ワインジャーナリストの青木冨美子さんによる「映画でワイン・レッスン」という魅力的な講座が、プランタン銀座の「エコールプランタン」で開かれています。ちょっとお邪魔してみました。
今回のテーマは、「ローマの休日」でイタリアワインを学ぼう! です。
オードリー・ヘップバーン(アン王女役)の際立つ愛らしさ、グレゴリー・ペックの新聞記者役もカッコいい! 大好きな映画の一つです。
いただいたワインは、
1)2007 キアンティ・フィアスコ (チェッキ社)
2)2005 キアンティ・クラシコ・リゼルヴァ・ドゥカーレ (ルフィーノ社)
3)2007 ソフィア ブラン・ド・ブラン (フランシス・コッポラ)
ワインのお供は、もちろんチーズ!!
「ローマの休日」で、サンタンジェロの船上パーティーでの大混乱から逃れたアン王女が、彼のアパートで彼のガウンを羽織って口にするのが、「キアンティ・フィアスコ」です。
気取ったワイングラスなど使わず、日常使いのタンブラーで、水を飲むようにカジュアルに飲んでいます。アイスクリームをなめながら街歩きを楽しんだように、王女には新鮮な体験だったに違いません。
フィアスコとは底が丸いフラスコ型ボトルのこと。藁で包まれたこのボトル、以前より見かけなくなったような気がします。藁苞(わらづと)を編む職人が減っているのが要因の一つのようです。
青木先生によれば、フィアスコ型ボトルに付いている紐は、農作業の間に、農夫がブドウ畑にある木の枝に引っ掛けておくのに使われたとか。生活の知恵、なんですね。
チェッキ社は、ルイジ・チェッキ氏が1893年に創設した、トスカーナ地方で最も古いワイナリーの一つ。息子たちが事業を引き継ぎ、かなりの設備投資をして広く世界市場に乗り出しています。
品種はサンジョヴェーゼを主体に、コロリーノ、カナイオーロ。果実味豊かで若飲みタイプのフレッシュな味わいです。
さて、教室では、興味深い体験をしました。2つのグラスに注がれた赤ワインの飲み比べをしたのですが・・・
1つ目のワイン、なんかヘン。色調に濁り、腐葉土の匂いばかりが印象に残り、酸が強く、飲んだ後も雑味があって。
そうです。やはり「ブショネ」でした。
なかなかできない体験です!
ブショネとは、フランス語のBouchon(コルク)が語源。バクテリアに汚染された状態のワインのことで、通常コルクの汚染が原因に挙げられます。コルクは自然界の植物が素材ですから菌が存在しており、その中に悪性のものがあれば、ボトル内で化学変化が起こってワインの質を変えてしまうのです。ちなみに、飲んでも特に害はないといわれています。
青木先生は、ブショネ・チェックの名人で、有名ソムリエさんを負かしたこともあるそうです。ブショネの印象を、「締め切ったコンクリートの部屋に入ったときのホコリっぽい感じ」と表現していました。
もちろん、2つ目のグラスには健全なキアンティが注がれていました。念のため。
2番目のワインは、同じキアンティでも、限定畑で厳選したブドウを使った「キアンティ・クラシコ」です。
「キアンティも、クラシコを選べば、まず失敗ありません」と、青木先生。
今回いただいたのは、「公爵のためのとっておきワイン」。1890年、時のアオスタ公爵がキアンティを訪問した際、ルフィーノ社のワインに感銘を受けて注文したことに由来する名前とか。
2年間の樽熟成を経ているので、チョコレートのような甘みやローズマリーなどの香りの余韻があって、バランスのいいワインでした。
3番目は、イタリアつながりで、マフィアの内幕を描いたフランシス・F・コッポラ監督のナパのワイナリーから。
監督が、愛娘のソフィア・コッポラのために造ったスパークリングワイン。1999年6月に結婚した彼女への贈り物でした。
彼女のリクエストは、「シャンパンのようでシャンパンほどガスっぽくなく、値段も高過ぎないワイン」だったそうです。
グレープフルーツのような果実味、酸もしっかりしていて、チャーミングなワイン。2007年ヴィンテージは、ピノブラン81%、ソーヴィニヨンブラン12%、ミュスカ7%。最初にリリースされたときは、ピノブランの比率がもう少し低く、ミュスカの比率がもう少し高かったようです。
いまは、ストロー付きのミニ缶タイプも発売されています。こちらも瓶入りよりもミュスカの比率を増やしていて、より万人受けしそうな味わい。
私は以前、ロゼタイプ(瓶タイプ)を飲んだことがあります。ピノノワール100%の明るいルビーカラー。フレッシュなベリーの爽やかさが印象的で、冷やしてくいくい。これからの季節にはおすすめです。
青木先生の「映画レッスン」は、ご好評につき、、エコールプランタンで7月期も続きます。
7月16日(木) 「ニキータ」(違いのわかる男が選ぶシャンパン)
9月17日(木) 「エビータ」(アルゼンチンワインの魅力を探求)
の全2回。いずれも午後7時から。税込11,500円(おつまみ付き)。
受講のお問い合わせは、エコールプランタン(03-3567-7235)へ。
また、青木先生の著書「映画でワインレッスン」(エイ出版社)には、映画とワインのステキなマリアージュを楽しめるエピソードがたくさんあって、おしゃれなうんちく好きにはたまりません。
青木先生のブログはこちら
↓
http://non-solo-vino.blog.so-net.ne.jp/
というわけで、講座の受講生の皆様も、とってもおしゃれ。ロングヘアでレモンイエローのスーツがお似合いの女性が、青木先生です。
皆様、撮影に協力していただきまして、ありがとうございました!
永峰好美様
第3回講座にお顔出しいただき、さらに丁寧かつ簡潔なリポートまで、ありがとうございました!!
思いがけずブショネ・レッスンまでできたので、講座生の皆様のワインライフがさらに実のあるものになるのでは・・・な~んて思っています。
永峰様のリポートは拙ブログでもご紹介させていただきました。
from. fumiko | 2009.06.26 01:54今後とも宜しくお願いいたします。
fumikoさま
素敵な時間をありがとうございました。
今後のプランタン銀座での講座も、どんな映画が出てくるのか、とっても楽しみ。ますますのご活躍を!
from. ナガミネ | 2009.06.26 06:17