2009年11月アーカイブ

2009.11.29

日本ワインとペニンシュラの中華

このところ、日本の産地で栽培・収穫したブドウを使い、その土地の特徴を生かして造った「日本ワイン」の評価が高まっています。


「日本ワインを愛する会」事務局長の遠藤誠さんの案内で、日本ワインの有名どころ5社のワインがそろったメーカーズディナーが開かれました。合わせる料理は、日比谷のザ・ペニンシュラ東京の「ヘイフンテラス」の中華という、ユニークでゴージャスな企画です。

 

遠藤さんは、ワイン評論家として著名な山本博さんと一緒に2001-2002年に国内のワイナリーを集中的に訪問し、2003年、「日本のワイン」の著作出版と同時に、「日本ワインを愛する会」を設立しました。
輸入原料をブレンドして造るものもある「国産ワイン」と差別化するため、あえて「日本ワイン」と名づけたそう。
日本の土壌の個性を表した、日本の醸造家による世界に通用するワインが「日本ワイン」というわけです。


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ワインリストは次のとおりです。


2005ドメーヌ・タケダ キュヴェ・ヨシコ
2008グレイス甲州鳥居平
2008ドメーヌ・ソガ シャルドネ・ムラサキヴィンヤード
2007ココファーム&ワイナリー 第一楽章
2005シャトー・メルシャン 桔梗ヶ原メルロー

 

09112601.jpg蔵王連峰のふもと、山形県上山温泉郷近くにあるタケダワイナリー。タケダワイナリーは、1920年(大正9年)からワイン造りをはじめ、現在の岸平典子社長で5代目。開園以来、ワイン製造には自社畑か山形県産のブドウのみを使用することにこだわってきたワイナリーです。


また、カベルネソーヴィニヨン、メルロ、シャルドネなどのヨーロッパ系品種を日本でいち早く栽培を始めたことでも知られています。


20年の土壌改良を経て、15ヘクタールの自社農園ではいま、自然のサイクルを最大限に生かした減農薬、無化学肥料の自然農法栽培を行っています。

 


「キュヴェヨシコ」は、シャルドネ100%のブラン・ド・ブラン。シャンパーニュと同じ製法で造られた本格的なスパークリングワインです。12月1日にいよいよ発売とのことでしたが、予約で完売。今回は熟成試験用に取りおいていたものを特別にいただきました。「ヨシコ」は、経営に尽力した岸平社長のお母様の名前だそうです。

泡立ちがきめ細かく、とってもクリーンな味わいでした。最初は閉じていた印象でしたが、2時間余の食事の最後には、まろやかでクリーミーなニュアンスも出てきて、変化が楽しめました。数年置いて飲むと、またとても美味しくなるのでしょうね。日本でも、こんなに潜在力を秘めた泡ができるなんて、素晴らしいですね。 

 

 

料理でまずサーブされたのは、ヘイフンテラス特製焼き物入り盛り合わせ前菜。

ナツメと豆腐の香料煮、特製釜焼きバーベキューミート、バイ貝の辛味ソース煮が盛られていました。

 

 

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09112603.jpgマスター・オブ・ワインのジャンシス・ロビンソンさんが2000年、「グレイス甲州」を「私が飲んだ一番美味しいワイン」と英字紙で紹介してから世界でも注目されている中央葡萄酒。

ボルドー大学のデュブルデュー教授の指導で造ったキュヴェは、アジア初のパーカーボイントを取得、2007年、EU基準を満たした日本ワインとしての輸出認定第一号にもなり、話題でした。


「祖父から教えられた地ブドウ、甲州種にこだわり、これからも大事にしていきたい」というのは、ワインメーカーの見澤彩奈さん。4代目三澤茂計社長の娘で、ボルドー大学ワイン醸造学部で学位を取得。「透明感のある甲州種は、どこか日本の文化を象徴しているようでユニークな品種。世界に広めたい」と夢を語ります。


鳥居平畑は、勝沼でも標高が高い山路地帯にあり、日照量、昼夜の寒暖差、水はけのよさなど恵まれた栽培地域。ホワイトオークの小樽を使用。
三澤さんが表現するように、本当にガラスのように透き通った色が魅力的です。果実の凝縮感もあり、さわやかな味わいです。

 

待っていました! ふかひれです。

特選気仙沼産ふかひれ姿入り極上蒸しスープ 菊の花茶の香り。

 

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09112605.jpg「ドメーヌ・ソガ」の小布施ワイナリーは、以前9月28日のブログでも紹介しました。長野県で最も古い歴史をもつ須高地区で、フランス系品種を中心に栽培しているワイナリー。ヨーロッパ式垣根仕立てを採用、低農薬栽培を実践しています。


遠藤事務局長が5年前、初めて最高栽培・醸造責任者の曽我彰彦さんに会ったとき、あまりに真っ黒な日焼けした顔だったのでびっくりしたそうです。時間さえあれば畑に出ているのが大好きな曽我さん。「愛車はトラクター」とワイナリーのパンフレットにありました。

 


今回いただいたシャルドネは、繊細で複雑で、樽からくるパワフルさとは違った、果実の風味がまろやかで、ちょっとくぐもった印象。曽我さんが何かで、「ブルゴーニュのルフレーヴ女史を尊敬している」と語っていたのを思い出しました。

ご本人は、「まだまだシャルドネは勉強中で、発展途上。もう少し時間がたてば樹も大きくなり、皆様に喜んでいただけるものが造れると思うのですが」と、謙虚でした。

 

 

活伊勢エビの特上スープ炒め煮。

ぷりぷりした歯ごたえの伊勢エビは旬の千葉県産。ネギやショウガの香りがやさしかった一品。

 

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09112607.jpg栃木県足利市のココ・ファーム・ワイナリーは、サミットにも登場したワインとして有名になりました。


1950年代、特殊学級の中学生たちが山を開墾し、600本あまりのブドウの苗木を植えたのが始まりでした。やってもやってもやりつくせない自然相手の作業・・・知恵遅れと呼ばれている若者たちが、きょうも急斜面で汗を流しています。

 


日本の赤ワイン用品種といえば、まず思いつくマスカットベリーA。赤い果実のフルーティーな味わいです。

 

  

 

 

