先日小欄でご紹介した映画「未来の食卓」の評判がすこぶるよいと聞きました。
決して派手ではないドキュメンタリー映画なのですが、命にかかわる内容なだけに、小さな子どものいるお母さん世代をはじめ幅広い年齢層に支持されているようです。
このブログを読んだkarmaさんは、新幹線で東京の映画館に駆けつけ、「もっともっと多くの人に観てほしい」と、素敵な感想をコメント欄に寄せてくださいました。
いわく、「今までオーガニックって流行であったり、それにこしたことはないけど位の感覚だったので、オーガニック野菜を暫く買っても虫がいたとかで長続きしてませんでしたが、消費者だけでなく生産者やそこに住む人々にとって必要なんだと再認識できました」・・・。
映画の舞台は南フランスでしたが、6月のイタリアの旅では、トリノにある「食の安全・安心」をテーマにした食のテーマパーク「Eataly(イータリー)」を訪ねました。
日本でも東京・代官山に初上陸して話題になった、あのお店の本家です。
7月31日までブログで連載していた「イタリア縦断の旅」の続編として、お読みください。
それでは、気を取り直して・・・
「縦断の旅」も終盤、旅の6日目です。
午前中はピエモンテ州アルバに近い、マローロ社のグラッパ工場を訪問(グラッパについては、また改めて紹介します)。
そのあと、州都トリノへ。
トリノは、チョコレートやパンナコッタなどで知られるグルメの街ですが、フィアットの企業城下町として発展したところです。
「世界最大の工場」といわれたリンゴット工場があり、2006年のトリノ・オリンピックを機に、ショッピングモールやコンサートホール、ホテルなどを含むヨーロッパで最大規模の複合施設へと生まれ変わったのでした。
イータリーがあるのは、この複合施設に隣接したところで、ヴェルモットを製造するカルパーノ社の工場跡地。
ヴェルモットは、カクテルのマティーニのベースとして知られていますよね。
18世紀に、アントニオ・カルパーノ氏が、白ワインをベースにwermut(ヴェルムート=独語でニガヨモギ)など数十種類のハーブやスパイスを配合して造ったお酒。
カルパーノ氏が造ったのは甘口で、フランスでは辛口が造られたので、甘口を「イタリアン」、辛口を「フレンチ」と呼んでいます。
イータリーの2階には、「カルパーノ」の博物館がありました。
さて、入口を入りましょう。
イータリーのコンセプトは、高品質な食品をサステイナブル(持続可能)な価格で提供すること。
その内容については、あのスローフード協会が監修しています。
スローフード協会は、ピエモンテ州の小さな村ブラで始まった消費者運動が設立のきっかけです。
ファストフードに象徴される食のグローバル化に疑問を投げかけた運動でした。
種の多様性の保護、小規模でも良質な食材の生産者の支援、食育や食選力の育成などを掲げています。
1階の物販ゾーンでは、スローフード協会が「プレジディオ」(保護すべきスローフード食材)に指定したものを含め、野菜、果物、お肉にお魚、チーズやオリーブ油、パスタ、ハムやサラミ、チョコレート、ジェラートなどが、マルシェ感覚でずらり。
気軽にスローフードが食べられるレストランカウンターも充実です。一つ星レストラン「GUIDO」監修のお惣菜もありました。
また、ワイン製造について学べるコーナーや食に関する数千冊の書物を閲覧できる「図書館」も。
有名シェフによる調理講習会を開くなど、まさに消費者参加型の「食育」が実践されています。
地下には、世界のワインとビールのコーナー。
量り売りで樽からワインが買えるサービスも。
お腹が空いたので、私たちのグループも、お店の一角でランチタイム。
パンもグリッシーニも
、
コーンとポテトなどヘルシーでイタリアンな前菜もチーズも、美味しい!
大好きなお肉のタルタルに興奮して、ピンボケ写真です。
ワインは、「ローサ・ヴィットリア」。サーモンピンクのきれいなロゼでした。
ハムにサラミ。パルマのランチがよみがえり、売場に直行!
半日ではとってもまわり切れない、楽しく、しかもお勉強になる空間でした。
さて、これから目指すはミラノです。