東京・南青山の「ランベリー」での、「まぼろしのバスク豚ディナー」の続編です。
前菜が終わり、魚、肉と続きます。
3皿目は、バスク地方で有名な鱒料理。静岡県産の富士の名水で育てられた富士見鱒を炭火でさっとあぶったものです。50度のオリーブ油でコンフィにしたそうで、皮がパリッとおいしく仕上がっていました。
子タマネギに赤ピーマン、トマトのローストには、スペインを意識して香ばしいアーモンドがのっています。燻製バターが旨みを上手に引き出しておりました。添えられたプラムは赤ワインとアーモンドオイルでコンフィチュール風に。そういえば、バスク地方の特産に、クロサクランボのジャムがあると聞いたことがあります。
白ワインでなく、ローヌの赤ワインを合わせていました。
1999 コート・デュ・ローヌ クロ・ドゥ・レルミタージュ です。
あのゴクミとアレジ夫妻所有のワイナリーが造るワイン。手書きスケッチ風のエチケットが、セレブ風。しっかりした凝縮感のあと、ふくよかな甘みが広がります。
さあ、いよいよ、主菜の肉の登場です!
2か月の乳のみ子豚と1歳豚の2つの味わいを楽しむ料理です。
乳のみ豚は、肉にストレスを与えないようにしてやさしくほぐすそうです。皮がカリッとして、歯ごたえも楽しめます。ロックフォールチーズの風味。
添えられたレバーや心臓などの内臓ミンチを詰めたマッシュルームや、フォアグラと香草などのキャベツ包みは、赤ワインビネガーをきかせています。ばら肉は、ハチミツとバスク地方の辛さ控えめなトウガラシをつけて焼いてありました。
ワインは、ブルゴーニュの赤です。
1995 ヴォーヌ・ロマネ プルミエ・クリュ レ・ボーモン (ドメーヌ・ペルナン・ロサン)
今回注目のワインです。
ドメーヌ・ペルナン・ロサンは、フランス国内に熱烈なファンを持っていたヴォーヌ・ロマネの造り手でした。1980年代は、ブルゴーニュのブドウ栽培・醸造コンサルタントとして忘れられないスーパースター、ギイ・アカの影響下にあり、ブドウの収穫量を抑え、アルコール発酵前に低温で色素の抽出を行う方法を採用。濃い色調でブドウ由来の果実香の「アカ・スタイル」を確立していました。
ところが、最近、アンリ・ペル・ミノに売却され、2000年からはスタイルが変化。それ以前のヴィンテージは幻といわれ、めぐり合いを熱望するファンは後を絶ちません。
というわけで、今回は1995年ヴィンテージを飲めて、ラッキー!
アジア風スパイスが感じられ、タンニンも多め。「アカ・スタイル」が健在でした。
続けて、チーズも山の味。「オッソー・イラティ・ブルビ・ピレネー」。舌をかみそうな名前ですが、羊乳特有の旨みの強いチーズです。
初夏から秋までピレネーの山岳地帯に追い上げられた羊は、高山植物などを食べて香りの高いミルクを出すといわれています。「オッソーの谷」と「イラティの森」に由来する名前。
2皿目の料理と合わせた辛口ジュランソンとの相性がよいようです。
最後のデザートは、これもバスクで有名なチョコレートと焼き菓子の組み合わせ・・・
チョコレートの強い風味に負けないタンニンと甘さを備える酒精強化(フォーティファイド)ワインが合います。
とくれば、お酒はバニュルス。
NM バニュルス キュヴェ・デュ・ドクター・アンドレ・パルセ (ドメーヌ・デュ・マス・ブラン)
バニュルスは、VDN(天然甘口ワイン)の仲間。13世紀以来の伝統があります。グルナッシュが主体。糖度の上がったブドウを遅摘みし、アルコール発酵中にブランデーなどを添加して造ります。ドライで十二分な日照量を享受できる土地ならではのワインです。
このワイン、バレンタインデーの季節になると、チョコレートの隣りにさりげなく置いてあるお店もあるので、おなじみの方もいらっしゃるでしょう。
このドメーヌは、バニュルスだけで10種類も造っている第一人者。甘さの度合いと熟成の仕方で、こんなに種類が増えるんです。口当たりよく、食事を締めくくるのにふさわしいワインで、どこか懐かしい風味が気分をリラックスさせてくれます。
とっても気さくなオテイザさんは、日本に来て発見がたくさんあったと言います。今度はその発見を生かして、日仏融合の料理を披露していただきたいなと、次回の来日が楽しみになりました。
さて、今回の発見は、鱒のコンフィにローヌの赤の相性がとてもよかったこと!
ところで、プランタン銀座のワイン売場でお客様にもスタッフにも、大人気なローヌの赤ワインがあるんですよ。
コート・デュ・ローヌ カルト・ブランシュ 1996 (ドメーヌ・マズール)
今なら、セール価格で、税込2,520円です。
この造り手は、16世紀から続く老舗ドメーヌ。樹齢百年以上の木を含む、150haもの自社畑を所有しています。品種はグルナッシュとシラー。果実味たっぷり、まろやかな熟成香とスパイシーな風味、柔らかなタンニンの渋みが溶け込んでいて、ローヌの赤のおいしさが表現されています。
私のかなりのおすすめです。