幣を中心に約20万点が所蔵されている。

 古代、物品貨幣として使用された石製の矢じりや稲に始まり、708年、中国の唐銭(開元通宝)をモデルにしたわが国最初の貨幣、和同開珎(わどうかいちん)もある。

  • 貨幣博物館には記念品の自動販売機も

 その中で「へえ」と思ったことを一つだけ挙げておこう。

 最初は銀銭と銅銭があった和同開珎も、朝廷の権力が弱まり、銅の産出不足などで、改鋳のたびに材質が悪化し、通貨価値も低下する。民衆の間に銭離れ現象が起き、10世紀後半、政府が発行する銭貨の鋳造が停止される事態に。再び稲などの物品貨幣に逆戻りするなど、日本の貨幣史は世界の中でも珍しい歴史をもっていることを知った。

 平安の12世紀ごろからは、中国から渡来銭が盛んに流通したが、それだけでは量的に足りない。そこで、渡来銭を見よう見まねで作った私鋳貨幣が出回ったが、質が悪く、悪銭(鐚銭(びたせん))と呼ばれた。「びた一文出さない」の言葉の由来はこの史実に基づくものという。鐚銭は江戸初期まで造られていたようだ。

  • (左)日本橋に新しく誕生した「コレド室町」、(右)金箔がまぶしい「箔座日本橋」

 ここの見学みやげには、金運小判や金塊チョコレートなどが自動販売機で買える。

さて帰り道、「日本をにぎわす、日本橋」をコンセプトに誕生した複合商業ビル「コレド室町」に立ち寄った。

 そこで見つけたのが、「箔座日本橋」というお店。箔どころ金沢が本店で、純金箔をぜいたくに使った工芸品やアクセサリー、化粧品などが店頭に並ぶ。

 「こちらへどうぞ」と促され、茶室のにじり口のような小さな入り口から中に入ると、そこには黄金の天空が広がっていた。金座にちなんだ史跡めぐりを終えたあと、一見の価値あり、です。

 (プランタン銀座取締役・永峰好美)

 ◆日本銀行金融研究所貨幣博物館

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2010.12.13

ロゼワイン尽くし~12月15日には試飲会も

クリスマス会の前哨戦(?)として、私のワイン講座では、先日、プランタン銀座の「サロン・ド・テ アンジェリーナ」で、ロゼワイン尽くしの会を開きました。


ロゼワインだけで、前菜からデザートまで通すのって、なかなか珍しいですよね。

果実の爽やかな味わい、華麗な香りの広がり、そして食事との相性の良さで、ロゼワインにはまっている私のスペシャル企画でした。


揃えたロゼワインは7種類。

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左から、

ラングロワ・シャトー クレマン・ド・ロワール ブリュットロゼ NV
ヴァンジーニ ピノネロ スプマンテ エクストラドライ・ロサート NV
シャトー・ド・フェル ロゼ・ダンジュ ル・ジャルダン 2009
レザマン・デュ・シャトー・モンペラ ロゼ 2008
E.ギガル タヴェル・ロゼ 2008
VDP・デュ・ヴァール・ロゼ・トリエンヌ 2008
シャトー・ド・ピバルノン バンドール・ロゼ 2007

 

その一つひとつに、例の如く、塩川健シェフが、相性の抜群の料理を作ってくれました。
 

最初の2本は、スパークリングワインです。1番目は仏ロワール地方で、カベルネフラン100%。2番目はイタリア・ロンバルディア州で、ピノネロ(ピノノワール)100%。どちらもすがすがしい味わいですが、後味もしっかり、ふくよかなボリューム感を楽しめます。

お料理は、


まず、柿のカプレーゼ

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次に、バイ貝のクリュー、タコの軽いスモークとシブレットのリース飾りでクリスマスを演出!

 

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2010121304.jpgロゼ・ダンジュは、やはりロワール地方で、カベルネフラン100%。

 

ほんのり甘さがやさしくて、アタックも穏やか。新鮮なエゾ鹿のマリネの酸味とよく合いました。

 


 

 

 

 

 

エゾ鹿もも肉のマリネのサラダ仕立て グリーンマスタードソース

 

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4番目は、仏ボルドー地方で、カベルネソーヴィニヨン90%、カベルネフラン10%。2007年が初ヴィンテージというこのシャトーのロゼは、赤ワイン用のブドウより15日も早く収穫したロゼ用区画のブドウを使っているそうです。心地よいイチゴの風味にハーブのニュアンスが加わり、実に軽やか。

料理は、手長エビのマツタケスープ煮


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タヴェル・ロゼは、仏ローヌ地方で、グルナッシュ、サンソー、クレレットなどが主体。赤ワインを思わせるような濃いルビー色で、スパイシーな印象は近江牛との相性抜群です。

近江牛の手まり寿司


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2010121308.jpg「ロゼ・トリエンヌ」は、南仏プロヴァンス地方から。サンソー、シラー、メルロが加わります。

 

淡いピンク色の軽やかなロゼは、気持ちをハッピーにさせてくれます。

私の大好きなロゼでもあります!!

 

 

 

 

 

 

料理は、真鱈の湯煮 フレッシュトマトとハーブのソースで、地中海の風を感じましょう。


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最後は、やはり南仏プロヴァンスから、バンドール・ロゼ。ムールヴェドル、サンソー主体。ブルゴーニュからこの地に移り住んだアンリ・ド・サン・ヴィクトール伯爵は、バンドールではいまやトップメーカーになりました。華やかな香り、きめ細かなタンニンのひろがりは、さすがに存在感を感じます。

フランス産マグレカナールとフォアグラのポワレ 五穀米のリゾット添え

 

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一口にロゼと言っても、実にさまざま。色の違い、味わいの広がり、香りの多様性。楽しむポイントには事欠きません。

ヨミウリオンラインの「GINZA通信」でも、ロゼワインの魅力を語っていますので、興味のある方はぜひチェックしてみてくださいね。

 

さて、ここでお知らせです!!

ロゼワインの楽しさをもっと多くの方に知っていただきたいと思い、12月15日(水)午後6時から、プランタン銀座地下2階のワイン売場「ロゼワイン講習会」(無料)を開くことにしました。
「講習会」といっても堅苦しいものではなく、5種類のロゼワインを飲み比べて、そのヴァリエーションの豊さを楽しんでいただきたいとの企画です。

私が、ロゼワインを楽しむためのミニ知識をお話しします。塩川シェフ特製のロゼに合うフィンガーフードもご用意していますので、お気軽にご参加くださいね。

定員12名。予約優先で、Tel:03-3567-7885(売場直通)に「ロゼ講習会に参加」とお伝えください。

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永峰好美のワインのある生活

<Profile> 永峰 好美 日本ソムリエ協会認定シニアワインエキスパート。プランタン銀座常務取締役を経て、読売新聞編集委員。『ソムリエ』誌で、「ワインビジネスを支える淑女たち」好評連載中。近著に『スペインワイン』(早川書房)