2009年6月アーカイブ

2009.06.29

ギリシャ、トルコ、グルジア・・・

私のワイン講座では、3か月に1回、教室を飛び出して、プランタン銀座の「サロン・ド・テ アンジェリーナ」で、料理とワインのマリアージュを楽しんでいただいています。


毎月テーマを、生徒さんにリクエストしていただいているのですが、今回は、「今まであまりお目にかかったことのないような変わったワインを飲みたい!」・・・でした。

 

こりゃ、難しい。
1か月前からワイン選びにプレッシャーを感じていました。

 

タイトルは、《ちょっと変わった生産地・品種に挑戦!》に決定。
ギリシャ、トルコ、グルジア、ハンガリーのワイン4本を中心に・・・

 

09062901.jpg左から、
 ギリシャ「レッチーナ・オブ・アッテカ」(コウルタキ)
 トルコ「カッパドキア 岩のワイン」(トウラサン)
 ハンガリー「2004 エグリ・ビカヴェール」(フンガロヴィン)
 グルジア「サペラヴィ」(GWS社)

 

そして、最初はイタリア白、最後はフランス赤で締めるという趣向にしました。

アンジェリーナで腕をふるう塩川シェフも、このユニークなワインのラインナップに、アイデアたっぷりの料理を用意してくれました。

 

まず、ワインを飲む前に一口


09062902.jpgトマトのジュレと桃の冷たいスープです。桃の甘みとトマトの酸味が口に広がり、夏を感じますね。

 

最初のワインは、イタリア・リグーリア州の2006 リヴィエラ・リグーレ・ディ・ポネンテ・ピガート(ラ・ロッカ・ディ・サン・ニコラオ)。


09062903.jpg世界遺産にも登録されているリヴィエラは、北はアルプス山脈を臨み、南はティレニア海に面した観光地。地中海性気候で、山と海からの影響を受ける土壌から、高品質なブドウが収穫されています。


品種はピガート100%。麦わら色の外観、青リンゴにハーブのニュアンスもあり、ナッツの苦味がアクセントになって、コクもあり、おいしい白ワインでした。アルコール度数は13%と意外に高いんですね。


09062904.jpg料理は、魚介類のマリネ・サラダ仕立で、オマール海老、ハモ、トコブシが並びます。

 

 

ギリシャの「レッチーナ・オブ・アッテカ」は、現地ではポピュラーな松ヤニを加えて風味付けした伝統的な白ワイン。

サヴァティアーノというギリシャの主要品種を使います。ちなみに、固有品種は300種以上とか。 


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ギリシャのワイン造りの歴史は古く、紀元前1600年ころのミノア文明の時代のものとして、クレタ島のクノッソス宮殿近くのヴァシペトロには、王家のワイン醸造場跡が残っているそうです。
ああ、一度訪ねなければ・・・。


松ヤニ風味のワインは、最初は木の皮のような苦味が感じられましたが、ズッキーニの花やトマト、黄ピーマンなどシンプルな旬野菜を盛ったギリシャ風サラダと合わせると、すっきりさわやかな味わいに。青い地中海の風を想像させてくれました。

 

 

お次は、奇岩で有名な世界遺産トルコのカッパドキアをモチーフにした「岩のワイン」。


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カッパドキアは、トルコのほぼ中央に位置し、標高1000メートルを超えるアナトリア高原中央部に広がる岩石地帯。

3世紀半ば、ローマ帝国の弾圧を逃れた修道士たちが移り住み、地下に信仰の場をつくり上げました。洞窟は年間を通じて12-13度に保たれることから、ワイン貯蔵にも優れていたのです。


オキュズギョズ、ボアズカレという聞き慣れない品種の軽めの赤ワイン。香辛料をちょっぴり効かせたナスのムサカといい相性でした。
ユニークなボトルがなかなか人気で、生徒さんの一人が持ち帰られました。

 

お次は、グルジア・カヘチ地方の「サペラヴィ」。サペラヴィは、グルジアの土着品種です。


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熟したブラックチェリーの味わいを、軽やかなタンニンがやさしく包み、バランスがよい辛口の赤でした。オークの香りもしっかりあって、国際コンクールでも金賞受賞というのにも納得です。

メルローにたとえられることもあるそうですが、それはタンニンの柔らかさからでしょうか。

 

グルジアは、コーカサス山脈の南、黒海とカスピ海の間にあって、北はロシア、アルメニア、アゼルバイジャンに接しています。

5000年以上前、コーカサスの山の湧き水で育った最古のブドウの原種で生まれたのがグルジアワインで、グルジアは「ワイン発祥の地」ともいわれています。
このワインがチグリス・ユーフラテス川を下ってエジプトに渡り、クレオパトラが一人グラスを傾けて涙を流したとの逸話も。グルジアワインが「クレオパトラの涙」と呼ばれる由縁のようです。


長寿大国グルジアでは、大地の恵みから得られるワインが健康に寄与しているのでしょうか。
料理は、ノルウェーサーモンのポワレ・赤ワインソース、ポワローのクリーム煮添え。

 

 

お次は、ハンガリーの「エグリ・ビカヴェール」。「牡牛の血」という名の赤ワインで、濃くて深い味わいといわれますが、意外に軽やか。

 

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ベリー系の果実の風味にスパイシーさが加わり、タンニンもなめらか。