09112608.jpg標高700メートル、ブドウ成熟期の9-10月の寒暖差が大きいシャトー・メルシャンの長野県塩尻市桔梗ヶ原地区。国際コンクールの金賞受賞の常連です。

日本の「フィネスとエレガンス」を追求している日本のリーディング・ワイナリー。

 

明るめのきれいなルビー色。熟した果実にコーヒーのニュアンスなどが加わり、果実の力強さと新樽の風味のバランスのよさはさすが、です。

 

「日本ワインの全体的なレベルアップのために、技術データもできる限り公開している。それが、大企業の責任」と、担当者からが力強い言葉が・・・。

 

 

 

お肉は、和牛のアスパラ巻き煎り焼き オリジナルXOソースです。

XOソースはアミの風味にシャープな辛味が加わり単体ではおいしいのですが、個性が強すぎて、ワインの香りや味わいがよくわからなくなりました。XOソースとワインの組み合わせは、ちょっと難しいのではないでしょうか。中華料理に詳しい方、教えてください。

 

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水で口を洗いなおして、

最後の料理、金華ハム煎り卵白チャーハン干し貝柱添え。

 

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デザートは、マンゴープリン。

 

 

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今回この会のために、東京店以外にも、香港や上海、北京のザ・ペニンシュラからシェフが集結。

 

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とってもレベルが上がっている日本ワイン。今後ますます注目ですね。

 

 


 

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2009.11.27

京と江戸の良いとこ取り、「粋上品」に遊ぶ器

小津安二郎が愛した京焼の老舗

  • 「最近は若い女性客も増えてきて、うれしい」という松村晴代さん

 年の瀬が近づき、新年用に何か縁起のいい器を買い足したいと思い、銀座8丁目、金春通りにある京焼の老舗「東哉(とうさい)」を訪ねた。

 1919年(大正8年)、京都の洛東清水音羽山麓で創窯した澤村陶哉の流れをくむ店だ。主に財閥系の注文生産で人気の作家だったが、「一般の人にも器のよさを伝えたい」と、戦前の1936年(昭和11年)、義理の息子の山田隼生氏が東京で「東の陶哉」=「東哉」を創業。現在は長男の悦央(よしお)氏が二代目を継ぎ、京都の清水茶わん坂で器のプロデュースを続け、次女の松村晴代さんが東京の店を切り盛りしている。長女も絵付け師の陶芸一家である。

 「東京で店をもつなら、あこがれの銀座と父は決めていたようです。個性が強く、その店でしか入手できないといった一品を自信を持って並べられるのは銀座、が持論でした」と、松村さんは語る。

 私が「東哉」の名前を知ったのは、ある雑誌の特集で「小津安二郎が愛した店」とあったのに興味をひかれてからだ。

 小津監督は先代の美的感覚に厚い信頼をおいており、映画で使用する器や床飾りなどについてよく相談をもちかけていたという。「鎌倉のご自宅から銀座に来られると、必ず店に立ち寄られたようです。それで、映画関係者の間では『監督を捕まえるには東哉へ行け』が合言葉になっていた」(松村さん)とか。

雅と粋の融合

  • 小津映画の「彼岸花」に登場した湯呑み茶碗は、指名買いの多い人気の一品

 小津作品の「彼岸花」(1958年)に登場した朱彩と菊の透かし模様を組み合わせた湯呑みは、いまもご指名で買い求める客が多いそうだ。そう、長女の結婚式前夜、帰りの遅い父(佐分利信)をやきもきしながら待つ家族、母(田中絹代)と2人の娘(有馬稲子と桑野みゆき)が囲むちゃぶ台にあった湯呑みである。

 「先代の父は、作品に裏千家の押印を許されたにもかかわらず、そんなPRは必要ないと頑なに拒んでいました。小津監督とのお付き合いについても同じスタンスでした。でも、監督生誕100年の2003年の時でしたか、いろいろお話もあったので、解禁してもいいかなって思いましてね」と、松村さんは振り返る。

  • 煎茶椀を手に説明してくれたのは、丁寅次店長

 時代を読むPRセンスは、もともと広告業界で働いていたから培われたものかもしれない。彫刻を学び、CMなどのスタイリストや様々なディスプレーの仕事をしていた松村さんは、イタリアに渡って、海外のトレンド情報を日本に発信する会社を手伝っていた。そこで気づかされたのは、「外国人に日本や京都のことを質問されてもきちんと答えられない情けない私」だった。

 日本のことをもっと知りたい、幼い時から身近にある陶器について一から学びたい――28歳で帰国し、東京の店で働くことを志願、いまに至る。

 華やかで色彩豊か、そして、繊細でどこか透明感があって、すっきりしたデザイン……。器の美を表現するのはなかなか難しいが、松村さんは、「東哉」の器を「粋上品」という言葉で形容する。

 京都の伝統、雅さ、上品さに、江戸の粋を取り入れたもの、といった意味らしい。上品だけれど野暮でない、粋だけれども下品に落ちない、そのぎりぎりのところで遊んでいる器たちなのである。

四季を彩る器で食を楽しむ

  • (上)箸置き一つで季節感が変わる(下)箸置きは帯止めにしてもおしゃれなのだとか

 和食器をそろえるというとなぜか気張ってしまいがちだが、これほど季節感を気軽に取り入れられるものはないだろう。

 華やいでほんのり色づく桜とともに里景色を彩る草花は、春の器に欠かせないテーマ。蒸し暑い夏には、背の低い広口の器や皿に流水や波紋があしらわれ、心地よい涼感が演出される。

  • (上)ふすまの引き手も立派なインテリアに(下)トルコブルーのエキゾチックな大蓋物

 一面を紅や金色の紅葉が飾り、菊や萩文様の器が使われるころには、温かい食べ物が恋しくなるはずだ。冬の器は夏とは対照的に、背が高く深さがあるものが多い。そして、正月の器には、松竹梅などの吉祥文様が華やかな気分にさせてくれる。

 季節の移ろいは、お膳の箸置き一つで表現できる。そう言われてみると、確かに、紅葉の箸置きは晩秋の山々の美しさを思い起こさせてくれる。

 「煎茶碗を小鉢に使ったり、そば猪口にしたり、吸い物を入れてもいいでしょう。箸置きを帯止めに使うのもしゃれていますし、ふすまの引き手も立派なインテリア飾りに。季節感さえおさえていれば、洋食器よりもずっと自由に楽しめますよ」と、松村さんはアドバイスする。

