米カリフォルニアを代表する女性ワインメーカー、メリー・エドワーズさんが3月末、夫とともに初来日。
東京・神田の学士会館のフランス料理店「ラタン」で、メーカーズディナーが開かれました。
メリーさんは、30年前に買ったクールな黒羽織をコートのようにふわっと羽織って現われました。
彼女がワインと出会ったのは、幼い頃の思い出にさかのぼるそう。母親のお手伝いをしている時に、料理に一味添えるエッセンスとしその存在を知ったというわけです。
カリフォルニア大学バークレー校で生理学を修め、その後、デーヴィス校で醸造学を専攻、醸造家としての道を歩み始めました。
カリフォルニアワインにクローンを導入する先駆的な役割を果たし、コンサルタントとしての地位を確立、現在は自社畑を所有し、何種類かのピノとソーヴィニヨンブランを造っています。1997年から造っているピノには、格別の思いと自信があるようでした。
ワインスペクター誌では、いつも上位にランクされる彼女のワインですが、なかなかお目にかかる機会がありませんでした(デプトプランニングさんが輸入されています)。
今回、いただいたのは、
2000メリー・エドワーズ メレディス・キュヴェ レイト・ディスゴージド スパークリングワイン
2008メリー・エドワーズ ソーヴィニヨンブラン ロシアン・リヴァー・ヴァレー
2007メリー・エドワーズ ピノノワール ソノマ・コースト
2005メリー・エドワーズ ピノノワール ロシアン・リヴァー・ヴァレー
2007メリー・エドワーズ ピノノワール メレディス・エステート
2004メリー・エドワーズ ピノノワール クーパースミス ロシアン・リヴァー・ヴァレー
スパークリングワインは、少量生産で日本未入荷。きめ細かな泡とすっきりした酸がマイルドにまとまっていて、これは、とっても美味しかった!
ソーヴィニヨンブランは、メロンやライム、トロピカルフルーツの甘い香り、ほどよい樽の香りが相まって、芳醇です。米国では2007年が大人気で完売だそうです。
ピノは、それぞれの畑の特徴が表れて、面白いですねえ。
しなやかな重量感があるロシアン・リヴァー・ヴァレーのピノは長い余韻が楽しめましたけれど、私は、自社畑のメレディス・ヴィンヤードで造ったピノが一番気に入りました。エレガントで、バラやリコリス、ジャスミンティなど、複雑性のある香り、凝縮した味わいが広がって。魅力的です。
「この畑は、私が醸造家から栽培・醸造家への道を歩み始めるきっかけになった記念すべき場所」と、メリーさんの説明でした。
最後のクーパースミスは、まだ若すぎる印象でした。
合わせた料理をご紹介すると、
生ハム、そして一口のお楽しみ
長崎産新鮮白身魚と生ウニの春仕立て
北海道産ホタテ貝のココット焼き
長崎産アマダイの伊勢海老とサフランのソース
(写真を撮り忘れました!)
骨付き仔羊のロティ 森のキノコ添えトリュフの香り
デザートは、新潟産洋ナシの赤ワイン・コンポート
久しぶりに、しっかりしたクラシックなフレンチをいただきました。
良質なピノだと、楽しめますね。
女性ワインメーカーらしい(?)エチケットも目を引きました。
とっても気さくなメリーさんと一緒に。
「女性先駆者として、苦労したことは?」と伺ったら、「今が素晴らしいので、ネガティブなことは言わない。私には、ゲイ・サポーターチームがいて、親切に丁寧に、時に厳しく指導してもらいました」とか。
「女性の方がテイスティング能力が高いともいわれていますよね」と水を向けると、「そうそう、それは、研究者によっても裏づけられているデータがありますもの。女性そしてアジア系の中に、スーパーテイスターが生まれるようです」ですって。
女性のテイスティング能力の高さは、ワイン評論家のジャンシス・ロビンソンさんも指摘するところ。2月にジャンシスさんをインタビューしたのですが、その内容は、5月発売の日本ソムリエ協会誌「ソムリエ」に掲載の予定です。