ハンガリー北部の有数のワイン産地、エゲル産。ケークオポルトー、ケークフランコシュがブレンド。料理はやはり、肉でしょうね。


軽くスモークしたフランス産マグレ鴨にウドのサラダ添え。サフランで煮たきれいな黄色の小カブが柔らかくておいしかったです。

 

 

最後は、やはり好みのフランスワインで締めさせていただきました。南仏ラングドックを選びました。

2005 ロペラ・ミネルヴォア ルージュ(シャトー・ヴィルランヴェール・ジュリアン)


09062913.jpgシラー65%、グルナッシュ30%、ムルヴェードル5%。

果実味がいきいき、ローズマリーなどハーブの香りが南仏を感じさせます。

 

19世紀に、創業者エティエンヌ・ジュリアン氏が地元オード県に初めて鉄道を敷き、その収益で買ったのがこのシャトー。4代目は醸造の近代化に力を注ぎ、ミネルヴォアをAOCに昇格させた功労者。現在の所有者、ミシェル・ジュリアン氏は5代目。


「オペラ」という名前は、パリのオペラ座に使われている大理石が産出する地域なので。ブドウ畑にも大理石が含まれているらしいです。


09062914.jpg料理は、牛ササ肉の柔らか煮ソテー・マスタードとスパイスの香り焼き。アバラ骨に付いた肉、それもモモの付け根側の部分の肉だそうです。

 

 

最初のイタリア・リグーリアの白ワインと、最後のフランス・ラングドックの赤ワインは、プランタン銀座のワイン売場でも取り扱っています。2000-3000円台です。

 

デザートは、初夏らしく、抹茶のソフトアイスと旬果のカクテルゼリー。

 

09062915.jpgごちそうさまでした。
今回は歴史や地理のお勉強ができて、資料をそろえた私もとっても楽しかったです。


 

なお、読売・日本テレビ文化センター町屋(荒川区)の講座「ワインのある生活」では、7月期の受講生を若干募集しています。毎月第4金曜日午後7時から。体験受講も可。電話03-3802-7115でお問い合わせください。

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2009.06.26

私のおすすめ! サロンが入った至宝の4本セット

7月目前。

いよいよ夏のバーゲンの季節がやって来ました!

 

プランタン銀座でも、6月27日から全館あげての「ザ・バーゲン」が始まりますが、地下2階のワイン売場では、一足はやく、注目のワイン・バーゲンがスタートしています。


 

中でも注目は、あの「サロン」が入った「フランスワイン至宝の4本セット」(税込105,000円)です。 

 

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ブルゴーニュ3本との組み合わせで、限定3セットはあっという間に完売! 好評につき、輸入元さんに特別にお願いして、追加で3セットが入荷してきます。


 

セットの中身はというと・・・

 

まず、言わずと知れた、 
1997 サロン ブラン・ド・ブラン
 

09062602.jpgヴィンテージもの一種類しか造らず、リリースも10年ほど経ってからという特別な存在のシャンパーニュ。100%グラン・クリュの単一畑のシャルドネだけを使って造るブラン・ド・ブランは、シャンパーニュ好きなら、一度、いやできれば何度も経験したい繊細な味わいです。


最近お値段が上がって、「ああ、もう飲めないかなあ」ってため息をついていましたが、今回は思い切って・・・! 

 

造り手さんによれば、1997年ヴィンテージは「絹のような官能性」「究極でミステリアスな繊細さ」が特徴で、「確実に悦楽を感じさせるワイン」なのだそう。
うーん、いろいろ妄想(?)がふくらんで、わくわくしますねえ。

 


 
次に、
2006 シャルム・シャンベルタン(ドメーヌ・デュジャック)
 

09062603.jpgブルゴーニュファン憧れのデュジャックです。

デュジャックといえば、本拠地の「クロ・ド・ラ・ロッシュ」などが有名かもしれません。

でも、私は、凝縮したラズベリーなどの果実味が豊かで、ミネラル感もあって、それでいてスミレのようなやさしい香りで包んでくれる「シャルム・シャンベルタン」、大好きです。

私にとっては、このセットの2番目の注目ワイン。

 

 

 

 

 

まだまだあります!


1997 ピュリニー・モンラッシェ レ・ピュセル(ドメーヌ・ルフレーヴ) 


09062605.jpg透明感のある白ワイン、という印象があります。適度な樽のロースト香もあって、期待を裏切られたことがありません。飲み頃でしょうか。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

2005 コルトン・シャルルマーニュ(ドメーヌ・シモン・ビーズ)
 

09062604.jpg日本女性の千砂さんがマダムを務めていることでも有名なドメーヌですね。昨年、収穫直後に訪ねたときに、おいしい卵の赤ワイン煮などをごちそうになりましたっけ。
シモン・ビーズについては、機会を見て、改めて書きます。

 

 

 

 

 

 

 

 

お買い得セットは、ほかにもたくさん!