  • 縁起物のひょうたんがデザインされた小皿。大切に使います

 最近は、若い女性やフランス料理のシェフが店にふらりと立ち寄ってくれるのもうれしいという。

 トルコブルーの金彩の大蓋物は、何に使おうか。プチフールなどを載せれば、お茶の時間がもっと楽しくなるのではないだろうか。器使いのアイデアは、際限なく広がっていくものだ。

 さて、迷いに迷って私が買ったのは、伝統文様の桐だが、花の部分がひょうたんになっているユニークなデザインのもの。何だかめでたい。桐の花が咲くのは春だけれども、ひょうたんは縁起物なので新年を含めいつでも使えるそうだ。大切に使いたいと思う。

 (プランタン銀座取締役・永峰好美)

 ◆巧芸陶舗 東哉

 http://www.to-sai.com/

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2009.11.23

白金にニューオープンの「AWキッチン」で

銀座の"V"de Bistro Vionysがこの夏閉店して、ソムリエの斉藤さんが白金高輪にニューオープンした「AWキッチン」に移られたと聞き、早速出掛けてみました。


「AWキッチン」は、オーナーシェフの渡邊明さんが契約農家の新鮮な野菜と手打ちパスタにこだわって展開しているお店。白金以外にも都内に4店舗あります。店名の由来は、お客様をシェフの台所に招いておもてなしをしているイメージから。

 

まずは、モエのシャンパーニュをグラスで。アミューズは、ヴェジタブルコルネ。

 

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カリフォルニア・ナパの「フレンチランドリー」の演出に似ていますね。

外側のパリパリの生地がセサミ風味で、ちょっと甘みがありました。

 

 

店のイチオシ定番メニュー、AW農園バーニャ・カウダ。プレゼンテーションが素敵です。


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前菜は、秋野菜と幻の「鮭児」のテリーヌ 柿のビネグレット。

 

09112203.jpg鮭児は、11月上旬から中旬にかけて主に知床から網走付近でとれる脂ののった若いシロザケ 。1万本に1-2本しか獲れないともいわれる貴重なお魚。

 


09112204.jpgオーナーがカリフォルニアワイン好きだそうで、白は、ナパのソーヴィニヨンブランをいただきました。
2008ターンブル ソーヴィニヨンブラン 

ナパのオークヴィル地区、「オーパス・ワン」の北側の一等地に1979年設立されたワイナリーで、オーナーはパトリック・オデル氏。93年にジョンソン・ターンブル・ヴィンヤードを購入し、「ターンブル・ワイン・セラーズ」という名称に。90年代後半からカベルネソーヴィニヨンの評価が高まり、人気ワイナリーになりました。


エチケットにも「エステート・グロウン」と記しているように、ブドウはすべて自社所有の畑からまかなっています。


このソーヴィニヨンブランは、ターンブル唯一の白ワイン。オレンジやレモン、それに白いバラの香り、すっきりした酸のまとまりに加えて、トロピカルフルーツのリッチなニュアンス、後味にわずかにほろ苦さが残り、カジュアルすぎないところが気に入りました。

 

 

パスタの種類が多いので、とても迷いましたが、青森の長イモとウニ、岩海苔のクリームソース・パッパルデッレを。

 

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長イモがパスタのように太く薄く長くなって、柔らかい味のクリームソースの中で出番を待っていました! 岩海苔のグリーンもとってもさわやか。ウニもたっぷり入っていて満足です。

 

 

お肉は、北海道から届いたばかりのとっても歯ごたえがやさしい蝦夷鹿です。ローズマリーの一枝が味わいにアクセントを加えてくれます。

 

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09112207.jpg赤ワインは、
2005ブラウン・ブラザーズ メルロー(オーストラリア)

19世紀末、ヴィクトリア州ミラワに創立したオーストラリアで最も古い家族経営のワイナリーの一つ。2代目のジョン・チャールズ・ブラウンの時代、豪州初のリースリングの貴腐ワインを造るなど、ワイナリーが発展する基盤を作りました。

 

現在では、ミラワ以外にも広大なブドウ畑を所有し、ピノノワールやシャルドネ、オーストラリアでは珍しいバルベーラやピノグリージョも栽培しています。


州北部の温暖なカンガルー湖畔には妻の名前にちなんで名付けられたパトリシアというプレミアムワインを生み出す畑があって、メルロはその畑から。ブラックベリーやチョコレートの香り、タンニンは柔らかでミディアムボディの味わいでした。

 

できれば、赤はブルゴーニュを飲みたかったなあ。フランスワインもこれから充実させていただければうれしいなって、思いました。

 

 

 

デザートは、栗のスフレとラムレーズンアイスクリームに、

 

09112208.jpgもう一つ、長野パープル、セトジャイアンツ、信濃スマイルの3種のブドウを使った寒天テリーヌ。


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ハーブティーも充実していました。葉っぱを小皿に載せてプレゼンテーション。私は、ユーカリやジャスミンフラワー、ペパーミントがブレンドされたデトックス効果のあるお茶を選びました。


 

プティフールの演出もユニークです。

 

09112210.jpg手前のアクセサリー入れのような木箱にかわいらしく収まっています。向こう側のスティックはギモーブの花畑。

演出につられて、たくさんいただいてしまいました。 

 

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2009.11.19

今年のボジョレー・ヌーボーはホント当たり年!

