2009.09.22

京都先斗町のフランス会席

来月10月には、ミシュランガイドの京都・大阪版が初めて発売されるそうです。

どんなお店が星をとるのか、ちょっと楽しみですね。

またちょっとした京都ブームが起こるのでしょうか??

 

ところで、関西方面に用事があったので、時間を見つけて、井上晃男さんがオーナーシェフを務める「先斗町 禊川」に出掛けました。


鴨川のほとり、京都・三条大橋を渡った先の「先斗町歌舞練場」からほど近く。

 

09092201.jpgこのあたり、昭和初めのレトロな建物から三味線や長唄の旋律が流れ、舞妓さんのお稽古姿が目に浮かびます。


先斗町通りにある「先斗町 禊川」は、築150年以上という元お茶屋さんの純日本的な佇まいの中で、「お箸でいただくフランス会席」を売り物にしています。

 

09092202.jpg開店30年近くになるそう。京焼など和の器にも注目です。


井上さんとのお付き合いは、今年のバレンタインフェアで、オリジナルブランドのチョコレート「メゾン・ドゥ・イッテー」をプランタン銀座に出品していただいたことで、ご縁ができたんです。

この時のバレンタインの様子に関しては、「GINZA通信」でも触れていますので、チェックしてみてください。


今回、井上さんはブルゴーニュにワインの買い付けに行かれていて、残念ながらお会いすることができませんでしたが、お店のスタッフの皆さんに、とても楽しくフレンドリーに応対していただきました。
長年サービスのプロとして活躍している中野信人さんと、英語のほかイタリア語やフランス語も堪能で、時に全体の半数を占める外国人客にも丁寧な説明が好評の田中治子さんです。


さて、お料理ですが・・・

 

09092203.jpgまず、5種類が並ぶ先附。

アンチョビの入ったパイはさっくさく、

器に入ったプルロット(オイスターマッシュルーム)のソテーに初秋の風を感じます。あわせて、シャンパーニュをグラスでいただきました。

 

 

 

 

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賀茂ナスのムースには、赤ピーマンのソースを添えて。9月半ばといっても、気温30度を超える暑い日でした。ガラスの器が涼しさを運びます。


酸味のあるリンゴのソースでいただくフォアグラのソテー、絶品でした。マディラソースとかバルサミコソースとかと違って、さっぱりした印象。甘みと酸味のバランスがよいのでしょうね。


09092206.jpg白ワインをいただくことにしました。

2006ムルソー レ・グラン・シャロン(ドメーヌ・ギィ・ボカール)


ブルゴーニュ・ムルソー地区では、ムルソーの実力派といわれる家族経営の生産者です。

畑は、コシュ=デュリのいとこで最近めきめき人気が上がっているアラン・コシュ=ビズアールの向かい側。

 

外観は濃い黄金色で、とろりと粘性も強めです。

パイナップルの甘めの香り、コクがあって、ふんわりまろやか、余韻も長い。こういうムルソーは、和素材を生かしたフランス料理をよりおいしくしてくれます!

 

続いて、

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アワビとホタテ、ジロール茸のソテーに、白ワインとレモンジュースを合わせた「ランデブーソース」。ギンナンのえぐみが日本の秋ですね。

お吸い物は、岩手県産のマツタケを使ったコンソメスープ。マツタケの香りに酔いが進みます。


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手長エビのソース・シャンパーニュには、黒トリュフがアクセントに。シャンパーニュ好きの私にとっては、これまた絶品!◎でした。
アマダイは、ケッパーやイタリアンパセリで香ばしく仕上げたグルノーブル・スタイル。


09092211.jpgお口直しのソルベは、宮崎県日向産のヘベス。

「平兵衛酢」と書き、夏の酢ミカンと呼ばれているそうな。

 

スダチより玉が大きく、カボスより香りが優しく、ユズより薄皮でたっぷり果汁がとれるのだとか。

 

 

 

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最後の肉料理は、山口県産の黒毛和牛で特製デミグラソースがやさしい味でした。

09092212.jpgあわせて、軽くピノノワールをいただきました。

2006ACブルゴーニュ(ドメーヌ・フランソワ・ブッフェ)

この生産者も、家族経営で、すべて手作業でつくっていることで定評があります。

フィルターをかけないので、果実味がとても豊か。まろやかな旨みもありました。

 

 

 

 


09092215.jpg仕上げに、カツオ出汁のきいたおにぎりのお椀。

香の物と一緒にいただいて、日本に生まれてよかった!と実感です。

 

 

 

 

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デザートは、黒ゴマのアイスクリームにイチジクのコンポート添え。

そして、お得意のチョコレート。どれもとっても美味しいんです。

カモミールティーでいただきました。


丸の内の東京會舘で、伝統的なフレンチクラシックの基本を体得した井上さんの料理は、素材そのものの美味しさを生かすというだけでなく、素材ごとに工夫された様々なソースの登場に、ドキドキします。

デミグラとかシャンパーニュとか、ソースの存在で素材の美味しさが倍増した印象でした。


当日実にタイミングよく料理を仕上げてくれたのが、井上シェフの薫陶を受けた万木(ゆるぎ)裕幸シェフです。


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京都・先斗町なんていうと、ちょっと構えてしまいますが、

ここは一見さんでも大丈夫。

お時間があれば、ぜひ。

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永峰好美のワインのある生活

<Profile> 永峰 好美 日本ソムリエ協会認定シニアワインエキスパート。プランタン銀座常務取締役を経て、読売新聞編集委員。『ソムリエ』誌で、「ワインビジネスを支える淑女たち」好評連載中。近著に『スペインワイン』(早川書房)