 

「ヨーロッパ赤ワイン12本セット」が税込10,500円、 「スパークリングワイン5本セット」が税込6,300円、「世界のフルボディ6本セット」が税込6,300円などなど。

 

さらに注目は、エチケットの多少の破れ、キャップシールの不良などで、店頭には並べられなかった「B級・ラベル不良品」のセール。本当にお得な値段でご用意してあります。

ご興味のある方は、「ブログで知った!」とおっしゃって、売場スタッフから説明を受けてください。数に限りがありますので、どうぞお早めに。
問い合わせ先 ワイン&リカー直通 03-3567-7885。

 

 

あなたの夏をステキに演出するワインが見つかりますように・・・。
 
 
 

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2009.06.24

青木冨美子さんの「映画でワイン・レッスン」

ワインジャーナリストの青木冨美子さんによる「映画でワイン・レッスン」という魅力的な講座が、プランタン銀座の「エコールプランタン」で開かれています。ちょっとお邪魔してみました。


今回のテーマは、「ローマの休日」でイタリアワインを学ぼう! です。
オードリー・ヘップバーン(アン王女役)の際立つ愛らしさ、グレゴリー・ペックの新聞記者役もカッコいい! 大好きな映画の一つです。

 

いただいたワインは、
1)2007 キアンティ・フィアスコ (チェッキ社)
2)2005 キアンティ・クラシコ・リゼルヴァ・ドゥカーレ (ルフィーノ社)
3)2007 ソフィア ブラン・ド・ブラン (フランシス・コッポラ)

 

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ワインのお供は、もちろんチーズ!!

 

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「ローマの休日」で、サンタンジェロの船上パーティーでの大混乱から逃れたアン王女が、彼のアパートで彼のガウンを羽織って口にするのが、「キアンティ・フィアスコ」です。 

 


09062402.JPG気取ったワイングラスなど使わず、日常使いのタンブラーで、水を飲むようにカジュアルに飲んでいます。アイスクリームをなめながら街歩きを楽しんだように、王女には新鮮な体験だったに違いません。

 

フィアスコとは底が丸いフラスコ型ボトルのこと。藁で包まれたこのボトル、以前より見かけなくなったような気がします。藁苞(わらづと)を編む職人が減っているのが要因の一つのようです。


青木先生によれば、フィアスコ型ボトルに付いている紐は、農作業の間に、農夫がブドウ畑にある木の枝に引っ掛けておくのに使われたとか。生活の知恵、なんですね。

チェッキ社は、ルイジ・チェッキ氏が1893年に創設した、トスカーナ地方で最も古いワイナリーの一つ。息子たちが事業を引き継ぎ、かなりの設備投資をして広く世界市場に乗り出しています。


品種はサンジョヴェーゼを主体に、コロリーノ、カナイオーロ。果実味豊かで若飲みタイプのフレッシュな味わいです。


 

さて、教室では、興味深い体験をしました。2つのグラスに注がれた赤ワインの飲み比べをしたのですが・・・


1つ目のワイン、なんかヘン。色調に濁り、腐葉土の匂いばかりが印象に残り、酸が強く、飲んだ後も雑味があって。

そうです。やはり「ブショネ」でした。
なかなかできない体験です!

 

ブショネとは、フランス語のBouchon(コルク)が語源。バクテリアに汚染された状態のワインのことで、通常コルクの汚染が原因に挙げられます。コルクは自然界の植物が素材ですから菌が存在しており、その中に悪性のものがあれば、ボトル内で化学変化が起こってワインの質を変えてしまうのです。ちなみに、飲んでも特に害はないといわれています。

 

青木先生は、ブショネ・チェックの名人で、有名ソムリエさんを負かしたこともあるそうです。ブショネの印象を、「締め切ったコンクリートの部屋に入ったときのホコリっぽい感じ」と表現していました。
もちろん、2つ目のグラスには健全なキアンティが注がれていました。念のため。


 

2番目のワインは、同じキアンティでも、限定畑で厳選したブドウを使った「キアンティ・クラシコ」です。
「キアンティも、クラシコを選べば、まず失敗ありません」と、青木先生。

 

今回いただいたのは、「公爵のためのとっておきワイン」。1890年、時のアオスタ公爵がキアンティを訪問した際、ルフィーノ社のワインに感銘を受けて注文したことに由来する名前とか。

2年間の樽熟成を経ているので、チョコレートのような甘みやローズマリーなどの香りの余韻があって、バランスのいいワインでした。


 

3番目は、イタリアつながりで、マフィアの内幕を描いたフランシス・F・コッポラ監督のナパのワイナリーから。

 

09062403.JPG監督が、愛娘のソフィア・コッポラのために造ったスパークリングワイン。1999年6月に結婚した彼女への贈り物でした。

 

彼女のリクエストは、「シャンパンのようでシャンパンほどガスっぽくなく、値段も高過ぎないワイン」だったそうです。

 

グレープフルーツのような果実味、酸もしっかりしていて、チャーミングなワイン。2007年ヴィンテージは、ピノブラン81%、ソーヴィニヨンブラン12%、ミュスカ7%。最初にリリースされたときは、ピノブランの比率がもう少し低く、ミュスカの比率がもう少し高かったようです。


 

いまは、ストロー付きのミニ缶タイプも発売されています。こちらも瓶入りよりもミュスカの比率を増やしていて、より万人受けしそうな味わい。

私は以前、ロゼタイプ(瓶タイプ)を飲んだことがあります。ピノノワール100%の明るいルビーカラー。フレッシュなベリーの爽やかさが印象的で、冷やしてくいくい。これからの季節にはおすすめです。
 

 

青木先生の「映画レッスン」は、ご好評につき、、エコールプランタンで7月期も続きます。

7月16日(木) 「ニキータ」(違いのわかる男が選ぶシャンパン)
9月17日(木) 「エビータ」(アルゼンチンワインの魅力を探求)
の全2回。いずれも午後7時から。税込11,500円(おつまみ付き)。
受講のお問い合わせは、エコールプランタン(03-3567-7235)へ。


 

また、青木先生の著書「映画でワインレッスン」(エイ出版社)には、映画とワインのステキなマリアージュを楽しめるエピソードがたくさんあって、おしゃれなうんちく好きにはたまりません。

青木先生のブログはこちら

http://non-solo-vino.blog.so-net.ne.jp/


 

というわけで、講座の受講生の皆様も、とってもおしゃれ。ロングヘアでレモンイエローのスーツがお似合いの女性が、青木先生です。

 


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皆様、撮影に協力していただきまして、ありがとうございました!
 
