2009.08.14

映画「未来の食卓」から

皆さま、お盆休みはいかが過ごされていらっしゃいますでしょうか?

しばらくブログ更新をご無沙汰しておりました。スイマセン。

 

私は、10日間ほど、南米の旅に出ておりました。

現地のアルゼンチンタンゴ観賞と、世界遺産のマチュピチュやクスコ、ナスカをこの目で見て、また、南米のワインをしっかり飲もう! という欲張りな旅行です。


実は、イタリア旅行記も未完のまま旅立ちまして・・・。

あと4回ほど書きたいこと、書きたい場所を残しております。全10回連載の予定です。


とはいえ、南米に行って、ラテン系の人々の文化や伝統、歴史など、共通性と相違性といいますか、また私なりに新たなる発見もしてきましたので、順々に書いていこうと思っております。

 

とその前に、どうしてもご紹介したい新作の映画とワインがあります!!


プランタン銀座のWEBでも「おすすめシネマ」(シネスイッチ銀座などで8月8日より上映中)として掲載しました「未来の食卓」です。

 


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舞台は、ゴッホがひまわりを描いたフランス南部アルルの近く、ラングドック地方ガール県の山脈の麓にあるバルジャック村。


ラングドック地方といえば、1年を通して温暖で、古くから優れたワイン産地として知られています。

さんさんと降り注ぐ明るい太陽の光と地中海から吹く柔らかな風によって育まれるブドウからは、「太陽と風のワイン」とも呼ばれるカジュアルなテーブルワインが産出されています。


この小さな農村で、農薬や化学肥料による食物汚染から村人たちの、そして子どもたちの未来を守るために、学校給食と高齢者の宅配給食をすべてオーガニックにしようという試みが、エドゥワール・ショーレ村長の旗振りで始まりました。2006年からのことです。


監督のジャン=ポール・ジョーさんは、2004年、自らが結腸がんを患ったことを機に、食を通して生物、命を見つめなおそうと考え、製作を思いついたといいます。

そして、バルジャック村の取り組みを1年間追いつつ、子どもから教師、主婦、農民、お年寄りまで様々な人々の声を拾い、また研究者や医師、ジャーナリストらのデータや情報で裏づけしながら、1本のドキュメンタリー映画にまとめたのです。

 


09081402.jpg「農薬を使っていたころは、自分では絶対に食べなかったものもある。水田に投入した大量の除草剤が川に流れ出て、ある時私は環境ホルモンに侵された。頭痛や吐き気、死ぬかと思ったよ」--農民たちの率直な振り返りが、胸を打ちます。

 

詳細は、映画「未来の食卓」の公式サイトでどうぞ。
 

ところで、この映画に登場するオーガニックワインの生産者、ルイ・ジュリアン氏のワインを、銀座屋酒店で入手して、飲んでみました。
ヴォルテックスというインポーターさんが惚れ込んで、数年前から日本にも輸入しているそうです。

ルイさんの家系は、この土地で400年以上に渡って農場を営んできた歴史をもちます。


ルイさん自身、ブドウの品種改良の研究者でもあり、アリカントなどの地元品種にグルナッシュを接木したり、カベルネを掛け合わせたりして、独自の改良に挑んでいます。

最近は、昨今の地球温暖化の気候変動に適応できるような品種を開発しているのだとか。


私が飲んだのは、ヴァン・ド・ターブルのロゼです。店頭価格は税込1,418円。


09081403.jpg品種はグルナッシュ、シラー、サンソー、アラモン。

果実味を凝縮する方式で造られているので、ルビーのように美しい色です。

カシスやプラムの香りにやさしく包まれます。

彼の醸造についての考え方は、あくまでも自然の力を尊重するものです。


除草剤も化学肥料も殺虫剤も、人工酵母も一切使わない、天然酵母は保存料の亜硫酸に敏感だから、瓶詰めのときにも添加しないという徹底ぶりです。もちろん、ろ過もしていません。

 

その代わり、酸化を防ぐ目的で炭酸ガスを残して熟成させるので、抜栓すると少々発泡を感じます。


ブドウジュースがそのままワインに変化した果実味豊かな味わい。

「自然の恵みよ、天の贈り物よ、ありがとう!」と感謝の気持ちでいっぱい。

なんだか心があったかくなるワインでした。

リサイクル瓶を使用し、ラベルは再生紙、キャップはプラスチックでした。

 

さて、日本でも、最近は「食育」という言葉が広がってきました。


フランスでは、1970年代に、国際ワインアカデミー名誉教授で醸造学者のジャック・ピュイゼ氏の提唱で、本物の味や生産地を知る「味覚の教育」といわれる食の授業が小学校でいち早く始まっています。

三ツ星レストランのシェフたちもボランティアで授業に加わり、食環境を支援する活動は年々活発になっていると聞きます。

 

 

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映画の最後の方で、村人がこんなことを語っていました。


「1年前は自然食に全然興味がなかったけれど、協力してやろうという気持ちではじめた。子どもたちは味を覚え始めている。すべて自然食にするのは難しいが、まずは気づくことだね」と。


私たちの国日本は食料自給率約40%。多くの輸入食料に依存して暮らしているのが現状です。


映画を見ながら、そして、オーガニックなワインを飲みながら、いろいろ考えることがありました。 

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永峰好美のワインのある生活

<Profile> 永峰 好美 日本ソムリエ協会認定シニアワインエキスパート。プランタン銀座常務取締役を経て、読売新聞編集委員。『ソムリエ』誌で、「ワインビジネスを支える淑女たち」好評連載中。近著に『スペインワイン』(早川書房)