11月19日の木曜日、ボジョレー・ヌーボーが解禁になりました。

 

早速プランタン銀座のワイン売場に飛んで行って、7、8種類をテイスティング。


 

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そして・・・
 「天候に恵まれて、今年の出来は2005年よりもさらに期待できそう!」と言われていましたけれど、その言葉に偽りがないことを実感しました。

まず、ボジョレーのフレッシュな味わいを残しながらも、果実味が凝縮していてボリューム感がスゴイんです。赤いベリー系のアロマが広がり、酸とのバランスもほどよくて、「初もの」の要所をしっかりとらえている印象です。

 

それに、最近は、「ボジョレー・ヌーボー」といっても様々なヴァリエーションが増えて、

ロゼも白もお目見えしていますし、しっかりボディのタイプもあって、飲み比べが楽しいんです。


 

そんな中で、プランタン銀座の売場から私のおすすめを挙げますと、

 

 

09111902.jpg2009シャトー・デュ・シャテヤール ボジョレー・ヴィラージュ・ヌーボー ヴィエーユ・ヴィーニュ(税込3360円)


フランスのリヨンで行われたヌーボー品評会「トロフィー・リオン・ボジョレー・ヌーボー」でヴィラージュ部門で銀賞を受賞。三ツ星レストランの「ジョルジュ・ブラン」のシェフ・ソムリエ、ファブリス・ソミエ氏もおすすめなのだとか。


同シャトーは、8世紀に建てられた最も古い建物の一つ。18世紀後半に修復されて現在にいたります。造り手の若きロジェール夫妻は、ここ生まれ故郷で資産を投じて夢だったワイン造りを2000年からスタート。除草剤や化学肥料などを使用しない自然農法を実践しています。

この「ヴィエーユ・ヴィーニュ」は、樹齢60年以上の古木を使い、ノンフィルターなので、味わいに奥行きがあります。

 

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2009ドメーヌ・デ・ピエール・ジョルジュ・トリシャール ボジョレー・ヴィラージュ・ヌーボー(税込3465円)


畑の樹齢平均45年。極めて小規模な家族経営の造り手なので、貴重な一品です。とっても味わいがエレガントで華やか。

「フレッシュでイチゴジャムのジュースみたい」なボジョレー・ヌーボーを想像していたら、かなりイメージが変わります。

三ツ星「トロワグロ」などに置かれているそうです。

 

 

 

09111904.jpg2009アンリ・フェッシー ボジョレー・ヴィラージュ・ヌーボー・トラディション(税込3150円)


6代続くボジョレーのブドウ栽培家であり醸造家でもあるアンリ・フェッシー氏。樹齢50年以上、剪定や野生酵母による発酵にこだわり、フィルターも軽めにして瓶詰めしているのが特徴です。

 

濃い紫色で、ダークチェリーを思わせる濃厚な味わい。私は毎年愛飲しているのですが、今年はより凝縮してどっしりした感じがあって、おすすめです!


 

 

 

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2009タイユヴァン ボジョレー・ヴィラージュ・ヌーボー ヴィエーユ・ヴィーユ(税込3150円)


プランタン銀座では根強い人気の「タイユヴァン」シリーズ。

すでにロゼは予約だけで完売しているとか。

 

こちらも古木を使っていますが、軽やかさがあって、前に挙げたワインと飲み比べてみると楽しいですよ。

 

 

 

 

本館正面口でも、11月23日まで試飲販売を行っておりますので、気軽に立ち寄ってみていただければうれしいです。

 


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2009.11.14

美味しいカリフォルニア その4(最終回)~はずせないB級(?)グルメ

カリフォルニアのワインカントリーを巡って、はずせないのはやはりB級グルメでした。
今回の旅で印象に残ったものをいくつかご紹介したいと思います。

 

まず、ナパの北、間欠泉がある街、カリストーガのカフェのパンケーキ。


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現在上映中の映画「サイドウェイズ」で、菊地凛子演じるところのミナが働く店「カフェ・サラフォルニア」は実在します。


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ⓒ2009 Twentieth Century Fox and Fuji Televesion 

 

店の奥にこんなサインも見つけたりして、かなりミーハーしてきました。


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このカフェ、100年以上の歴史をもつ古い店。

19世紀にニューヨーク州で人気のあったリゾート地、サラトガ・ホットスプリングスの噂を聞きつけた実業家のサム・ブラナン氏は、「西海岸にだってそれに匹敵する温泉地はあるぞ」と、この地に目をつけました。

カフェの名前は、サラトガ+カリフォルニア・・で、サラフォルニア!

 

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いわゆるアメリカのダイナーのメニューです。

ストロベリーとバナナがたっぷりで、甘~いパンケーキ。


09111406.jpg野菜とチーズのペンネはオリーブオイルにニンニクが利いていて、驚くほどあっさり味。

地元のスパークリングウォーターがとても美味でした。

 

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ナパのオックスボウ・パブリックマーケットは、10月30日付けの「GINZA通信」でも取り上げましたが、ここは歩いているだけでも楽しいです。


オーガニックな地元野菜に、


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オリーブオイルの専門店ではテイスティングもできます。

 


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スパイス屋さん

 

09111410.jpgかわいいカップケーキの専門店


09111411.jpgチーズも地元産が中心で


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地ビールも充実


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もちろん、ワインコーナーも


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ほかに、古道具屋さんもありました。


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ここでご紹介するのは、テイラーズのバーガー。

ナパ発祥ですが、サンフランシスコにも進出しているバーガー専門店。

 

 

09111416.jpg7-10ドルもする高級ハンバーガーは、肉汁ジュワッでブルーチーズがとろり。セレブたちにも大人気だとか。
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私のおすすめは、マグロをさっと炙って、ハーブ味のコールスローサラダとともにはさみ、ジンジャー・ワサビマヨネーズを添えた「アヒ・バーガー」(左)。

東洋的な味わいが卵たっぷりトーストされたバンズとよく合うのです。

特産のスイートポテトを使ったフレンチフライがほくほくして、表面にアメなしの大学イモみたいでした。

 

 

ソノマのケンウッドにある小さなレストラン「Doce Lunas(ドセ・ルナス)」では、素敵な家庭料理に出合いました。

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スペイン系のアレックス氏と日系3世のジャッキーさん、仲良しのプロイ夫妻が営むお店です。

 

09111419.jpg 09111420.jpg有名ホテル勤務時代に出会った2人は、料理の武者修行で世界中を放浪しました。

なぜか世界中のチリソースのコレクションがずらり。


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最初は、蒸篭に載せた蓮華でフルーツのサービス。

 

09111422.jpgスパイシーシュリンプに小さな俵型のおにぎりライスが添えられた一皿や

 

09111423.jpgハチミツの甘みがやさしいポークチョップ

 

09111424.jpgは、ジャッキーさんのお母さんのレシピ。店でも一番人気のメニューだそうです。

ちなみに、店の名前は、アレックス氏がおばあちゃまに、「ハイウェイ12号線の月の谷のそばに店舗用の土地を購入した」と報告したところ、おばあちゃまが「12個のお月様(ドセ・ルナス)を買った」と勘違いしたところから付けたそうな。