 

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2009.06.19

達人がお勧め、銀座の手みやげ

選ぶ基準は「私が好き!」

  • 手みやげ達人の甲斐みのりさん(エコールプランタンで)

 家族に、知人に、お世話になった方々に、お礼や感謝の気持ちをこめて、ちょっと気の利いた手みやげを選ぶとき――自分のセンスや心配りが試されているようで、結構緊張することって、ありませんか?

 「これ、銀座で買って来ました!」と言って渡すと喜ばれることが多いのだけれど、銀座には名店が多過ぎて、選ぶのには本当に難儀する。

 文筆家で、「女性の永遠の憧れ」をテーマに雑貨の企画なども手がける甲斐みのりさんは、手みやげの達人。プランタン銀座のカルチャーセンター「エコールプランタン」で、お話を聞く機会があった。

  • 甲斐さんが選んだ銀座手みやげ。添え書きの便箋もポイントです

 アラサー世代の甲斐さんは、子どものころから大のお菓子好き。

 「中身よりも、お菓子の入った袋や箱、紙やリボンを欲しがり、鳩サブレーの缶に入れて大切に集めては、時々取り出して眺めたり、包み紙で封筒を作ったり。お菓子の図鑑が一番の愛読書でした」

 静岡から大阪の大学へ進学。そのコレクター癖は、京都暮らしで老舗巡りが日課になり、さらにエスカレートする。

 「甘くておいしいから好き。形や色がかわいいから好き。素材や名前の由来を知ったらなおいとおしくって。お菓子探しをしているとどんどん興味が広がり、楽しくて、自分だけで独占しているのがもったいない気持ちになってくるんです」

 この喜びを、もっと多くの人と分かち合いたいとの思いから、手みやげへの関心も強まっていった。

  • 静かな路地裏にある「木挽町よしや」

 手みやげは、自分の気持ちを紹介するもの。だから選ぶ基準は、「私が好き!」でいいのだという。「短い手紙を添えれば、もっとステキになりますよね」

 銀座には、「デパ地下も含めると、数え切れないほど手みやげ向きの店がある」(甲斐さん)けれど、あえて6品を選んでもらったところ……。

 1)千疋屋総本店の「くり抜きゼリー」

 2)プランタン銀座本館地下2階にあるアールハートのハート型ケーキ「ロイヤルハート」

 3)洋菓子舗ウエスト銀座本店のクッキー「ヴィクトリア」

 4)資生堂パーラーの「チーズケーキ」

 5)銀座三越2階にあるラデュレの「マカロン」

 6)木挽町よしやの細工菓子「ねりきり製ミニチュア果物」

 その一つ、木挽町よしやを久しぶりに訪ねてみた。

焼き印入りオリジナルどら焼き

  • いつも笑顔を絶やさない「よしや」の主人、中村良章さん

 歌舞伎座に近い、銀座東3丁目交差点あたり。江戸開府当時は海辺で、船から木材を運び出すポイントだった。江戸城修築の時、木挽き職人を住まわせていたことから「木挽町」という町名が生まれた。戦後改称されたが、付近には、いまもこの江戸地名を冠する老舗が少なくない。

 手入れの行き届いた鉢植えの緑に誘われて、ふらりと路地に入ると、「どら焼き」の黄色ののぼり旗が目印だ。

 同店の主人、中村良章さん(60)が、変わらぬ笑顔で迎えてくれた。

 大学で機械工学を学んだ中村さんだが、卒業後、家業の和菓子工房を手伝った。金沢出身の父親は14歳で家出し、上京して一旗揚げようと、銀座に工房を開いた。随分と繁盛したが、バブル崩壊後は商売も先細り。中村さんは、老舗和菓子店でアルバイトをしたり、きこりをしたりで食いつないだ時期もあった。

  • 店で預かっている焼き印が壁にずらり

 「銀座で開いた親父の夢を消すまい」と頑張って、工房跡に「よしや」をオープンしたのが10年前。

 「当時たまたまテレビで東大寺の瓦の葺き替え作業を見て、瓦の裏に『よしや』と屋号が入っていたのを発見。店の名前はこれだ!って思ったのね。僕の名前も良章(よしあき)だし、ちょうどいい」

 団子や細工菓子などで人気店になり、特に食品サンプル好きな外国人客にもうけて、ニューヨークタイムズ紙でも大きく紹介された。

 「それがね、今はどら焼き屋のおやじになっちゃってね」と笑う。

  • ほどよい甘さのどら焼きが大人気

 客が自らデザインした焼き印を注文し、それを使って名前入りのオリジナルどら焼きを作ってくれるのである。1個110円。ほどよい甘さのこしあんをふんわり包むクリーミーな皮の風味がやさしい。

 結婚や出産のお祝いにという個人客から、営業マンが社印を入れて取引先に配る企業まで。また、歌舞伎役者に演歌歌手、人気の男性ダンスユニットなど、芸能界にもファンが多い。現在店で預かっている焼き印は千本以上にもなる。

