ワインの資格試験の受験勉強でだれもがお世話になるのが「日本ソムリエ協会教本」です。
この教本には、フランスのワインと料理の組み合わせで代表的な事例39例が掲載されています。
でも、「シャンボール風鯉」にはシノンの赤とか、「ザリガニのナンチュアソース」にはヴァン・ジョーヌとか書いてあっても、(試験の時には丸暗記しましたけれど)う~ん、ピンとこない??
と思っていたら・・・。
ちょっと興味深い試みがありました!
東京・押上でワインのお店を開き、ワインスクールの「アカデミー・デュ・ヴァン」でもクラスを持つ遠藤誠さん主催のワイン会。
私が気になっていた食材、川カマスと八つ目ウナギを含む4種類のマリアージュを、実際に自分の舌で確認、です。
場所は、表参道のワインビストロ「ル・プレヴェール」。
まず、「川カマスのブール・ナンテ」と2007ミュスカデ・セーヴル・エ・メーヌ・シュール・リー(ドメーヌ・グラ・ムートン)。
エシャロットをみじん切りにして白ワインで煮詰め、バターを加えたのがブール・ブランソース。ロワール川流域で生まれた料理です。
この日はカマスだったので、食べ慣れた白身のあっさり味。川カマスはフランスでいただいたとき、もうちょっと泥くさい記憶がありますが。
バターソースには、フルーティーでさわやかな白が合いますね。
2番目は、「ベッケオフ(肉と野菜の蒸し焼き)」と2006アルザス・ピノノワール(ドップ・エ・イリオン)+2007アルザス・ピノグリ(同)。
小さく切った肉と野菜(キャベツやジャガイモなど)を白ワインとエルブ・ド・プロバンスなどで煮込み、容器に入れてパイ生地でふたをしてオーブンで。
アルザスの軽い赤(ピノノワール)と白(ピノグリ)の両方をマリアージュ。穏やかな酸味のピノグリとの組み合わせの方が好みでした。
3番目は、「八つ目ウナギのボルドー風」と2004シャトー・カロン・サンジョルジュ・サンテミリオン。
八つ目ウナギの旬は12月から2月の冬場なので、味も食感も似ているアナゴで代役。粉をつけて香ばしく焼きます。
ソースは、ニンニクとエシャロットのみじん切りをさっと炒めて、赤ワインにエストラゴンを加えた中で煮詰め、フォンドボーなどで味を調えます。
八つ目ウナギはもっと皮が厚くて身がしまり、ゼラチン質も豊富だとか。現地の料理は、赤ワインでかなりぐちゃっと煮込んだもののようです。
ワインは、メルロー70%。タンニンもこなれていて、好きなボルドータイプ。
ちなみに、ソース作りのときに、ロングペッパー(長コショウ)をアクセントに加えていました。名前の通り、長いサヤに入ったコショウです。
4番目は、「乳飲み子羊のロースト」と2004ポイヤック・レゼルヴ・スペシアル(ドメーヌ・バロン・ド・ロートシルト)。
フォンドボーを加えた赤ワインをしっかり煮詰めて、最後にバターで味を調える古典的なソース。
カベルネソーヴィニヨン主体の重みのあるボルドーと正統派の組み合わせは、「フランス料理をしっかり食べた!」という満足感がありますね。
デザートには、ブリオッシュ風生地にラム酒シロップを浸み込ませたケーキ、ババ。甘さ控えめで、ラムの香りが口いっぱいに広がる大人のスイーツでした。
今回のお気に入りは、3番目の料理のマリアージュ。アナゴの白焼きとサンテミリオン、我が家でも再現してみたいと思いました。