「僕の下手なスペイン語のせいで、素敵な名前になった。グランマ、ありがとう!」と、アレックス氏はにこやかに説明してくれました。

 

 

最後は、サンフランシスコ・フェリービルディングにある「ホグアイランド」のオイスター。


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サンフランシスコの北西80キロにあるトマレス・ベイのオイスターを中心に、東海岸のロングアイランドやワシントン州のものなどが揃っていました。


6種類を選んで盛り合わせに。

 

09111427.jpgトマレス・ベイの「スイートウォーター」はミルキーでリッチな味わい。

「クマモト」は、小ぶりだけれど繊細で複雑な味わい。


たっぷりグリーンサラダとクラムチャウダーもいただきました。


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オイスターに合わせたのは、モントレー産のスパークリングワイン、Me Intyre L'homme qui ris Brut。

酸味すっきりの爽やかな味わいでした。

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2009.11.13

伝統を残しながら進化し続ける大人の街

編集者たちの見た“GINZA”の魅力

  • 「編集者たちの見たGINZA」では、熱い議論が

 本屋の店頭に並ぶ新刊雑誌を手に取ると、毎月のようにどこかで「銀座特集」が組まれている。老舗ののれんを守る人々、新しい顔になりそうな店、ちょっと頑張っておしゃれして出掛けたいレストラン……。

 時代のトレンドを常に一歩先んじてウォッチしている雑誌の作り手は、東京・銀座の「いま」をどうとらえているのだろうか。何に興味を感じているのだろうか。先日、「銀座街づくり会議」などの主催で開かれたパネルディスカッション「編集者たちの見たGINZA」に参加して、私なりに銀座の魅力を再認識した。

 登壇したのは、「家庭画報」(世界文化社)副編集長・小松庸子さん、「Grazia(グラツィア)」(講談社)編集長・温井明子さん、「STORY(ストーリー)」(光文社)編集長・山本由樹さん、「Hanako(ハナコ)」(マガジンハウス)編集長・北脇朝子さん、「BRUTUS(ブルータス)」(マガジンハウス)編集長・西田善太さんの5人。「東京画廊」代表の山本豊津さんが、銀座育ちかつ銀座で商いをする代表として司会進行を務めた。

伝統と革新のバランスを保つ

  • 伝統と革新のバランスを保つ、銀座並木通りのサンモトヤマ

 ディスカッションを聞いて、銀座を分析する4つのポイントが印象に残った。

 1つ目は、伝統と革新のバランスだ。

 2000年から11月号別冊で、毎年銀座を特集している「家庭画報」の小松さんは、「銀座は、際限なく思う存分におしゃれができる街。街自体が雰囲気をもっていて洋服も着映えする」と街のたたずまいを語る。

  • 2000年から11月号別冊で銀座を特集する「家庭画報」

 一方で、こんな問いかけもした。昔から銀座は、目新しい舶来ものを紹介するショーウインドウ的な役割を果たしてきた。時代を築いてきた自負に寄りかかり、その栄光の歴史にしがみついて守りの姿勢に入っていないか。今までの成功例の焼き直しにばかり逃げていないだろうか。

 「伝統を大切にする職人ほど最先端を意識して仕事をしないと、リーダーではいられない。革新的であることを恐れずに、挑戦・改革の気概を常に持ち合わせていることが大切。50年の歴史をもつ『家庭画報』の姿と重ね合わせて考えました」

 新しいものを取り入れながらも、銀座という街のフィルターを通して、伝統と革新のバランスを保つ――。その好例として、小松さんは、サンモトヤマや資生堂、老舗テーラーの壱番館などの名前を挙げた。

新世代がつくる新しい銀座

  • 「新30代」御用達のフレンチレストラン「ロオジェ」

 2つ目のポイントは、「新日本人」がクルージングする街という視点である。

 「カッコいい大人の女性(になりたい人)たち」がターゲットの「Grazia」。温井さんは、「この10年間で、特に都市部の30代の女性の変貌はすさまじい。35歳は女の定年ではなく、そこからが本物という感じ。新しい日本人が誕生したと思った方がいいくらいの激変」と強調した。

 いまや一度は就職して社会人の経験をもつ女性がほとんどだから、「子育てで一時家庭に引きこもっていると、自分だけ遅れてしまうというあせりもあるようだ。だから、情報を収集するのに骨を惜しまないし、行動も早いんです」とみる。

 バブル時代を知らない「新30代」は、年を重ねたからラグジュアリーブランドに向かうのではなく、「私らしさ」「カジュアル」「軽やかさ」に魅かれる。おめかしして高級フランス料理店に行くけれど、安い韓国ランチも知っている。そうした女性たちの行動に合わせて銀座特集も進化しているという。

 一方で、伝統の老舗の技については、外国人が日本文化に興味を抱くのと同様な見方をしており、「職人芸」「手仕事」「本物」に強く魅かれる。

パートナーを今より3割素敵に見せる街

  • 銀座の「いま」は変化も激しい

 3つ目のポイントは、男の見方、女の視点で見た街のとらえ方の違いだろう。

 「第二の成人式」がテーマで、「Grazia」よりも少し上の年齢を対象にした「STORY」。山本さんは、「銀座で夜7時に待ち合わせをする」という場面を設定し、読者カップルを使って特集したファッション企画の反響をこう語る。

 妻たちからは「外で見る夫は、スーツをぱりっと着こなして見違えてしまった」、夫たちからは「待っている妻の姿に惚れ直した」との声が多くあがった。「銀座は人を今より3割くらい素敵に見せる街。夫婦仲を見つめ直すいいきっかけを作ってくれる街かもしれませんね」

 だが、「銀座は、男性の社用という根強いイメージを崩して、女性がもっと遊び尽くせる街になればいい」(温井さん)との意見には、「これ以上女性を強くしてどうするの?って言いたい。読者カップルを見ると、親子と間違えるほど女性は若く輝き、男性は苦しみを一心に背負っているかのように老け込んでいる」と会場の笑いを誘った。