 一日千個焼くことも、たびたび。先日、二千二百個の注文を受けた時には、さすがに腱鞘炎になった。

「今のところ、他の和菓子に手が回らないんだよ」

 そう話しながらも、「先日、十二単をテーマにしたお茶席の菓子の注文が入ってさ。道具づくりから始めるから、出来上がりをあれこれ想像していくと、楽しくて仕方ないねえ」と、頬を緩ませた。

 やはり中村さんの中にある、和菓子職人のDNAがうずくのだろう。

 ご主人にちょっと余裕ができたら、母の誕生日用に、愛らしい細工菓子を注文したいと思う。

 (プランタン銀座取締役・永峰好美)

◆甲斐みのりさんのホームページ

 http://www.loule.net/index.html

◆木挽町よしや

 東京都中央区銀座3-12-9 電話03-3541-9405

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2009.06.18

シャトーマルゴーの誕生年ヴィンテージ

6月のわが「誕生日月間(?)」に開けようと思って用意していたボルドー・グランヴァンの誕生年ヴィンテージを、とうとういただきました!


シャトーマルゴー 1956

 

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そう、あの小説「失楽園」ですっかり有名になってしまったワインです。

 

お願いしたのは、私のお気に入りのフレンチレストラン、東京・白金の「シェ・トモ」で。

市川知志シェフの料理は、西麻布の「レストランW」時代から大好きでした。

まだバブルの泡が消えていない時代、キャビア・ナイトを懐かしく思い出します。

市川シェフは、エコールプランタンでも料理レッスンをお願いしたことがあり、男前の風貌に女性ファンも多いのです。
 

入手してから、かれこれ10年たつでしょうか。

最初は「人生半世紀」を記念してと思っていたのですが、それから、1年、2年・・・。


今年は、食事する3日前くらいにお店にワインを届けて、ソムリエの大芦一人さんが、静かに状態を整えてくれたんです。

2回の引越しをはさみ、ワインの保存状態にいささか不安があったのですが、大芦さんの「いいですよ」の一声にホッと安心。


抜栓はもちろん完璧!

 

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デカンタ後、グラスに注がれた落ち着いたレンガ色の色調、バニラや木、熟したイチジクなど、複雑でエレガントな香り。

 

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マルゴーはどちらかというと、「やさしく女性的」と評されることが多いのですが、グラスに注がれた液体には、エネルギーがみなぎっていて、活力を感じました。

その印象は、最後のチーズをいただく時まで変わりませんでした。


 

実は、1956年というのは、どのヴィンテージ・チャートを見ても、不作の年。ブルゴーニュなど、話にならないということか、点数さえついていないチャートもあるんです。
 

でもでも、今回のマルゴーは◎。

まろやかに熟成しながらも力強さの残る「同い年」のワインに、背筋がピンと伸びました。

 

料理はまず、豚のリエットにタプナードでおいしいバゲットをいただき、お得意定番の「ウニの貴婦人風」。


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前菜はブータンノワール、続いて、季節の有機野菜30種盛り(カボチャとズッキーニのあいのこのようなコリンキィが珍しかったです)。


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季節のポタージュのあと、イタリア・ロンバルディア産の仔豚ちゃん。

 

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きょうは、チーズもしっかりいただきました。木炭粉をまぶしたサント・モール・ド・トゥーレーヌは甘いコンフィチュールが組み合わされて、デザート感覚で。 

 

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大好きなショコラのケーキ。やさしい音色のオルゴールの「ハッピーバースデー」に、ステキなひとときを過ごせました。

 

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皆さんも、誕生年のヴィンテージワイン、チェックしてみてはいかがでしょう。
 

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2009.06.14

サマートリュフのパスタに合わせたのは・・・

自宅近くで気になっていたイタリアンレストランに、週末出かけました。


恵比寿の「ダ・ディーノ」です。

 

10席ほどの小ぢんまりとしたリストランテで、ご主人1人で料理し、マダムがサービスを担当しています。
日本の旬、そしてイタリアの味覚を十分に意識して、素材そのものの味を生かしたヘルシーな料理の数々・・・。

 

 

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ミズナスも入った夏野菜のピクルス、トマトのジュレの生ウニのせ、オニオコゼのカルパッチョ、トコブシとアーティチョク・ホワイトアスパラなど蒸し野菜のサルサヴェルデ、白エビとチコリのタリアテッレ、サマートリュフのスパゲティーニ、ノドグロのグリル・イタリアンチェリートマト添え、

そして、熱々のリコッタチーズのスフレ、エスプレッソといただく焼き菓子まで、配慮の行き届いたとっても丁寧な料理でした。

 

さて、ワインはといえば、白を合わせたい!

