2009年5月アーカイブ

2009.05.06

ジャン・ヴェッセルのメーカーズディナーその1

ゴールデンウィーク、皆さまはいかが過ごされましたでしょうか。
おいしいワイン、召し上がりましたか?

 

フランスで最北のワイン生産地といえば、シャンパーニュ地方。エレガントで華やかなシャンパーニュは、私の大好きなお酒の一つです。


前回の初ブログでご紹介したジャン・ヴェッセルは、この地方のブジィ村で、3世紀に渡るブドウ生産を続ける小規模家族経営の老舗生産者。

現在はデルフィーヌ&ダヴィッドご夫妻が跡を継いでいます。
ピノノワールが主体の自社畑のグランクリュを中心に、少量生産により、昔ながらのなるべく自然な形を保ちつつこだわりのシャンパーニュを作っているそうです。

 

日本で、いやフランスでも、どこでも手に入るシャンパーニュではありませんが、個性的な味わいで、プランタン銀座ではファンが多いんです。有名レストランのソムリエさんにも人気があるようです。
 
今回のメーカーズディナーは、東京・銀座の"V"de Bistro Vionys にて、3月26日に行われました。オーナーの阿部誠さんは、私が読売新聞のWEBコンテンツ「GINZA通信」でご紹介したこともある業界では著名なソムリエさんです。

 

当日サービスされたのは、5種類のシャンパーニュ。
 1.NM エクストラ・ブリュット(マグナム)
 2.1999 ブリュット プレスティージュ
 3.1997 ブリュット グランクリュ キュヴェ ル・プティ・クロ
 4.NM ブリュット ウィユ・ド・ペルドリ(マグナム)
 5.NM ドゥミ・セック ロゼ フリアンディーズ

 

では、料理とのマリアージュとともに、ご紹介しましょう。コメントのヒントは、阿部ソムリエのアドバイスを参考にしています。

 

最初の「エクストラ・ブリュット」は、アペリティフとして、宮崎県産の果皮が厚くとろりと甘いフルーツトマトといただきました。


ピノノワール80%、シャルドネ20%。泡は繊細で、フレッシュな印象です。香りはやさしく、洋ナシの果実味、軽く焼いたトーストの香りがあり、ふくよかな熟成感が感じられます。味わいはかなりドライ。最後はミネラルの引き締まった印象で、アペリティフには最適ではないでしょうか。そう、サラダやお寿司なんかにも合いそうです。

 

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ちなみに、NMとは、ノン・ミレジム。複数年のワインをブレンドして作られた「収穫年表示なし」の一般的なシャンパーニュです。NV(ノン・ヴィンテージ)という言い方もあります。

また、マグナムサイズ(1500ml=通常の750mlのワインボトル2本分)は、ゆっくりと発酵を促すので、フレッシュさが保て、シャンパーニュ保存には一番よい形だそうです。シャンパーニュでは、大型瓶の呼び方がいろいろあって、4本分の大きさのものを「ジェロボアム」、6本分を「レオボアム」、20本分を「ナビュコドノゾール」などといいます。

 

2番目の「ブリュット プレスティージュ」は、1999年という良年の収穫年のブドウのみで作られています。ピノノワール70%、シャルドネ30%。ブジィ村で収穫されたブドウだけを使用。デルフィーヌさんいわく、同村のピノノワールは森の香りがするそうです。

 

瓶詰めされたのは10年も前なのに、泡もきめ細かくしっかりしていて、適度な泡立ちが口の中ではじけて心地よいんです。リンゴのコンポートのような熟れた果物の凝縮感、森の中で感じる下草の深い香りがあって、また、酸味とのバランスもよく、味わいに力強さがありました。

 

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料理は、ニューカレドニア産の天使のエビとコヤリイカのマリネ。甘エビとボタンエビの中間のような甘みを感じさせるエビでした。

このシャンパーニュは、時間とともに、クリーミーなまろやか度が増して時間経過を楽しめます。

 

3番目の「ル・プティ・クロ」は、訪問客用として作られたプライヴェート・キュヴェ。

醸造所のすぐ隣にある小さな畑のピノノワールのみで作られていて、夫妻にとっては「小さな赤ちゃん」のような存在だそう。木樽を使い、また、ピノノワールの特徴を保つためにリキュール添加も行わず、ブドウ本来の甘みにこだわっています。
 

黄金色ともいえる美しい外観。ローストしたリンゴ、ハチミツ、とろりと溶けたキャラメル、ナッツの味わいが、全体的にやさしく溶け込んでいます。

阿部ソムリエは、チーズ、漬物といった表現も使われていました。果実からくる力強く複雑な味わいだけでなく、酸味のシャープさも合わせ持っていて、風格を感じさせる1品でした。

 

   

 

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合わせたのは、ホワイトアスパラガスのグリルと鶏肉の温製サラダ。マルタ島のオレンジを使ったソースとのなかなかよかったです。張り込んでちょっと高級なシャンパーニュを買った時には、頑張ってオレンジソースのサラダを作ってみようと思いました。

次回は、私の大のおすすめ、「ブリュット ウィユ・ド・ペルドリ」など、4番目と5番目のシャンパーニュについてご紹介することにします。
 

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2009.05.01

ワインとのお付き合いはかれこれ20年・・・

はじめまして、永峰です。

 

いつもプランタン銀座の店舗およびプランタン銀座のホームページをご利用いただきまして、ありがとうございます。

 

さて、ワイン好きな私は、ワインに関する様々な話題をもっともっと皆様と共有することで、各人のあるいは世の中の「ワインのある生活」を楽しく演出していきたいとの思いを込めて、ワインブログをスタートすることにしました。

 

本格的にワインを飲み始めたのは、そう、90年代初め、バブルの終わりのころでしたか。自宅近くに「エノテカ」の本店がオープンし、もともとお酒好きな私は、休みの日によく遊びに行っては試飲していたんです。

 

当時私は新聞記者。海外取材も多く、レストランで会食すると、食卓を囲む相手が分厚いワインリストから難なく1本を選び出すのを見て、「なんてカッコいいんだろう!」と、憧れていたんです。

そんな折、「エノテカ」で短期のワインレッスンがあり、少しばかり薀蓄なんぞをお勉強することにしたわけです。

あれから約20年。ワインの世界はどこまでも広く深く、興味は尽きません。

 

まずは何の話題をご紹介しようか、とっても迷ったのですが、いまマイブームのジャン・ヴェッセルのシャンパーニュに決めました。フランス・シャンパーニュのブジィ村で長い歴史をもつ老舗生産者。特に、「ブリュット ウィユ・ド・ペルドリ」という淡いロゼ色のブラン・ド・ノワールが気に入っています(写真右)。

 

09050102.jpgこのシャンパーニュは、プランタン銀座の売場でもかなりの人気者です。いくつかの種類は、オンラインショッピングでも販売しているんですよ。

 

先日その生産者ご夫妻にお会いする機会がありました。5種類のシャンパーニュに合わせて、料理とのマリアージュも楽しみました。詳しくは、次回に続けます。

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永峰好美のワインのある生活

<Profile> 永峰 好美 日本ソムリエ協会認定シニアワインエキスパート。プランタン銀座常務取締役を経て、読売新聞編集委員。『ソムリエ』誌で、「ワインビジネスを支える淑女たち」好評連載中。近著に『スペインワイン』(早川書房)