ゴールデンウィーク、皆さまはいかが過ごされましたでしょうか。
おいしいワイン、召し上がりましたか?
フランスで最北のワイン生産地といえば、シャンパーニュ地方。エレガントで華やかなシャンパーニュは、私の大好きなお酒の一つです。
前回の初ブログでご紹介したジャン・ヴェッセルは、この地方のブジィ村で、3世紀に渡るブドウ生産を続ける小規模家族経営の老舗生産者。
現在はデルフィーヌ&ダヴィッドご夫妻が跡を継いでいます。
ピノノワールが主体の自社畑のグランクリュを中心に、少量生産により、昔ながらのなるべく自然な形を保ちつつこだわりのシャンパーニュを作っているそうです。
日本で、いやフランスでも、どこでも手に入るシャンパーニュではありませんが、個性的な味わいで、プランタン銀座ではファンが多いんです。有名レストランのソムリエさんにも人気があるようです。
今回のメーカーズディナーは、東京・銀座の"V"de Bistro Vionys にて、3月26日に行われました。オーナーの阿部誠さんは、私が読売新聞のWEBコンテンツ「GINZA通信」でご紹介したこともある業界では著名なソムリエさんです。
当日サービスされたのは、5種類のシャンパーニュ。
1.NM エクストラ・ブリュット(マグナム)
2.1999 ブリュット プレスティージュ
3.1997 ブリュット グランクリュ キュヴェ ル・プティ・クロ
4.NM ブリュット ウィユ・ド・ペルドリ(マグナム)
5.NM ドゥミ・セック ロゼ フリアンディーズ
では、料理とのマリアージュとともに、ご紹介しましょう。コメントのヒントは、阿部ソムリエのアドバイスを参考にしています。
最初の「エクストラ・ブリュット」は、アペリティフとして、宮崎県産の果皮が厚くとろりと甘いフルーツトマトといただきました。
ピノノワール80%、シャルドネ20%。泡は繊細で、フレッシュな印象です。香りはやさしく、洋ナシの果実味、軽く焼いたトーストの香りがあり、ふくよかな熟成感が感じられます。味わいはかなりドライ。最後はミネラルの引き締まった印象で、アペリティフには最適ではないでしょうか。そう、サラダやお寿司なんかにも合いそうです。
ちなみに、NMとは、ノン・ミレジム。複数年のワインをブレンドして作られた「収穫年表示なし」の一般的なシャンパーニュです。NV(ノン・ヴィンテージ)という言い方もあります。
また、マグナムサイズ(1500ml=通常の750mlのワインボトル2本分)は、ゆっくりと発酵を促すので、フレッシュさが保て、シャンパーニュ保存には一番よい形だそうです。シャンパーニュでは、大型瓶の呼び方がいろいろあって、4本分の大きさのものを「ジェロボアム」、6本分を「レオボアム」、20本分を「ナビュコドノゾール」などといいます。
2番目の「ブリュット プレスティージュ」は、1999年という良年の収穫年のブドウのみで作られています。ピノノワール70%、シャルドネ30%。ブジィ村で収穫されたブドウだけを使用。デルフィーヌさんいわく、同村のピノノワールは森の香りがするそうです。
瓶詰めされたのは10年も前なのに、泡もきめ細かくしっかりしていて、適度な泡立ちが口の中ではじけて心地よいんです。リンゴのコンポートのような熟れた果物の凝縮感、森の中で感じる下草の深い香りがあって、また、酸味とのバランスもよく、味わいに力強さがありました。
料理は、ニューカレドニア産の天使のエビとコヤリイカのマリネ。甘エビとボタンエビの中間のような甘みを感じさせるエビでした。
このシャンパーニュは、時間とともに、クリーミーなまろやか度が増して時間経過を楽しめます。
3番目の「ル・プティ・クロ」は、訪問客用として作られたプライヴェート・キュヴェ。
醸造所のすぐ隣にある小さな畑のピノノワールのみで作られていて、夫妻にとっては「小さな赤ちゃん」のような存在だそう。木樽を使い、また、ピノノワールの特徴を保つためにリキュール添加も行わず、ブドウ本来の甘みにこだわっています。
黄金色ともいえる美しい外観。ローストしたリンゴ、ハチミツ、とろりと溶けたキャラメル、ナッツの味わいが、全体的にやさしく溶け込んでいます。
阿部ソムリエは、チーズ、漬物といった表現も使われていました。果実からくる力強く複雑な味わいだけでなく、酸味のシャープさも合わせ持っていて、風格を感じさせる1品でした。
合わせたのは、ホワイトアスパラガスのグリルと鶏肉の温製サラダ。マルタ島のオレンジを使ったソースとのなかなかよかったです。張り込んでちょっと高級なシャンパーニュを買った時には、頑張ってオレンジソースのサラダを作ってみようと思いました。
次回は、私の大のおすすめ、「ブリュット ウィユ・ド・ペルドリ」など、4番目と5番目のシャンパーニュについてご紹介することにします。