で、選んだのは、

 

2002 リボッラ・ジャッラ コッリョDOC(ラ・カステラーダ)

 

 

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イタリア北部東端、北はオーストリア、東は旧ユーゴスラヴィアに隣接するフリウリ・ヴェネツィア・ジューリア州。古代ローマ時代からブドウ栽培が行われていた地域です。


コッリョは、小高い丘が連なる丘陵地帯で、砂状の火山性岩土壌は特に白ワイン造りに適するといわれています。


リボッラ・ジャッラは、この地方のオリジナル品種。ヴェネツィア人が遠くから運んだという記録も残っています。
フリウリの人々に好まれ、地元では11月、発酵の終わっていない濁ったワインとともに焼き栗を食べる習慣があるのだとか。

 

ワインは、濃い目の麦わら色。アカシアや木の香り、それから私は、マッシュルームのようなキノコ臭も。ほどよい酸味とほのかな甘みが感じられました。

「あまり冷やさずにお飲みになる方もいらっしゃいます」というマダムのアドバイスに従い、セラーから取り出した15度くらいで飲み始め、常温で置いていたら、香りや味わいに厚みが増しました。

 

ラ・カステラーダは、スロヴェニアと国境を接するオスラーヴィアで、ジュゼッペ・ベンサ氏が自分が経営するレストラン用に始めたワイナリー。1985年から、2人の息子ジョルジュ&ニコロ兄弟が継いでいます。
有機農法を実践し、この地方で伝統的な木製の開放発酵槽を使い、フィルターはかけない。できる限りの自然かつ伝統的な醸造法が特徴のようです。

 

削ったサマートリュフをたっぷりかけたスパゲティーニとベストマッチでした。

 

ああ、夏だなあ!!

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2009.06.12

若女将、呉服の世界に新風

銀座の魅力を再発見し、改めて愛着

  • 「OLが自分で買える着物を」と、老舗の実家から独立して新しい店を開いた千谷美恵さん

 銀座8丁目の金春通りにある「伊勢由」は、創業明治元年(1868年)、百数十年の歴史をもつ老舗の呉服・和装小物店。

 5代目の若女将、千谷美恵さんに初めてお会いしたのは、3年ほど前になる。銀座の若手経営者が街の未来を語るといった会で、しっとりとした着物姿の紅一点の快活な語り口がひときわ輝いていたのを覚えている。

 立教大学在学中に米国の大学に交換留学の経験もある国際派。帰国して24歳の時、シティバンクに就職した。当時はバブル景気の真っ只中、男女雇用機会均等法の施行から数年が過ぎていたとはいえ、日本企業は“男並み”の仕事を任された総合職の女性たちを使いこなせずにいるのが実情だった。

 「『結婚しても辞めません!』って、ごく自然に言える職場環境を望んでいました。当時女性がばりばり自由に働けるのは外資系企業しかなかったんです。それに、なるべく大きな組織に入って、いろいろなことを経験したいという思いもありました」

 3姉妹の末っ子。家業を継ぐことは考えていなかったという。

 だが、転機はシティバンクに入社して約5年後にやって来る。銀座支店を立ち上げる仕事に関わることになり、それが実家の伊勢由の裏手にあたる場所だったのである。

 「支店で銀座のお客様に接していると、本当に様々な趣味を持ち、人生経験豊富な方がいらっしゃるなと実感しました。出身地も国籍もいろいろで、それがまた銀座全体の魅力にもつながっている。そう思うと、幼い時から親しんできた銀座に改めて愛着がわいてきた。そして、この銀座で商いを続けてきた店を父の代で終わらせてしまっていいものかとも考えるようになりました」

国際派キャリアウーマンからの転身

  • 好評のオリジナル「大福バッグ」

 31歳で銀座支店長に抜擢されたが、2年後、家業を継ぐ決心を固める。

 こうして飛び込んだ呉服の世界。当初は和装には親しんではいたが、自分で着ようと思うと、帯選びも着付けもお手上げだった。

 「ちょっと言い訳をさせていただければ、身の回りに着物のプロがいっぱいで。私が棒立ちのお人形さん状態でいると、ささっと上手にしかも心地よく着付けしてくれるわけでして……」

 それから、呉服の猛勉強を始めた。業界は予想していた以上に男社会。作る人も仕立てる人も男性が中心で、「ボクつくる人、ワタシ着る人」の性別役割分業が色濃く残っていた。着物の反物はずしりと重く、力仕事も少なくない。

 ベテラン図案師にも男性が多く、女性の目から「こんなデザインが欲しい」と提案しても、「そんな面倒なことを言うならできない!」と、ぴしゃりと断られたこともたびたび。それで引き下がってはいられない。職人の、また男性のプライドを傷つけないように配慮しながらも粘って粘ってようやく熱意が通じ、納得の一枚が出来上がった時のことは忘れられない。

 そしていま、若女将10年目を迎えた千谷さんの新たな挑戦が始まった。4月初め、独立して、銀座6丁目のビルに新店舗を設けたのである。

 「OLが自分のお金で買える着物を」というコンセプトで、3万円台から反物が揃う。中心価格は10万円前後。着物を初めて着る人から、いつも愛用しているけれどカジュアルで気楽に着られるタイプを探しているという人まで、幅広い層を対象にしている。

 この思い切った独立には銀座の若旦那衆も注目しているらしい。

お客様とともに和装を楽しむ

  • 夏らしい籐バッグと涼しげな白の楊柳バッグ。カジュアルな和装に似合いそう

 「洋服感覚で着たり、レンタルや中古を利用したりと、着物普及のためにいろいろな試みがあるけれど、寸法をきちんと測ってオーダーする着物がリーズナブルな価格で買えるのであれば、若い人たちも見方が変わってくるのではないでしょうか」

 価格を抑えるために帯の図柄など様々な工夫もした。「本物の呉服を広めるために」と独り立ちした千谷さんの気持ちを汲んで、父親の代から付き合いのある職人たちも、そこまで決心したのであればと、協力を惜しまない。