 「女性は放っておいても大丈夫。男性はお客になれば、その店を裏切らない習性がある。男をもっとつかまえて、男が輝ける街にしてほしいなあ」とも。

変わらない街のよさを残す

  • 路地の緑の植え込みに、ほっと一息つくことが少なくない

 4つ目は、原点に戻るようだが、変わらない銀座のよさを残すこと。私自身、銀座の古い露地裏を歩くだけで、どこかほっとすることが少なくない。

 「Hanako」の北脇さんは、関西で仕事をしていたこともあり、銀座初心者の目線で雑誌をリニューアルした。「先入観を捨てて、街を皮膚感覚で素直に感じることから始めた。この店いいなと思ったら扉を一枚だけ開けて情報を切り取る、直球勝負の雑誌作りです」

  • 街を皮膚感覚でとらえるという「Hanako」

 そうした中から気づいたのが、「変わらない銀座の香り」だった。歴史や伝統があるところほど入るには難易度が高い。でも、本質は崩さず、格式あるところは残しながらも、「今を生きる普通の人たちが手の届く質感」を大切にできるのが銀座の街ではないかと指摘する。

 「BRUTUS」の西田さんには、幼いころ、「アンガス牧場」(旧スエヒロビル地下)の巨大ステーキに小躍りし、「風月堂」でお茶する大人の背中にあこがれたといった、銀座の記憶がある。「両親に連れられて行った子どものころの原体験が、自分にとって行きつけの街になるきっかけにもなった」と話す。

 銀座にはいろいろな引き出しがある。私自身、大人の作法にそれとなく接して背筋がびんと伸びた淡い思い出があるのがこの街だ。10~20代のころの遊び場に尖った流行の街を選んでも、なぜか戻って来たくなるのが不思議だ。

 50代になったいま、私は心底もっと銀座を楽しみたいと思い出した。

 (プランタン銀座取締役・永峰好美)

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2009.11.12

美味しいカリフォルニア その3~メンドシーノの街中で

北カリフォルニア・ワインカントリーの最北端にあるメンドシーノは、ニューイングランド地方からの移民によって建設された街です。


「その2」では、「マッカラム・ハウス・イン」のレストランをご紹介しましたが、

街のメインストリートには、美味しいスポットがいくつかあります。

このメインストリート、レトロな雰囲気を残しているためか、ハリウッド映画のロケ地としてよく利用されているそうです。古くは、「エデンの東」にも登場、ジェームズ・ディーンの宿泊したホテルの部屋は今も残されています。


 

「パターソンズ」は、アイリッシュ・パブ。

 

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80種類以上の地ビールが並びます。 

 

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ここのランチは地元でも美味しいと評判でした。
店のスタッフのおすすめで、Scrimshowというビールと、クラムチャウダー、

 

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それに好物のBLTサンドを食べました。

カリカリベーコンの脂がほどよく口に広がります。

 

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街には、中国移民が作ったお寺やら、


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ローズピンクの教会風建物は、オーガニック専門のマーケット。

 

 

09111206.jpg二階にはスパイスやハーブ、ティーなどが充実。買い物客は、スタッフのアドバイスを受けながら、自分で好みのブレンドを調合していました。
 

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ジェリー夫妻が営むオーガニック・コーヒー専門店は、街の人々の憩いの場。


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ニューマイヤー夫妻が経営する「メンドシーノ・マーケット」は、地産地消にこだわったサンドイッチが20種類近くも揃う人気店。

 

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ダンジョネスクラブミートと炙りサーモン、どちらもフレッシュな大地の恵みに感謝です。


 

09111212.jpgワインも、もちろんオーガニック。


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そして、KOMBUCHA BOTANICAというドリンクを発見。

 

09111214.jpg昆布茶ではありません。

 

アダム&エイシャー・グッドマン夫妻が造っているヘルシードリンク。カリフォルニアのオーガニック大好きピープルの間では、結構有名みだいです。

 

ラベルにデザインされているのは曼荼羅で、エネルギー、女性性、美、ミステリーなど様々な意味が込められているそう。

哲学的な飲み物?? 

漢方薬系ハーブにオレンジやザクロなどで自然な果実風味もつけてあります。

でも、私はちょっと苦手でしたけど。

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2009.11.09

「ジャイアンツSALE」のワインの目玉は?

ジャイアンツの日本シリーズ制覇を祝して、いま、プランタン銀座ではお買い得品をいっぱい取りそろえた「ジャイアンツSALE」を11月15日(日)まで開催中なんです。


もちろん、ワイン売場にも、「えっ!」と驚くような目玉商品がごろごろ・・・。
 

原監督の背番号にちなんで、なんと881円(税込)でご提供しているのが、
2008フィガロ・ルージュ(ムーラン・ド・ガサック)
 

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カジュアルなテーブルワインの生産で有名な南仏・ラングドック地方ですが、この作り手、ムーラン・ド・ガサックはちょっとスペシャルです。

 

パリで手袋職人をしていた現オーナーのエメ・ギベール氏が1970年、ラングドック・モンペリエの街から内陸に20キロほど入った場所に畑を購入。そこはガサック渓谷の影響で寒暖差が激しく、酸と糖分のバランスに優れたブドウを生産できるところだったのです。
そして、ボルドー大学の地質学博士、アンリ・アジャヴェール氏からその土壌の素晴らしさに「奇跡の大発見」とのお墨付きをもらい、さらに、当時シャトー・マルゴーの再建に尽くした同大学のエミール・ペイノー教授の指導を仰いで造った「マ・ド・ドゥーマ・ガサック」が、スーパー・テーブルワインとして知られるようになりました。

英仏のジャーナリストがシャトー・ラフィットやシャトー・ラトゥールと比較して好評だったため、「南仏のラトゥール」という人も?

 

今回ご紹介しているのは、同じ作り手のデイリーワインです。
品種はグルナッシュとカリニャン。エチケットはヴィンテージによって変わって、おしゃれです。
抜栓してすぐは小梅のような酸がかなり感じられましたが、しばらくすると、ブルーベリーのような果実味に加えてスパイスも感じられ、柔らかな余韻を残してくれます。
これだったら、毎日でも気軽に飲めますね。

この味わいで千円切るのだったら、私は「買い」だと思いました。

 

 

09110802.jpg白のお買い得品としては、

ワイン売場のKさんイチオシのイタリア・カンパーニャ州のDOCをご紹介!