 千谷さんが編み出す和装は、大ぶりのハートやダイヤなどポップで斬新なデザインや、パープルにイエロー、ブルーにピンクなど、大胆な組み合わせも楽しい。オリジナルの小物デザインも得意で、レーヨンチリメンを使った「大福バッグ」が好評だ。

 「お客様を思い浮かべて、あの方ならこんなのがお似合いだなって、イメージを職人に伝えます。実際に店頭に並べた時、お客様にすっと手に取っていただければ、これ以上の呉服屋冥利はありません」

 もう一つ、力を注いでいるのが、骨董、長唄三味線、能、香道など、その道の達人を招いて話を聞く日本の伝統文化を学ぶ講座。

 「国際金融の職場に身を置いてきて、逆に自分が日本人であること、日本文化の奥の深さを強く意識するようになりました。たとえば、お茶席の主人の客人への細かな気遣いなど着物をお勧めする時にも役に立ちます」

 それに、「着物を着ると、ラッキーなこともありますよ。ビアホールで行列に並んでいると裏口からそっと入れてくれたり、ファストフード店ではコーヒーを席まで運んでくれたり。皆やさしくしてくれます。うふふ」

 着物を通して、一人でも多くの人の人生を輝かせたい――そんな思いを抱きながら、銀座に新風を吹き込み続ける。

 (プランタン銀座取締役・永峰好美)

 ◆銀座いせよし

 東京都中央区銀座6-4-8 曽根ビル3階 電話03-6228-5875

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2009.06.11

ワインも主役の映画「サイドウェイズ」のメディア・レセプション

1週間ほどのご無沙汰です。

実は、イタリアを駆け足で縦断していました。

ワインのお話、たっぷり連載していきますので、お楽しみに!

 

さて、帰国してすぐ、素敵なワインイベントに参加したので、今回はそちらの話題をご紹介します。

 

ワイン大好き、映画大好きの皆様であれば、覚えていますか?
2004年製作、第77回アカデミー賞最優秀脚色賞を受賞した映画「サイドウェイ」。

米カリフォルニア・サンタバーバラのワイナリーの美しい田園風景の中で繰り広げられる、おかしくて、それでいて何とも切ない人間模様・・・。映画の随所に出てくるワインのうんちくとそれぞれの人生とが重なり合い、そして1988年の「サッシカイア」なども登場して、印象深い映画でした。

 

そのハリウッド映画が日本人キャストでリメイク、新バージョンの「サイドウェイズ」となって今秋公開が予定されています。
舞台も、サンタバーバラから北上して、日本人にもおなじみのナパ・バレーに。

公式HPはこちら!

http://movies.foxjapan.com/sideways_jpn/?foxad_id=ggl_adwords_sideways_090512_0

 

6月9日にTOHOシネマズ六本木ヒルズで開かれたメディア・レセプションでは、映画試写会の前に、カリフォルニアワインを楽しむ機会が設けられていました。

ワインリストは次の通り。
1.ベリンジャー スパークリング・ホワイト・ジンファンデル
2.2007 ベリンジャー ファウンダース・エステート シャルドネ
3.2005 ベリンジャー ファウンダース・エステート カベルネソーヴィニヨン

 

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ベリンジャーといえば、1876年、フレデリック&ジェイコブのベリンジャー兄弟によって設立された老舗ワイナリー。

米国で禁酒法が制定された1918年、ミサ用ワインの生産を許されたため閉鎖されることもなく、ナパ最古のワイナリーになりました。

 

70年代に伝説的ワインマスター、マイロン・ナイチンゲールが加わることにより、醸造の技術革新が進み、90年代には、「プライベート・リザーヴ」のカベルネとシャルドネが、ワイン・スペクテーター誌の「ワイン・オブ・ザ・イヤー」を受賞しています。

 

私は、サンフランシスコの対岸にあるバークレーに住んでいたころ、「ナパ・バレー」シリーズのシャルドネの濃厚な樽の香りに魅せられて、愛飲しておりました。

 

今回いただいたのは、創業者のベリンジャー兄弟に敬意を表した「ファウンダース・エステート」シリーズ。

伝統的な醸造技術を用い、同社のハウス・スタイルを最もよく表しているワインだそうです。

 

シャルドネは、リンゴや洋ナシの香り、トロピカルフルーツやスパイスの味わい、樽香もほどよくきいていて、バランスのいい白ワインでした。
カベルネソーヴィニヨンは、ブラックベリーやシナモンの香り、滑らかなタンニンを感じさせ、舌の上でころがして余韻が楽しめました。

 

カリフォルニアといえば、忘れられない品種は、ジンファンデル。個性の強い濃厚な造りの最近の赤、私は結構好きです。

 

ホワイトジンファンデルは、やや甘口で軽やかな飲み口がアメリカ人好みのブラッシュワイン。どちらかといえば、ジュースっぽいのですが、メキシコ料理や中華なんかには、合いますよね。

これがスパークリングになると、さわやかな泡立ち、イチゴジャムのような甘み、柑橘系の酸味も加わり、なかなかおいしい!

淡いピンク色・・・スパークリングになると、さらに輝いていました。

 

 

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ワインに合わせたフィンガーフードもとっても美味で、あっという間にお皿から消えていました。

 

映画の公開が待ち遠しい!!

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2009.06.04

八つ目ウナギのボルドー風って??