2008コーダ・ディ・ヴォルペ(ヴァディアペルティ)  1575円(税込)

 

古くからあるカンパーニャ州(ナポリがある南イタリア)土着のブドウ品種、コーダ・ディ・ヴォルペ。

「きつねのしっぽ」という意味で、ブドウの房の形が弓なりになっているところから付けられた名前とか。

第一印象は白い花のようなさわやかさを感じますが、余韻に感受した洋ナシなど豊かな味わいが楽しめました。

 

 

 

さて、プランタン銀座名物の「B級ワインセール」も掘り出し物がたくさん。

 

09110803.jpgボトルの傷やラベル不良というだけで、格安になったワインたち。

お買い得品は、どうぞご自分で"宝探し"してみてください。

 

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2009.11.07

美味しいカリフォルニア その2~メンドシーノ「マッカラム・ハウス・イン」

北カリフォルニアのワインカントリー最北端に位置するメンドシーノ郡。ニューイングランド地方の移民によって建設されたこの街は、古きよき時代のアメリカの空気が残っています。

 

メンドシーノの話題は、11月6日付けのヨミウリオンライン「GINZA通信」でも、詳しく取り上げていますので、合わせて読んでみてくださいね。

中心街にほど近い、ヴィクトリア調の建物「マッカラム・ハウス・イン」には、北カリフォルニアのオーガニックな地消地産にこだわった話題のレストランがあります。

 

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エグゼクティブ・シェフのアラン・カンター氏は、カリフォルニアのセレブリティにも大人気。

もちろんワインは、メンドシーノをはじめ、ナパやソノマ産。

レストランの内装は白が基調で、肩の凝らない雰囲気です。

デザートを入れて5品目が並ぶ「テイスティング・メニュー」は、それぞれにセレクトされたワインが付いて、135ドル。 

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最初のお皿は、セサミシードをまぶしてさっとあぶった、レアなイエローテール。
アメリカではおなじみの魚です。ハマチと思わされているようですが、高級魚のヒラマサです。日本でいただくよりも脂ののりが少なめな感じはしますけど。sushi riceに海草サラダ、ポン酢ソースとワサビ・アイオリ(ニンニクが利いたアイオリーソースにワサビでアクセント)を添えて。日本の食材を意識してますねえ。

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0911060301.jpg アペリティフから飲み始めていたのは、

NVロデレール・エスエート ブリュット(アンダーソン・ヴァレー)

「フレンチランドリー」の項でもご紹介しましたが、フランスのルイ・ロデレール社がカリフォルニアで初めて造ったスパークリングワインです。

自社畑のブドウを使用。ピノノワール30%、シャルドネ70%。

3年ほどオーク樽で熟成されたリザーヴワインをブレンド。

明るいゴールドで、洋ナシのようなフレッシュさを残しながらも、ナッツやスパイスの香りに包まれてエレガント

 

2皿目は、コマンチェ・クリーク産昔ながらのトマトを使ったBLT。

ホームメイドのモツァレラチーズ、リンゴの木でスモークしたベーコン、バターレタスの大好きな黄金トリプル・コンビネーション。オリーブ油とバルサミコでアクセント。

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0911060401.jpg ワインは、
2006メアリー・エルク シャルドネ(アンダーソン・ヴァレー)

少量生産で一般的に入手が難しいエルク・ファミリーのシャルドネです。

ピノノワールが有名で、東海岸にもファンが多いそう。

 

オーク樽を使っていないので、果実のフレッシュさとしゃきっとした酸味が伝わってきます。

 

 

 

3皿目は、リバティ・ファームの鴨のコンフィ。
ウォルナッツ入りの焼いたパン・プディングを添えたアメリカ的な料理。

メンドシーノ産ブラックベリーを赤ワイン(シラー)で煮たソースがベストマッチでした。

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そうなるとワインは、
2007スパイスラック「パンチダウン」シラー (ソノマ・コースト)

深いルビー色で、カシスや黒コショウ、ローズマリーの香りが広がります。タンニンも柔らかで、エレガントなスタイルでした。

 

 

 

 

 

 

マンゴのソルベでお口直しをして、

4皿目はメインディッシュで、ニーマン・ランチのフィレ・ミニヨン・グリル。

ホースラディッシュを加えたフレッシュクリーム入りのマッシュポテト、チェリーとブラック2種類のペッパー入りのバター、赤ワイン(カベルネ)を加えたデミグラソースで。
 

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0911060601.jpg ワインは、
2003シャトー・モンテリーナ エステート・カベルネソーヴィニヨン (ナパ・ヴァレー)

カリフォルニアワインがボルドーを差し置いて高い評価を独占、ワイン史に残る事件として刻まれている1976年の米仏ブラインド対決「パリ・テイスティング」。その対決でも主役を演じたのが、このシャトーです。この時は、1973年のシャルドネがトップに。

設立は1882年とふるいのですが、禁酒法時代に長らく放置され、蘇ったのは、弁護士のジェームズ・パレット氏が買い取った1970年代以降です。

エステート・カベルネは、同社の最高峰カベルネ。果実味もリッチでボリューム感たっぷり。あと10年は熟成させたい、印象でした。

 

さて、デザート。チョコレート尽くしです。
ビタースイートチョコのbudino(イタリアンプディング)には、カラメル味のピーカンナーツ、そしてホイップクリームも。チョコレートプラリネのアイスクリーム、それに、トリュフ。

 

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0911060701.png ワインは、
2006ブルトカオ ポート(メンドシーノ)
ジンファンデルを使ったポートワイン。熟したプラム、そしてチョコレートのカカオ風味がいきいき。

 

 

 

 

 

 

 

このレストラン、朝食もとても美味しかったです。

エッグベネディクトの一皿。テラスからは太平洋を見渡せるし、窓から差し込む陽光もほどよくあったか。

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庭の向こうには離れもあります。
 

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食後の散歩をしながら、いつのまにか花の写真をたくさん撮っていました。

カリフォルニアを訪ねる機会があれば、ぜひメンドシーノまで足を伸ばしてみることをおすすめします。

のんびりゆったり、時の流れに身を任せるとはこういうことか・・・って、再発見がありますよ。

 

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2009.11.06

ゆったりした時間が流れる街でワインを楽しむ

ナヴァロで味わうパワフルなピノ

  • ワインカントリーの最北端にあるメンドシーノ郡の「ナヴァロ・ヴィンヤード」
  • カジュアルなテイスティングルームは、地元の人々にも人気がある

 有楽町の映画館で、カリフォルニアのワインカントリーが舞台の「サイドウェイズ」が公開されたので観なおすことにした。映画も2度目になると、主人公たちが語る台詞の細部が気になるものだ。