ワインの資格試験の受験勉強でだれもがお世話になるのが「日本ソムリエ協会教本」です。


この教本には、フランスのワインと料理の組み合わせで代表的な事例39例が掲載されています。
でも、「シャンボール風鯉」にはシノンの赤とか、「ザリガニのナンチュアソース」にはヴァン・ジョーヌとか書いてあっても、(試験の時には丸暗記しましたけれど)う~ん、ピンとこない??


と思っていたら・・・。

ちょっと興味深い試みがありました!

東京・押上でワインのお店を開き、ワインスクールの「アカデミー・デュ・ヴァン」でもクラスを持つ遠藤誠さん主催のワイン会。


09060400.JPG私が気になっていた食材、川カマスと八つ目ウナギを含む4種類のマリアージュを、実際に自分の舌で確認、です。
場所は、表参道のワインビストロ「ル・プレヴェール」。

 

まず、「川カマスのブール・ナンテ」と2007ミュスカデ・セーヴル・エ・メーヌ・シュール・リー(ドメーヌ・グラ・ムートン)。

                                                                                                                                                          09060401.JPG 09060402.JPG エシャロットをみじん切りにして白ワインで煮詰め、バターを加えたのがブール・ブランソース。ロワール川流域で生まれた料理です。

この日はカマスだったので、食べ慣れた白身のあっさり味。川カマスはフランスでいただいたとき、もうちょっと泥くさい記憶がありますが。


バターソースには、フルーティーでさわやかな白が合いますね。

 

  

2番目は、「ベッケオフ(肉と野菜の蒸し焼き)」と2006アルザス・ピノノワール(ドップ・エ・イリオン)+2007アルザス・ピノグリ(同)。

 

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小さく切った肉と野菜(キャベツやジャガイモなど)を白ワインとエルブ・ド・プロバンスなどで煮込み、容器に入れてパイ生地でふたをしてオーブンで。

 

アルザスの軽い赤(ピノノワール)と白(ピノグリ)の両方をマリアージュ。穏やかな酸味のピノグリとの組み合わせの方が好みでした。


 

 

 

3番目は、「八つ目ウナギのボルドー風」と2004シャトー・カロン・サンジョルジュ・サンテミリオン。

 

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八つ目ウナギの旬は12月から2月の冬場なので、味も食感も似ているアナゴで代役。粉をつけて香ばしく焼きます。

ソースは、ニンニクとエシャロットのみじん切りをさっと炒めて、赤ワインにエストラゴンを加えた中で煮詰め、フォンドボーなどで味を調えます。

 

八つ目ウナギはもっと皮が厚くて身がしまり、ゼラチン質も豊富だとか。現地の料理は、赤ワインでかなりぐちゃっと煮込んだもののようです。
ワインは、メルロー70%。タンニンもこなれていて、好きなボルドータイプ。

 

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ちなみに、ソース作りのときに、ロングペッパー(長コショウ)をアクセントに加えていました。名前の通り、長いサヤに入ったコショウです。


 

4番目は、「乳飲み子羊のロースト」と2004ポイヤック・レゼルヴ・スペシアル(ドメーヌ・バロン・ド・ロートシルト)。

  

09060410.JPGフォンドボーを加えた赤ワインをしっかり煮詰めて、最後にバターで味を調える古典的なソース。

カベルネソーヴィニヨン主体の重みのあるボルドーと正統派の組み合わせは、「フランス料理をしっかり食べた!」という満足感がありますね。


デザートには、ブリオッシュ風生地にラム酒シロップを浸み込ませたケーキ、ババ。甘さ控えめで、ラムの香りが口いっぱいに広がる大人のスイーツでした。

 

09060411.JPG 

 

今回のお気に入りは、3番目の料理のマリアージュ。アナゴの白焼きとサンテミリオン、我が家でも再現してみたいと思いました。

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2009.06.01

1995サントネーがお手頃価格!

前回1995年のブルゴーニュ赤の飲み比べのことを書いたので、プランタン銀座のワイン売場で、お手頃なタイプを探してみました。

 

ベテランスタッフのTさんもおすすめ!
1995サントネイ (ルモワスネ・ペールエフィス)。 3885円。
 
090601.JPG

 

写真の背景、照明の具合も悪かったのでしょう。全体が青みがかってしまって、スイマセン。

 

ところで、ルモワスネは、19世紀後半に設立されたボーヌに拠点を置く有名ネゴシアン。


当主のロランさんは「フランス最後のブルジョア」といわれる大富豪。

豊富な財力で、1940年代から毎年、優れたキュヴェ(樽)をトップドメーヌから大量に買い続け、16世紀に造られた冷涼なカーヴで長年寝かせているそうです。その数は100万本を超すとも。


出荷前に1本ずつ澱引きし、リコルクしてから送り出すそうで、「ルモワスネは若々しい」との評価がある所以です。


1995年のサントネイは、実にきれいなピノノワールの熟成が楽しめるしなやかなワインでした。

ほどよい琥珀色、酸もタンニンも果実味もしっかりしていて、どんな料理にも合いそうです。

 

私は自宅で、エビとブロッコリーの中華風炒めもの、そして、白カビタイプのチーズといただきました。

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永峰好美のワインのある生活

<Profile> 永峰 好美 日本ソムリエ協会認定シニアワインエキスパート。プランタン銀座常務取締役を経て、読売新聞編集委員。『ソムリエ』誌で、「ワインビジネスを支える淑女たち」好評連載中。近著に『スペインワイン』(早川書房)