 劇中、ワインをめぐってのこんなやりとりが頭に残った。

 「どうして、カベルネが好きなの?」

 「カベルネはね、どんな土地でもカベルネの味を保っている。カベルネ自身の味を主張しているの」

 「ワインはカベルネが好きだけれど、私自身はテロワール(土壌)に影響されやすいピノノワールだったのかもしれない・・・」

 カベルネ(ソーヴィニヨン)も、ピノノワールも、赤ワイン用ブドウの品種だ。一般的に、果皮の薄いピノノワールは、栽培面でも醸造面でも気難しく、複雑で緻密、細心の注意を払う必要があるといわれ、それに比べてカベルネは適応性が高く、耐久性にも優れている。

 温暖な気候のカリフォルニアでは、深い紫色でタンニン分に富むカベルネが最もポピュラーなのだが、最近はより複雑な味わいのピノの人気も上がっている。

 ワインカントリーの最北端に位置するメンドシーノ郡は、冷涼な気候を好むピノの産地として知られる。

  • 「ナヴァロ」はピノでも定評がある

 ナヴァロ川に沿って広がるアンダーソン・ヴァレーのブドウ畑は、太平洋から運ばれる涼風と霧によって、ピノの栽培に最適な条件が生み出されているのだ。

 1970年代に、ベネット夫妻によって創設された「ナヴァロ・ヴィンヤード」は、アンダーソン・ヴァレーのパイオニア的存在。「ワイナリー・オブ・ジ・イヤー」を獲得し、国際的な評価も上がっているが、消費者への直接販売にこだわり、少量生産を貫いている。

 カジュアルな雰囲気のテイスティングルームで、2006年産のピノを味わった。ルビー色の若々しい色調、果実味豊かで、スパイスやハーブの香りも。厚みを感じさせるとてもパワフルな印象だった。

街のシンボル木造のウォータータワー

 ワイナリーを後に、ハイウェイ128号を北上、レッドウッドの林の中をくぐり抜けて、メンドシーノの街に出た。

 海岸に突き出た岬にあるこの街は、人口1000人余り。1850年代、東海岸のニューイングランド地方からの移民によって建設された歴史がある。

 20世紀初めまでは、豊富なレッドウッドの原生林を切り出して、サンフランシスコなどの都市部へ出荷する材木の積み出し港として栄えたが、林業の衰退とともに街は活気を失っていく。だが、急速な近代化の波に乗り遅れたお陰か、建設当初のヴィクトリア調の家並みが保存され、時間が止まったかのような古き良き時代の空気に浸れる。

  • レッドウッドの林を抜けると、海岸線に。メンドシーノの街は近い。
  • (上)ヴィクトリア調の雰囲気が保存されている「マッカラム・ハウス・イン」、(下)あちこちに点在する給水塔はメンドシーノの街のシンボル

 その典型的な建物が、街の中心部にある宿泊施設「マッカラム・ハウス・イン」。1882年、街を建設したウィリアム・ケリー氏が娘の結婚祝いに作ったのが始まり。2階のテラスからは太平洋が見渡せ、木の温もりがやさしいアンティーク家具や石造りの暖炉などに囲まれていると、ゆったりとした時の流れにしばし身を任せたくなる。

 地元原産のレッドウッドで作られたウォータータワー(給水塔)はこの町のシンボルともいえる。今でも街の人々は、地下水を汲み上げ、タワーに貯めて使っているという。そのせいか、水がとても美味しい。

アーティストコロニーで“東洋”と出会う

  • (左)「東洋との出会い」をテーマにしたギャラリーも、(右)アーティストコロニーのユニークなオブジェ

 周辺を歩いてみると、昔ながらの外観を残したギャラリーやアートセンターが点在している。いつの間にか、ユニークな動植物のオブジェが置かれた庭に迷い込んだ。アーティストが暮らすコロニーだった。80年代後半から増えているという。

 日本的な風景をポップな色彩で描いていたり、墨絵や浮世絵などに影響された作風であったり、小さな街での「東洋との出会い」を探すのは楽しい。アートが縁で、長野県美麻村と姉妹都市関係を結び、日本との交流も盛んなようだ。

 もう一つ、街で目についたのが、バックパッカーやヒッピーファッションに身を包んだ人たち。聞けば、70年代には、ウッドストックの影響を受けた野外ライブが盛んに行われていたという。ピースマークを掲げた占いショップやエコロジーを意識したリサイクルショップ、農薬などを使わないオーガニック食品を扱う店など、ヒッピー的なライフスタイルを支える場所が少なくない。

  • (上)バックパッカーたちが憩うカフェの周辺、(下)占いショップの壁には、ピースマーク
  • ヒッピー的ライフスタイルを支える「メンドシーノ・マーケット」
  • (上)ニューマイヤー夫妻と娘さん、(下)ワインもほとんどが有機栽培の畑育ち

 ニューマイヤー夫妻が経営する「メンドシーノ・マーケット」もその一つ。たとえば、ポテトチップスに使う油はオリーブ油のみ、地元産ワインも有機栽培の畑育ち、肉も魚も野菜も、生産者の顔がわかる安全にこだわったものしか並べない。「自然や芸術を愛するヒッピー的生き方は人々を健康にする」が夫妻の持論である。

 おとな世代よ、時にヒッピー的なスタイルをまねて、自然と静かに向き合ってみるのも悪くないのではないか。

 「ワインにも人生にも、正解はないよ。それぞれの選択に、それぞれの味わいがある」――。「サイドウェイズ」の台詞が、頭の中でこだました。

 (プランタン銀座取締役・永峰好美)

 ◆マッカラム・ハウス・イン(英語)

 http://www.maccallumhouse.com/

 ◆カリフォルニア州観光局の日本語サイト

 http://www.visitcalifornia.jp/

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永峰好美のワインのある生活

<Profile> 永峰 好美 日本ソムリエ協会認定シニアワインエキスパート。プランタン銀座常務取締役を経て、読売新聞編集委員。『ソムリエ』誌で、「ワインビジネスを支える淑女たち」好評連載中。近著に『スペインワイン』(早川書房)